経済学者はこう考えてきた: 古典からのアプローチ (893) (平凡社新書 893)

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  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582858938

感想・レビュー・書評

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  •  経済学の入門書。経済思想史家が書いているのでスタンダードな入門書とは書き方が異なる。著者も述べているように、スタンダードな教科書を勉強した上で読むと視野がグンと広がるような本に仕上がっている。経済学について完全に知らない人が読むと難しい点には注意。

     この本は経済学初心者にぜひおすすめしたい。理由は、経済学の不可解さについてのヒントがあふれているからである。たとえば第二章で経済学教科書を比較している。一口に教科書と言っても時代や書き手によって力点や取り上げられるトピックがどんどん変わるため、経済学の多様性と分かりにくさがよくわかるはずである。有名な経済学者の資本主義についての見方や思考法を比較する第一章や第四章もまた、同様に経済学の深さを読者に感じさせてくれる。
     教科書だけではなかなか目にすることのない経済学者や経済思想についてのトピックも多い。過去の偉大な学者の自伝を読むことなどによる歴史研究の醍醐味も第五章で書かれていて、経済思想や経済学史の面白さを伝えようとする著者の情熱の賜物だろう。

     総じて「経済思想史への招待」「思想史の面白さ」といった趣の本である。経済学の教科書が無味乾燥で飽きてきた大学生が息抜きに読むと目線が変わって新鮮だと思う。本書を読み終わりさらに思想史に興味がでてきたら原典や専門的な研究書を読んでみるのもいい。

  •  経済学の理論の背後には、古典から現在に至るまで、思想がある。その思想を基にして、改めて経済理論を考える、というのが本書。

     通常の数式やらが多い書籍よりも、思想から見る分とっつきやすかった。ただ、なんともなしに経済学は絡みづらい。
     

  • 東2法経図・6F開架 331.2A/N62k//K

  • 20181105~1126 根井先生の著作は読みやすい。私が学部生だったころはさすがにマル経は落ち目でしたが、新古典派・近経・ケインズだったかな。根井先生は本書で通常の教科書ではあまり取り上げられないシュンペーター、ガルブレイス、ミンスキーの学説も取り上げている。すべての経済問題を主流派の観点でしかみられなくなるのは「学問の自由」にとって好ましくないと考えているためだ、という。学問の多様性は重要。
    本書では、経済学の教科書の変遷を題材にとり、経済学がどのように学ばれてきたかを検証している。
    経済学の学び方ガイドにもなっている。ここから各自の関心ある分野の著書に手を出していけば良いと思う。

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著者プロフィール

1962年、宮崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。著作に、『今こそ読みたいガルブレイス』(集英社インターナショナル新書)、『英語原典で読むシュンペーター』(白水社)、『現代経済思想史講義』、『経済学者の勉強術』、『来るべき経済学のために』(橘木俊詔との共著)、『ブックガイド基本の30冊 経済学』(編著、以上四冊は人文書院)など多数。

「2021年 『16歳からの経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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