江戸の本づくし (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
3.80
  • (3)
  • (3)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582855661

作品紹介・あらすじ

黄表紙『御存商売物』のおはなしは、赤本、黒本、青本、洒落本、柱隠しに一枚絵、吉原細見、咄本…江戸の出版物が人の姿で総登場する、娘かどわかしのてんやわんや。絵の謎を解き、地口やしゃれを十分に味わうとき、草紙が息づく都市江戸の文化が見えてくる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 山東京伝作『御存商売物』を元に、江戸の出版文化をわかりやすく解説した書。
    主として黄表紙の特性が書かれているが、『御存商売物』に出てくる草紙類や書物類、絵などのことも書かれていて良かった。
    川柳も複数紹介されていて面白かった。
    京伝の絵の細かさと設定の巧さは素晴らしい……!

  • サブタイトルの「黄表紙で読む江戸の出版事情」が本書の内容をコンパクトに伝えている。

    取り上げられている黄表紙は、山東京伝(さんとうきょうでん)の
    『御存商売物』(ごぞんじのしょうばいもの)。

    この作品には、江戸で流通していた様々な出版物がキャラクター化
    されて登場する。
    今でいうと、あんぱんを擬人化してあんぱんマンとか、
    メロンパンナちゃんとかいったノリだろうか。

    一見子供だましに思える単純なストーリーでありながら、
    高い教養と当時の流行に通じていないとわからない、高度な
    ユーモアが散りばめられている。

    自分の力だけで読もうとすると、ハードルが高すぎて面白さを
    十分に味わえないけれど、鈴木先生の的確な解説のおかげで、
    楽しく鑑賞することができる。
    そのうえ、江戸の出版事情や文化的生活的背景まで、同時に
    学ぶことができてしまう。
    1粒で2度おいしく、電車の中でも気軽に読める。
    新書だから持ち重りしない。

    現代教養文庫の『江戸の戯作絵本』全6巻(絶版)のように
    シリーズ化されたらいいいなと思う。

  • 山東京伝の黄表紙「御存商売物」を読み解きながら、江戸の出版事情を解説する。わかりやすいし、よくできてる一冊。
    パロディとか戯作とか、知ってる人がより楽しめる文化は、根強いものです。

  • 江戸時代の本…ってどんだけお堅いの?
    ってイメージでしたが、意外にもおもしろかったww

    なるほど、色んな『隠しネタ』を見つけてはニヤニヤするのが江戸人なりの『通』ってやつなのか!

  • 「江戸の紀行文」にも触れられている「黄表紙」という本、本書ではまず組み合わされた絵の情報を読み解くとその楽しさが判るといいう。その「黄表紙」から江戸時代の空気を感じ取ろうとする。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1956年生まれ。中央大学文学部教授。専門は日本近世文学、書籍文化史。現在は近世の書籍流通を中心に研究している。
著書に『江戸の本づくし』(平凡社新書、平凡社、2011年)、『蔦屋重三郎』(平凡社ライブラリー、平凡社、2012年)、『書籍流通史料論 序説』(勉誠出版、2012年)、『近世読者とそのゆくえ 読書と書籍流通の近世・近代』(平凡社、2017年)、『信州の本屋と出版』(高美書店、2018年)などがある。

「2019年 『書籍文化史料論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鈴木俊幸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×