少年探偵江戸川乱歩全集〈44〉人間豹

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591001530

感想・レビュー・書評

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  • みんな好みが一緒だった


     人間にして豹。って、どうやったら生まれるのか不明(本当に、最後まで読んでも分からなかった!)。変幻自在の怪物・人間豹という存在が、美女を好み、いたぶり、残酷な愛し方で死に至らしめます。
     異色作とはこのことですね。乱歩自身は、異色を通り越して失敗作と思っていたような節さえあります★

     人間豹に弘子を奪われた神谷青年は、翌年、弘子そっくりにしてそれ以上にすばらしい恋人・蘭子を得て傷心を癒やされ、幸せに酔います。が、それもひとときの夢にすぎず。人間豹も蘭子に目をつけるのです。なぜなら、弘子と蘭子はそっくりだから。

     それだけならまだしも、明智文代夫人まで人間豹好みの美女とのことで、人間豹は、大胆にもかの名探偵の妻を狙います。意表をつきまくることには、人間豹は頭の回転が速く、明智小五郎ほどのキレ者をふりまわすのです。珍しくも後手後手に回った明智探偵は、最後の最後まで冷や汗と脂汗を流しまくり、走り回り、ただただ文代さんの身を案じるのみです。謎解きなどせずに……。

     他の作品では見られないバタバタ感と明智の表情が読みどころかも!? いつもならばいかなる怪人、怪盗、殺人鬼に会っても飄々としている男が、この事件に限っては理性を失い、己の悪運を呪い、まるで狼狽を隠しません。最愛の妻を奪われれば、この人とて心をかき乱されるのです。
     常日頃は平然としている人物が慌てている姿というのは、こう言っては失礼だろうけど、不思議とセクシーですね。

     探偵は客観的な立場から事件を見渡せる、外部の人間であることが望ましい。円の外側にいるからこそ、常に優位に立つことができます。ところが今回は自身が事件の円の中にとりこまれたことによって、探偵として機能しなくなってしまったのですね。

     そうそう、これが言いたかったのです……、人間豹と神谷青年と明智小五郎は、女性の好みが一緒ってことです。特ダネです★

  • (1999.01.10読了)(1998.12.17購入)
    (「BOOK」データベースより)
    大学を出たばかりの青年会社員・神谷芳雄がめぐりあったあそるべき怪事件。愛人の弘子がつとめる京橋のカフェ・アフロディテで、芳雄は怪物人間豹を知った。その顔はドス黒く、大きな口、そして敏捷に動く舌は肉食獣猫属の舌であった。怪屋にとじこめられた弘子と芳雄!おそるべき危機は刻々とふたりの上に迫る!。神谷芳雄の第二の恋人、それはかつての恋人弘子とうり二つのレビュー団の女王、歌姫の江川蘭子であった。その美しい姿が突如として舞台の中央から消えた。またしても人間豹のしわざであった。危ういかな蘭子。芳雄は懸命に怪物を追う!はたして人間豹とは?明智小五郎名探偵の推理は?

    ☆江戸川乱歩さんの本(既読)
    「少年探偵06 透明怪人」江戸川乱歩著、ポプラ社、1964.09.01
    「少年探偵07 怪奇四十面相」江戸川乱歩著、ポプラ社、1964.08.
    「少年探偵09 電人M」江戸川乱歩著、ポプラ社、1964.09.
    「少年探偵10 宇宙怪人」江戸川乱歩著、ポプラ社、1964.10.
    「少年探偵14 夜光人間」江戸川乱歩著、ポプラ社、1964.11.05
    「少年探偵16 仮面の恐怖王」江戸川乱歩著、ポプラ社、1970.06.
    「少年探偵27 黄金仮面」江戸川乱歩著、ポプラ社、1970.08.
    「少年探偵30 大暗室」江戸川乱歩著、ポプラ社、1970.10.

  • 1954年発表

  • (メモ:中等部1年のときに読了。)

  • 人間豹の歌舞伎公演第二弾を鑑賞予定のため読んだ。
    乱歩が一番よく書けた小説と言っていたらしい。
    確かに、少年探偵団シリーズは、明智や小林少年に頭が上がらないが、孤島の鬼が一番だと思う。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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