- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591072585
作品紹介・あらすじ
生後5カ月でアトピーになった我が子。日増しに悪くなるばかり。ママは疲労こんぱいでダウン。そこで、パパの登場。公園デビューまでしたけれど…さて。
感想・レビュー・書評
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本の背表紙を一目見たときは「性転換を行った方の体験談なのだろうか」と思いましたが、実際は表紙にもあるように、アトピーを抱えている子の親である筆者(父親)が、精神的にやや疲弊している妻と協力しながら育児をした約1000日間の記録を綴った本でした。
私は身内にアトピーを発症した人がいなかったため、読んでいる最中になんども発見があった。
あくまで筆者が体験した話である事を前提に内容を書くと、皮膚科医と小児科医に相談すると、前者は「あくまで皮膚の病気なのだから食事には気を使わなくてよい、塗り薬が大切」と話すのに対し、後者では真逆のスタンスをとる人がいる。
ステロイド剤を使用した妊婦からは95%の確率で女の子が産まれる(島津医院の島津恒敏氏の話による。東北大学医学部の田上八朗氏は否定的)。
アトピービジネスと呼ばれる、医療保険の診療以外の行為(温泉療法、健康食品、特殊療法など)によってアトピーの治療に関与し営利を追求するビジネスが存在すること(これを否定し、副作用を考慮してもステロイド剤を使用すべきというスタンスでいるのが金沢大学の竹原和彦氏である)。
筆者のアトピーに関する二つのインタビューを要約すると
1.医師によって治療法・考え方は様々。アトピーはおそらく自然治癒する病気だが治るまでに時間がかかるため根気強く、あせらずに十分に吟味した治療法を試み、良いと判断できた方法を続けていくことが大切であるということ.
2.ステロイド剤の使用を拒否している患者の存在の背景には、きちんとした使用上の説明もなさぬままに安易に投薬した医師にも責任があることは否定出来ない(特にインフォームド・コンセントという仕組みが確立されていなかった1970〜1980年代の頃にステロイドを使用した人が成人後アトピーを発症しているデータがある)。
というものであった。
筆者はかゆみのために何度となく眠れぬ夜を過ごし、大変苦労していた事がとてもよく伝わってきた。「おわりに」ではIgeの値も下がり安堵している様子であった。アトピーのより良い治療法が見つかることを祈ります。詳細をみるコメント0件をすべて表示