「若者の読書離れ」というウソ: 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか (1030;1030) (平凡社新書 1030)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582860306

作品紹介・あらすじ

「最近の若者は本を読まない」のは本当なのか? 「中高生が読んでいる本」の綿密な分析を行い、「朝読書」や「TikTok売れ」の影響など、多彩な視点から10代の読書の実態を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 「本を読まない人がいることを問題視するのではなく、当然視するべきだと。
    その前提で働きかければ本を読むようになる余地がある人たちへのアプローチこそ重要」
    なと思いました。
    読まれる本の3大ニーズと4つの型、カテゴリージャンル別に見た中高生が読む本、10代の読書はこれからどうなるのかということが分析されていて面白かったです。
    韓国の詩など、店頭に並べられているのを見て、個人的にどこからブームになっているのかなってちょっと個人的に疑問に思っていたので、納得。
    巻末に
    今の学年になってから読んだ本
    2022年の学校読書調査
    も紹介。
    傾向分析が面白かったです。

  • 50年前と現在で高校生の読書量は横ばいであることに驚いた。メディアやSNSでは明確な根拠なく「読書離れ」を話題に上げるが、実際は読書離れどころか小中学生の読書量はV字回復しているのが現状である。
    また、平均より多く読書をする大人(司書や出版関係者)が自分たちよりも読書量が少ないからといって、小中学生が本を読んでないと決めつけてしまうのも問題である。月の読書冊数の平均が2冊以下であることから比べると、上記の人はマイノリティである。そのことを自覚した上で、小中学生の読書推進に向けた企画を起こすべきである。
    大人がおすすめする本と子供たちが実際に読む本では、種類も求めているものも違う。図書館司書の方が子供たちに本をおすすめする場合には、受け手である子供たちの意見を聞くのがよいのだろう。

  • 結論から言いますと
    〈「子ども・若者の本離れ」は虚妄である〉

    そして今、彼らがどんな本を読んでいるのか。
    具体的に挙げ、三大ニーズと四つの型を元に解説。
    また小説以外で読まれている本の共通点を語る。
    なかなか面白かったです。

    ふーん。こういう本を読むんだ。
    多くが私には縁の無いものでした。

    著者飯田一史さんはこう言います。
    〈本書をお読みになった大人、とくに中高年以上の読者には、中高生が好む本の内容を知って、眉をひそめ、「ろくなものを読んでいない」と感じた方もおられると思う。
    だが「平均的な中高生から見えている本の世界」は、月に2ケタ以上の冊数を当たり前に読む「本好き」から見えている世界、読書家が好むような本の世界とはあまりに隔たりがあることを認識してもらいたい。教師や司書、出版関係者、マスメディアの記者や編集者には本好きが多く、出身校である中学、高校も進学校であることが少なくない。国語に関する世論調査を見ると、本を月7冊以上読む人は全体の3%しかいないのだが、日常的に「本を読む」人たちばかりの環境で長年過ごすと、たくさん本を読む人間がマイノリティであることを忘却し(または気付かないまま)、「今の若者の読書はかつてより劣化している」と誤って認識してしまう。実際には「今のほうがずっとマシ」なのに、だ〉

    私自身、小学生のときはよく読んだけど、
    中高から短大そして働いてからもしばらく、
    読書というものの優先順位がすごく低くて、
    月一冊も読みませんでした。

    今Bookwormになっちゃっているのは、
    その時とその後の経験からなんですね。
    昨年断酒したので、さらに過激になってしまっています。
    でも私は中高生に読書しなさいとは言いません。

    習い事で中学生と一緒になるんだけど、
    彼女たちは本当に忙しい!
    授業、塾、部活、習い事。
    本を読む時間なんて無いのではないかしら?

    そんな彼女たちがいつか何かの機会に本を手に取り
    「この本を読んでよかった」という経験ができたら。
    そしてそれをきっかけに少しずついろいろな本を読み
    楽しみながら成長できたらいいなあ。

  • タイトルからは読書離れを語るのかなと読めますが「中高生が読む本とそれが選ばれる理由」が主なテーマ。中でも三大ニーズと四つの型は正確に要所を抑えた内容です。正に自分は思春期の頃、このような本を好んでいたなと得心しました。巻末にある人気本リストはブックオフの常連たち。図書館が若者の貸出率を上げるためにはブックオフの棚を見るのが1番なのでは、と勝手に思いました。

