完璧じゃない、あたしたち

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 515
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591155363

感想・レビュー・書評

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  • 出版前から王谷さんのツイッターをフォローしていた、それも作家という括りではなく映画が好きでツイートが面白いから、という理由だった。勝手に身近に感じながら読んだ。
    まずは女性そのもの(女同士の恋愛含む)を書いた小説がいかに世に少なかったことか、と思う。そして時代の「リアル」、更には貧困・底辺を書ける人だ。なんだか皮肉に聞こえると困るけれど。比較するわけではないが村上春樹の主人公はおよそ閑職でスマホも持たない、作家が歳を取るにつれ浮世離れ感が強まっている(村上春樹にサラリーマンがツイッターする小説を求めているわけではないものの)そこまでビッグネームでなくても、成功した作家が庶民を描けず、主人公も作家だったりするのはよくある話。本書の彼女達は、中小企業の事務やスーパー契約社員、ツイッターにネトフリにゲーム、安酒で酔っ払って記憶を失い3000円しない靴を買う。「ときめきと私の肺を」で田舎から出た若い主人公が水商売で客に罵られつつ「誰にも入れない城塞の中の私」が「いつかこれもすべて文字にして金に換えてやる…このクソどもが」と呟くのはほぼ王谷さんの自伝だろう。
    同時に、作家には自らの経験から離れたことを書く能力も求められるが、そこは某芸人作家と違って…はともかく、軽くクリアしてくれるだろう。SFっぽい作品からはケン・リュウなども連想した。戯曲で「一生に一度でいいから言ってみたかった!ここは俺に任せて先に行け!」など同じ映画好きとして笑った。この次の作品が楽しみだ。

  • ガールミーツガール率高めの短編集。友愛から性愛まで、年齢層もいろいろ、女同士の関係性もいろいろだが、基本的に読むとスカッとする。若くて美少女同士の百合概念を煮詰めました!みたいのもいいけれども、こういう現実と地続きな感じがするお話もよいと思う。
    205pにある「殺人は、死体が出てこないかぎり立件が難しいって」というNetflixのドラマは、Orange is the new blackのことだろうか…

  • 文章がチープな感じがして、それが気になって話に集中できませんでした。

  • 小気味良い。いい話ばっかり。そして安全です。

  • 読み終わりいったいいくつの作品が載ってたのかと数えて、23作品もあったことで驚いた
    特殊な感覚(私の感覚から考えると)の登場人物が多く、どう考えて良いのか戸惑うことが多かった
    この作者は
    女性なのかな
    プロフィールには性別が記載されていない

  • 女性の身の回りにじんわりと纏わりつくしんどさを淡々と、端的に表していて馴染みやすい。具体的な店名や曲名、駅名が出てきてより身近に感じることができた。単なる『百合』の言葉に収まらない日常たち。ひとの人生なので。

  • 女同士の多様なつながりを描いた23編。好きなものが多くて絞りきれないのだけど、「北口の女」(落ちぶれた演歌歌手・磐梯山ミヤコを「先生」と慕い、一緒に田舎町へ流れてきた付き人の私は、バイト先のお弁当屋さんに来る一人の常連客が気になって…)や、「陸のない海」(バイト先のスナックにヤクザが重機で突っ込むのを呑気に見守っていた私は、一人の女子が震えながら店へ近づいていくのを見てとっさに外へ飛び出し…)が好み。様々な女たちを力強く肯定して頼もしい物語ばかり。女の子たちの語りも楽しい。良いものを読みました。
    タイトルは“We are not perfect. We are perfect, aren't we?” この肯定感が嬉しい (2018)

  • 本読み切るの一年ぶりって驚くわー。cakes から。

  • 『完璧じゃない、あたしたち』というタイトルで「女と女の小説」であることだけでありがたい。

    『ばばあ日傘』『姉妹たちの庭』『十本目の生娘』『イエロー・チェリー・ブロッサム』『夢で見た味』『ヤリマン名人伝』『タイム・アフター・タイム』が特に好きかな。クソ野郎が殺されたり、大人の女性同士がお互いを見つけたり支え合ったり、現実の歯がゆさモヤモヤを描いてくれてたり。

  • 2019/2/13

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著者プロフィール

著者:王谷晶(おうたに・あきら)
東京都生まれ。小説家。著書に『探偵小説(ミステリー)には向かない探偵』『あやかしリストランテ 奇妙な客人のためのアラカルト』『完璧じゃない、あたしたち』など。

「2019年 『BL古典セレクション③ 怪談 奇談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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