都市環境行政法論: 地区集合利益と法システム

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  • 法律文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784589033093

感想・レビュー・書評

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  •  職場の図書館で新しそうな本なので、なにげなく借りた。

     著者は、熊本県の職員で、熊本大学の法学部の博士論文をまとめた本。力作。

     いたた、と思う点と、何か制度的に役立ちそうだと思う点あり。

    (1)建築基準法の改正だけで容積率を緩和する制度を列記して、批判している点。(p7)

     昭和63年の再開発地区計画などの都市計画で緩和する制度があまり実績があがらないので、全国一律で、一気に緩和する建築基準法の改正。

     自分の住んでいる一種低層のマンションの目の前にから堀を掘られて地下室をつくられて、まいった。神様は怠惰で時代に流されていた自分に厳しい罰を下された感じ。
     
     これからは、超大都市を除いて、緩和の時代ではなく、都市縮小をどうやって実現するかの時代。空き屋もいっぱいあるので、まず、リニューアルやコンバージョンが大事。

    (2)地区計画は計画事項が法定されているが、実際に神戸のまちづくり協定では、地区計画の計画事項に加えて、歩行者用公開空地の管理、ごみだしなどの生活マナーなど、管理に関することを定めている。(p177)

     これも制度的な課題だと思う。現実に、建築協定から地区計画に移行する例もでてきているので、実態に即して制度もつかいやすくする必要がある。また、マネジメントに着目するのも大事。

    (3)行政庁と建築確認申請者と利害関係者の三者による協議会制度。(p221)

     周辺住民の当事者適格とかいう法律家得意の議論に陥らず、丁寧に条例での協議会制度の運用を分析する著者の態度に好感が持てる。

     協議会を法律の効果に結びつけるのは、復興特区法などにもあり、制度的に穴ができてきたので、従来の公聴会、意見聴取といった一方的な仕組みに加え、三者協議の仕組みを制度的に検討すべきではないか。

     イギリスのinspetorとかいくら勉強しても成果がでないが、実際に日本で条例上運用している制度を勉強して、制度化する方が大事だと思う。

     とにかく、法学者で都市計画制度にまじめな関心をもってもらってうれしい。

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著者プロフィール

岩橋 浩文(熊本学園大学経済学部准教授)

「2019年 『地方自治の法と政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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