    そもそも若者は読書離れしてない、という論考にも納得。若年層の人気タイトルやその傾向、選ばれる理由を多角的に学べる好著です。とても良かった。

  • 読書教育をする身として、大変興味深い内容だった。

    この本の内容を大まかに言うと、実は読書離れが進んでいるわけではないこと、子供たちの求める本には傾向があること、この2点について、さまざまなデータや書籍を引用しながら明らかにしている。

    本を読まない層も多いが、概ね子どもたちは本が好きな子が多いと感じていたので、全国的な傾向が知れてとてもよかったと思う。

    また、読書教育の一環で、読まない生徒を読書好きにするにはどうするか?ということがあったのだけど、この本のおかげで肩の荷が降りたようだった。
    読書を好きになるかは、生まれつきの部分が多いということ。つまり、スポーツが好きになったり、ゲームが好きになったりという趣味傾向の意味で、その人の元々持っている遺伝的要素が強く出るということなんだろう。
    文字を読むよりも絵や動画の方が学ぶことの多い子どももおり、それぞれの情報への接し方の好みは、生まれつきの部分が多い。だからといって、読書教育をしても意味がないと言うわけではなく、読者を好む傾向のある子たちに本を届ける活動として、現在の読書活動を続けていこうと思った。

    また、子どもたちが好む傾向のある本についても、なんとなく共通点があると思っていたので、この本で具体的に理解できてよかったと思う。
    個人的にはノンフィクションの本を生徒に読んでほしいと思っているので、自分ごとに捉えられるようなものを探したい。

    私自身は読書好きな方なので、自分が好きな本を生徒に勧めてもピンとこなかったり、難しすぎたり、年齢層が違いすぎたりと言ったことがあった。
    課題図書を選ぶときにも、かなり参考になると思う。

    本に携わるさまざまな人にこの本を読んでほしい。

  • 今の子たちは今までで一番本を読んでいる、というのはびっくり。でも、確かに、毎週図書館の本は持って帰ってきているし、学校の子どもの引き出しには、いつも何かの本が入っているな。。。
    5分間シリーズも、朗読時間に読むのにちょうどいいからなのですねー。ほー。。
    漫画の映画化の小説が売れる理由が、ちょうど1冊に収まるから、原作を全巻揃えるよりコスパがいいというのは、目からウロコだった。なるほど!大人買いが当たり前になったことに、ちょっと悲哀を感じた。
    ちょっと前まで、息子がカービィにはまっていたので、カービィで精神年齢が・・・の行は面白かった(笑)うちのコはまだまだ、カービィですよ。
    自分が知らないジャンル(ボカロ小説とか、韓国エッセイとか)も知ることができたので、機会があったら見てみたい。

  • なかなか目からウロコが落ちまくる本であった。

    著者はまず、「若者の読書離れ」が進行していたのは1980~90年代までであり、2000年代以降、小・中学生の読書量はV字回復している(高校生は横ばい)事実を、各種データから浮き彫りにする。

    その後、いまの10代――主に中高生――がどのような本を好んで読んでいるのかを、著者は詳細に調べ上げていく。その分析結果にも、随所に驚きがある。

    10代向けベストセラー本を大量に読みまくるだけでも、40代の著者にはかなりの苦行だったと推察する。大変な労作である。

    いまどきの10代が好むフィクションの主要要素が、詳細に抽出・分析されている。
    なので、たとえば中高生に売れる小説が書きたい人にとっては、「傾向と対策」のために必読だろう。

    登場する作品のほとんどを私は読んだことがないが、それでも本書は読み物として十分楽しめた。

  • 「2010年以降小学生は月に10冊以上本を読んでいる」から始まり大変読み応えのある統計のまとめと考察だった。ぼくらシリーズが今も読まれていて懐かしく思ったり、コナン劇場版ノベライズの人気や、東野圭吾こんなに読むんだ、と驚いたり。

  • 取り巻く情報が増大したので「読書離れ」は若者に限らない事実。離れがウソに興味はなく、若者の読書への興味に関する事実を知ることができそうなので読みたい

    # 「若者の読書離れ」というウソ
    #飯田一史
    23/6/17出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本

    https://amzn.to/3CtgZ6F

  • SNSのTLで引用をみて、ちょっと興味が出たので買ってみた。

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著者プロフィール

ライター。1982年青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。出版社にてカルチャー誌や小説の編集者を経て、独立。マーケティング的視点と批評的観点からウェブカルチャー、出版産業、子どもの本、マンガ等について取材、調査、執筆している。単著に『いま、子どもの本が売れる理由』『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ライトノベル・クロニクル2010ー2021』(Pヴァイン)など。

「2022年 『ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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