「亡国農政」の終焉 (ベスト新書 257)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584122570

作品紹介・あらすじ

2009年9月、鳩山民主党政権が誕生した。新政権は旧来のバラマキ政治を批判し、「脱官僚」を旗印に掲げている。かつて「自民党農林族」と呼ばれた政治家たちは、多くがその地位を失った。JA農協、農林水産省、族議員-。この「農政トライアングル」は、民主党政権の農業政策により、大きく形を変えていく。だが、三者の関係の変化がすぐさま、日本農業の復活を意味するわけではない。自民党農林族がいたように、「民主党農林族」も存在するからだ。本当の農業復活は、民主党政権後にスタートする!本書では、元農林キャリア官僚である著者が、農林水産省の実態を浮き彫りにしつつ、族議員、農協との関係に切り込む。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年11月に出た本です。その年の1月に「農協の大罪」は読んでいたが、こちらは今回初めて読んだ。山下一仁さんの経歴なども書かれていて理解が深まった。

  • 日本農業の課題を論じた類書は多いが、本書ほど問題の本質を的確に突いたものは知らない。
    その証左に最終章の未来予測は

  • 山下氏は、農水省における古賀氏のような存在だった人である。山下氏の農政改革案は2003年頃の民主党のマニフェストに採用されていた。その後、ばらまき農政に堕落している。
    農水省の甚だしく劣化している。経産省よりもひどいのは、農水省の領域は自民党農林族による政治主導でまともなことができない状況が続いていたからである。農水省には3万人もの職員がいると知り驚いた。
    耕作規模の小さい農家=貧農では決してなく、彼らは年収700万円以上の所得を得ているこる第2種兼業農家である。JAの手厚い支援で、パートタイムで米を作ることができ、かつ米価が高く設定されているので収入も多い。しかし、生産性は低く、農業の大規模化への足枷になっている。処方箋は簡単なので早急に改革が進むことを望みたい。

  • [ 内容 ]
    2009年9月、鳩山民主党政権が誕生した。
    新政権は旧来のバラマキ政治を批判し、「脱官僚」を旗印に掲げている。
    かつて「自民党農林族」と呼ばれた政治家たちは、多くがその地位を失った。
    JA農協、農林水産省、族議員―。
    この「農政トライアングル」は、民主党政権の農業政策により、大きく形を変えていく。
    だが、三者の関係の変化がすぐさま、日本農業の復活を意味するわけではない。
    自民党農林族がいたように、「民主党農林族」も存在するからだ。
    本当の農業復活は、民主党政権後にスタートする!本書では、元農林キャリア官僚である著者が、農林水産省の実態を浮き彫りにしつつ、族議員、農協との関係に切り込む。

    [ 目次 ]
    第1章 農政の大罪
    第2章 私が農林水産省に入った理由
    第3章 私が農林水産省を辞めた理由
    第4章 古き良き農政―柳田國男と二つの農政課題
    第5章 「農政トライアングル」の成立と農林水産省の転落
    第6章 ウルグァイ・ラウンドと日米コメ交渉
    第7章 消されたWTO交渉マル秘戦略―松岡元農林水産大臣の死の謎
    第8章 石破茂前農林水産大臣の挑戦
    第9章 民主党政権は「農政トライアングル」を破壊する!
    第10章 民主党政権後に来る「農政大改革」

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    [ 参考となる書評 ]

  • 日本の農業の欠点は何か?
    それを明らかにする内容。

    ただし、本書では今の日本の農業がイチからわかるような内容はあまり無い。
    問題点がある程度わかっていないと主張の利点がわからない部分もある。

    著者が農林水産省の出身のためか、特に農林水産省の組織を守る行動や官僚の自己保身、政治家の行動から書かれているものがほとんどとなる。
    国の方針に従って民間が動く以上、日本においては最も根本の農政の方針を示している。

    主な内容としては、農業の正しい工業化を目指しながら、それへの道中にどんな障害があるjのかが中心。
    米価を高くして自己の利益を求める農協、票のために農協に尻尾を振る政治家、バラマキ政策や米の保護政策を甘受するために農地を手放さない兼業農家、これらが日本の農政を止めている。
    そして著者が属していた農林水産省の官僚達、だ。

    本書の最後の方でも触れているが、民主党に政権交代したことでこれらを壊してくれる、という点が期待出来るとは思う。
    ただし、著者が書いた理由とは別の理由からだが。

    この本を読んで、数年後には日本の農業が大きく変わり、輸出中心の成長産業へと変わる可能性を感じた。

  • 農政トライアングル,WTO交渉やFTAと関税・ミニマムアクセス,農林水産省の内部実態,近年の自民による農政改革への努力などなど。色々初めて知って面白かった!

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著者プロフィール

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
1977 年東京大学法学部卒業。ミシガン大学行政学修士、同大学応用経済学修士。博士(農学)。農林水産省ガット室長、地域振興課長、農村振興局次長などを経て、2008年より独立行政法人経済産業研究所上席研究員、2010年よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
主な著書に、『国民と消費者重視の農政改革 ―― WTO・FTA時代を生き抜く農業戦略』(東洋経済新報社、2004年)、『食の安全と貿易 ―― WTO・SPS協定の法と経済分析』(編著、日本評論社、2008年)、『環境と貿易 ―― WTOと多国間環境協定の法と経済学』(日本評論社、2011年)、『日本農業は世界に勝てる』(日本経済新聞出版社、2015年)など。

「2016年 『経済政策論 日本と世界が直面する諸課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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