金融資産は今すぐ現金化せよ (ベスト新書 208)

著者 :
  • ベストセラーズ
2.93
  • (1)
  • (2)
  • (8)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 30
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584122082

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なかなか刺激的なタイトルで最後の一文でも

    旧来型の金融資産をお持ちなら、いますぐ「現金化」した方がよい。・・・あなたが見ていた風景はもう見られない。

    とあるが内容をよく見ると

    なにもそのまま現金で持ち続けなさい、といっているわけではない。
    来たるべき投資のチャンスに備えて、いまは現金化して金融マーケットから一時避難しておけばいいのだ。P.17

    焦る必要はない。いまはおカネを休ませるタイミングである。P.204

    など派手なタイトルの割に完全否定しているわけではない事がわかる

    ちなみに文中で批判されている投信とは「クソソブ」(グロソブ)を筆頭とした毎月分配型の高コストの投信のようでファンドの純資産総額ランキングの上位を占める似たような毎月や隔月分配型を「ニセソブ」や「エセソブ」と批判しているあたりは清々しさも感じられます

    ただ細かい部分では同意しかねる所もあってデリバティブ・証券化商品などの複雑系の危うさはわかるが株式・債券・為替などの単純系を全否定してしまうと現代社会の文明そのものを否定してしまうと思う
    これらが焼け落ちた時とは文明崩壊なわけで複雑系より先に単純系は長い長い低迷期を抜ければ新たな景気が形成するし循環されるものである

    筆者は債券安・株安・円安の「トリプル安」で日本の財政は破綻になり永田町や霞が関の中枢にいる人間はみな知っているP.109・・・とあるが経済オンチな法学部出の輩にわかるわけがない
    そもそもトリプル安がこの下降相場の中で起こるかどうかも疑問である
    08年を見ても株安は当然として債券価格はプチバブルを感じさせる上昇を見せた為替も円キャリの逆流も一服感を見せるが流れ的には円高傾向となっています

    P.190には著者の考えるハッピーシナリオで

    派遣社員の労働条件を変えるだけでいい。
    彼らはもともと貯蓄志向が低いため、余分なおカネは消費に回る。
    それが内需を拡大し、日本経済は立ち直る

    とあるが何ともおめでたい理論に感じる。派遣社員の消費感覚は安定した正社員より間違いなく低いだろうし余分なおカネなどどんなに労働条件を変えたって出てくるはずがないでしょう?

  • って、全然金融資産なんてないのですが、
    そういう大勢とは逆の意見を言われると読んでみたくなるのが人間の性です。

    リーマンショックの余韻が残る、1年以上前の本なので、ちょっと今読むと、
    形成が変わっている部分があるので、なんともいえない部分があります。

    世界的なバブルがはじけ、どの途上国も内在するリスクがあり、
    今確実に儲かる投資先が存在しない。
    もはやポートフォリオを組んだって通用しない。

    日本株価だってこの18年でどんだけ下がったか。
    投資の基本の長期投資だって失敗してるじゃないか。

    という感じの話なのですが、
    見方が一面的な感じがして、どうものっていけません。

    しっかりリスク分散を考えるのであれば、
    定期的に評価して、増えた部分は一定の量で現金化するなりして、
    ポートフォリオを組みなおすのが基本です。
    なので日本の株価を18年でみるのがおかしな話です。
    その前のバブル期での精算のタイミングを逃し、
    さらに、一番最悪なタイミングで投資をした例え話です。

    確かに難しい時代ではあると思うのですが、それはいつの時代も同じで、
    長期投資を前提に、しっかりポートフォリオを組んでいれば、
    現金で持ち続けるより不利ということはないと思います。

    まぁしっかりポートフォリオ組めないから、現金で持ってるんですが・・・

  • CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)企業の破綻リスクを請け負う保険のようなもの
    ”デリバティブ”,”証券化”,”オフバランス”

    グルジア紛争は、エネルギー覇権をめぐる米国とロシアのせめぎあい。アゼルバイジャンには最大の産出量を誇るバクー油田がある。ここからグルジアを通ってトルコ、地中海をぬけるパイプラインはロシア領内を回避する格好で延びている。
    北京五輪前に勃発した”チベット問題”もエネルギー問題が大きくのしかかっている。政府が弾圧を繰り返した新疆ウイグル自治区は中央アジアと隣り合っている。今後中国がエネルギーの安定的な供給体制を確率するうえで、同自治区はパイプラインを通す要所となる。

    これまで財政出動といえば、赤字国債を発行してでも景気浮揚をはかる政策であり、国が借金をしてでも予算をばらまくということにほかならなかった。しかし、日本のような財政赤字の国が財政出動して景気回復を図るのは無理な話。赤字国債を発行すれば国債の流通量が増えることで国債そのものの価値が下がることからその価格は下落する。債券価格が下落すれば金利は上昇。金利が上昇すると相対的に日本円の魅力が高まり、円高になってくる。トヨタは1円の円高が進むと400億円もの利益が吹っ飛ぶとされている。
     財政出動によって発生したプラス効果は、円高によるマイナス効果によって打ち消されてしまう。景気拡大にはつながらないうえに、借金ばかりが積み上がるという構図になる。

    今後も円高←米国経済の失速、欧州経済の地盤沈下、巨額為替介入の反動、円キャリートレードの逆回転

    投信とは、売り手の事情に基づいて設計された商品で、高い手数料を払いながら、リスクは投資家が負う。手数料を取られている分、リターン以上のリスクを負っているといえる。

    今回の危機が起こった以前の風景にはもう戻らない。今は”殖やす”よりも”減らさない”を考えて行動すべき。元本確保型の”預金”や”国債”。新たなステージにふさわしい商品が登場するまで1時避難しよう。

  • 2008/12/18購入

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

須田慎一郎(すだ・しんいちろう)
経済ジャーナリスト。1961年東京都生まれ。日本大学経済学部卒。経済紙の記者を経てフリー・ジャーナリストに。
「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続けるかたわら、「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)、「そこまで言って委員会NP」(ytv)、など、テレビ、ラジオの報道番組で活躍中。 また、2007年から2012年まで内閣府の多重債務者対策本部有識者会議の委員を務める。政界、官界、財界での豊富な人脈をもとに、数々のスクープを連発している。
著書に『ブラックマネー』(新潮文庫)、『山口組マネー』(宝島社)、『投信バブルは崩壊する! 』(ベスト新書)、『下流喰い 消費者金融の実態』(ちくま新書)、『「階級格差」時代の資産防衛術』(イースト新書)などがある。

「2019年 『なぜカリスマ経営者は「犯罪者」にされたのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

須田慎一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×