金正恩が表舞台から消える日: 北朝鮮 水面下の権力闘争 (978;978) (平凡社新書 978)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582859782

作品紹介・あらすじ

核開発と経済の併進という矛盾政策をとる北朝鮮の権力内部で何が起きているか。健康不安説が消えない金正恩。その一方で存在感を増す金与正。水面下の権力闘争を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 日本から近くて遠い国の現状を報告されています。若い元首が取っている施策と国内事情を、内外の情報分析により解説されています。国を統治することは並大抵なことではないと推察されますが、元首やその協力者の行動により国際的にも良い方向になればよいと感じました。また何より国民自体が少しでも良い生活になればよいですね。

  • 繰り返されるミサイル発射や金正恩が偽物のように顔が変わっていることなど、気になることが多くなった北朝鮮。わかりやすい解説ですぐに読めた。

  •  現在のトピックを薄く広くカバーという感じで読みやすい。金正恩の健康不安説をめぐるドタバタ、金与正の地位の微妙な上下と現在の大きな発言力。コロナ禍、制裁、食糧不足の三重苦。2021年初の党大会(経済発展5ヶ年計画、原潜、総書記就任と第一書記ポスト、主体や先軍の削除といった「正恩カラー」)、核・ミサイルや軍事パレード、政治局常務委員の5人など要人、世界各国との関係など。
     個別エピソードの中では、韓国国情院の情報収集力低下、サッカー選手やアフリカとの取引による外貨稼ぎ、高いハッキング能力、金英哲と崔善姫のキャラ、中朝「血盟関係」復活か、といった点に興味を惹かれた。

  • 金正恩政権と北朝鮮の現状について知りたくて読書。

    指導者の健康情報は極秘扱い(p32)
    この小見出しに尽きると思う。

    民主主義である日本ですら昨年、安倍首相(当時)の健康情報の噂が入り乱れたことは記憶に新しい。一党独裁、情報が厳しく統制されている北朝鮮であればなおさら表に出てこない。

    北朝鮮建国からの歴史を学んでいれば、北朝鮮は指導者の健康に関する情報を巧みに主に内政に利用してきたことがわかる。

    それを踏まえると“金正恩重体説”などを脱北者が把握できる情報ではないことは明らかだ。ましてや中国人民解放軍関係者が把握できるものではないだろう。多くが願望混じりの噂や戦略として流された情報と考えるほうが現実的だ。

    慢性的な食糧不足に加えて、コロナ禍の今、北朝鮮経済が非常に厳しいことが報じられている。

    北朝鮮経済の現状に関心があるので、第三章 三重苦にあえぐ北朝鮮の実態をしっかりと読ませてもらった。

    北朝鮮の生命線とも言えるのが、中国との関係だろう。

    二つの国は、三つのものでつながっている。それは貿易と観光、朝鮮戦争だ。(p207)

    中国は昨年の朝鮮戦争参戦70周年を内政利用して反米キャンペーンを大々的に実施するなど北朝鮮を有効活用している。

    確かに貿易面での中国依存は国連制裁強化の影響で年々高まり9割を越えるなど経済面でも依存しているように思える。

    しかし、北朝鮮は本当に中国を信用しているのだろううか。確実に手放すことはないだろう核兵器は表向きは対米だが、本心は中国からの侵略に備えての核武装なのではないだろうか。

    最後に日朝関係についての言及があるが、日本が北朝鮮との関係を改善させて、国交を樹立させるのが日本の国益になるのか。

    万が一、日朝関係が好転、進展したとする。そうすると国益に反するであろう中国や韓国がどう動くのか気になる。

    中国は北朝鮮を経済だけなく領土的に取り込みたいと考えているだろうし、理想主義の韓国のリベラリストたちは、韓国主導での統一を夢見ているだろう。それぞれ日本がどのような影響を受けるのかを綿密にシミュレーションして、今後の日朝関係を考えていく必要がありそうだ。

    読書時間:約55分

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著者プロフィール

五味洋治:1958年長野県生まれ。82年早稲田大学第一文学部卒業。83年東京新聞(中日新聞東京本社)入社、政治部などを経て97年韓国延世大学校に語学留学。99~2002年ソウル支局、03~06年中国総局勤務。08~09年、フルブライト交換留学生として米ジョージタウン大学に客員研究員として在籍。現在、論説委員。主に朝鮮半島問題を取材。著書に『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(創元社)、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)、『父・金正日と私 金正男独占告白』(文春文庫)、『女が動かす北朝鮮 金王朝三代「大奥」秘録』(文春新書)などがある。

「2021年 『金正恩が表舞台から消える日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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