きのうの神さま

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 182
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591109236

感想・レビュー・書評

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  • 今、何か言った気がする。
    ひざの上に開いた社会のテキストに目を落としたまま、じっと耳を澄ましてみる。けれど聞こえてくるのは、お腹をなでられるような感触の、バスのエンジンの深いうなりと、三センチほど開けた窓から、ひゅるひゅるととぎれとぎれに入ってくる風の音だけだ。

  • よかった。 
    西川美和の ゆれる 映画が好き
    とりあえず ゆれるの前に違う原作を読みたかった。で、読んでみたら、とてもよかった。  

  • あったかいけど息苦しい田舎の空気がなんともいえずよかったです。

    サラッと読めるけど、軽くない。不思議な感じです。

  • 競争世界が生みだした大都会の歪みに迷って
    寒村に魅せられた医者とそこに根付いた住民達が生み出すドラマの
    短編集と言うことなのだろう
    作者の狙いが読者へのエンターテイメントなのか
    単に詩的感情なのかゆれているのだろうか
    文のきれいさにも取り繕いを感じてしまう

    創作は世間と言う温室に支配されずに
    そこで培った自分の世界を自由自在に生き抜く遠慮のなさが魅力だし
    結果として他人を傷付けることも少ないように思う

    ドキュメントには観察者の淡々とした鋭い目と
    その客観性によって汲み取られた軌跡を表現する個性的な魅力があるし
    読者が自分の価値観と組み合わせて遊べる情報もある

    しかし創作とドキュメントのハザマにあるどっち付かずの表現には
    都会的なスレンダーさと共に媚びを感じることが多い
    どこか箱入りのモヤシみたいな甘えがあって
    文とは無関係に気遣わせる心もとなさがある

    文芸と言う小さな機微に治まっているものは
    創造が広げるロマンの代わりに
    同病相哀れむことで過去の世界を掘り起こして
    自らの慰めを楽しむためのものらしい

  • 映画「ディアドクター」の登場人物の過去を描いた短編集。

    主に医療現場とその家族を表現した話。

    西川美和の文章はすごく切なくて温かいと思います。

    短編集の中でも「ノミの愛情」「ディアドクター」は傑作だと思います。

    でも、私みたいな人はこの本は読まないほうがいい。
    悲しくなるから。

    ★「涙の理由が、正確に理解されることは少ない」

  • 何気なく手に取って読んだ本だけど、よかったなー。
    医療のまわりって人間の本質が現れるような気がする。

  • 話は違うのに、雰囲気、閉塞感が映画「ディア•ドクター」そのもの。
    あんな映画を作れて、小説も書けてしまうって本当に凄い。

    2011.09.29

  • 高齢だったり、その介護だったり、あるいは取り残されたような田舎に住んでいたり、第一線から退いていたり、といった「取り残された人々」のエピソードが苦味を感じさせる作品集でした。ドラマ性の全く無い日常を作品にするのってすごいなあと思いました。なかなか読ませます。映画は観ていないので機会を得て観たいと思いました。

  • 2011年7月26日(火)、読了。

  • この人の文章やっぱ読みやすくて好きだなあ。するすると入ってくる。一番はじめのお話がすきだった。

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著者プロフィール

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。在学中から映画製作の現場に入り、是枝裕和監督などの作品にスタッフとして参加。2002年脚本・監督デビュー作『蛇イチゴ』で数々の賞を受賞し、2006年『ゆれる』で毎日映画コンクール日本映画大賞など様々の国内映画賞を受賞。2009年公開の長編第三作『ディア・ドクター』が日本アカデミー賞最優秀脚本賞、芸術選奨新人賞に選ばれ、国内外で絶賛される。2015年には小説『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補、第153回直木賞候補。2016年に自身により映画化。

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