- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784588217319
作品紹介・あらすじ
安土桃山時代にポルトガルから伝来した〈かるた〉は、二百年余の鎖国の間に、当時の美術・文芸・芸能を幅広く取り入れ、〈和紙〉や〈和食〉にも匹敵する独自の日本文化として発展した。本書は、山口吉郎兵衛らの先行研究をふまえ、それを逐一検証して誤りを正しつつ、自身の厖大なコレクションをも駆使して、〈いろはかるた〉や〈百人一首〉から賭博用具まで、〈かるた文化〉の全体像を描き出す。
感想・レビュー・書評
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カルタはポルトガルから日本に伝わった。最初に文献に登場するのは1597年3月に土佐の領主長宗我部元親が発した「長宗我部元親百箇条」「長宗我部元親式目」に賭博かるた諸勝負令停止…とあるそうです。先人の研究に経緯を払いつつ、必ず自分で原典にあたることをおびただしい数を重ねてしまとめた本でした。これを憲法学者であることと並行して行っていたとは、2つくらいのことなら誰でも真剣に取り組めると先生がいっていたことを思い出します。私が思うカルタは「絵合わせ」「歌合わせ」カルタですが、ポルトガルからきた当初のものは勝負が早く決まるであろう少ないパターンでした。平成3年民族学研究者伊藤真の研究成果であるインドネシアスウェラシ島でポルトガルから伝来した龍のつくカルタが今でも遊ばれていることの発見は、ポルトガルのドラゴンが日本以外の土地でも生存していたうれしいニュースであったとのこと。アジアを旅するという学生には、現地で遊ばれているカードゲ—ムや麻雀牌を集めてきてくれといっていたことも思い出しました。平成22年以降、光村図書小学三年生の国語の教科書で江橋先生は、「百人一首」「いろはかるた」の説明、「郷土かるた」作りを勧めているそうです。