芸は人なり、人生は笑いあり 歌丸ばなし2

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591159224

作品紹介・あらすじ

「これは、我々落語家のバイブル。生き様と心意気、歌丸落語が活字で楽しめます。」――三遊亭円楽師匠も大絶賛! 
おかげさまで読者の方からも大反響、桂歌丸師匠の名作古典落語集の第2弾!

長屋に暮らす貧乏な夫婦の意外な思いつき(『尻餅』)、芸に打ち込む歌舞伎役者の物語(『中村仲蔵』)など、江戸を舞台にした、師匠とっておきの人情噺、滑稽噺を全8席収録。ネタのみどころ、裏話などを演目ごとに解説。落語への思いにあふれる桂歌丸、真剣勝負の一冊です。

【本文抜粋】
 どうぞ一席お付き合いをお願い申し上げます。
 すでにお客様もご存じと思いますが、最近はますます酸素吸入器が手放せなくなりました。管をつないでおりますと、鼻の周りがきらきら光りまして、いっそネオンみたいにしようかと考えております。歌丸、水っ洟を垂らしてんじゃないかとお思いの方もいらっしゃいますが、違うんです。これ、立派に息してるんです。
 息苦しいうえに、歩くのもひと苦労。そんなこともありまして、舞台の袖から高座へは車椅子でお迎え、家から寄席の会場へは車でお迎えと、ああ、あたくしもその日が近いかと精進にも磨きがかかります。
 周りの噺家連中もそろそろだって待ち構えているようで、こっちに断りなく葬儀の練習が始まっているようです。つい先日も、円楽さんが葬儀委員長になったからって楽屋に来まして、葬儀にお金をかけるのは馬鹿馬鹿しいですよ、最近はもっと簡素にエコにやるようになっていると言うんです。棺はいらないとか、霊柩車はリヤカーでいいとか、お経の練習を始めたとか。
 それであたくしも、黙っていられずに言いましたよ。練習するならネタの練習をしろって。それからね、はっきり言ってやったんです。
「あたしはあんたより絶対先には死なないよ!」って。なんだったら、笑点メンバー全員の葬儀委員長をやらせてもらうつもりです。
 この本は、ここ数年の高座の中から、お気に入りの演目を収めたものです。ネタは先代の師匠に頼んで譲ってもらったものもあれば、噺家同士で取り換えっこしたものもあります。
 台詞を磨き、サゲを磨き、あたくしの頭みたいにピカピカにしてご披露申し上げます。高座でお目にかかれない皆様にも、お楽しみ頂ければ幸いです。(まえがきより)

【収録作品】
後生鰻、小間物屋政談、尻餅、中村仲蔵、長命、城木屋、質屋庫、ねずみの8 席

感想・レビュー・書評

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  • お亡くなりになって何年経っても、あの耳馴染みのあるお声で脳内再生されると思うような、楽しいお噺集。

    落語って噺家が少しずつ手を入れて出来上がるんですね。持ちネタの交換や裏話などお噺ごとのエピソードを知ることもできます。

  • 歌丸ばなし 続編

    1冊目のレビューのところに
    「今度お二人が出る日を探して見に行ってみようと思います。」
    と書いたのだけれど…
    HPで出演予定をみて、行く日を決めていたら
    体調を崩されてお休み。
    その後機会を失っているうちに・・・・

    この本を入手したときに、あとがきの最後だけ見てしまいました
    「次は高座でお目にかかりましょう。
      2018年5月」

    解説はわかりやすくて面白かったのですが、流石に次はないですよね。

  •  歌丸師匠の寄席をそのまま書籍化第二弾。

     演目はメジャーでいかにも落語というものだけでなく、単純な笑い話の範疇に留まらないものも多い。落語というジャンルの幅の広さを感じる。サゲの変遷も勉強になる。
     実際に寄席で見たらもっと面白いのだろう。ただ、文字として残された価値は大きい。
     後書きの日付は18年5月。亡くなる2か月前。落語文化を後世に様々な形で残そうという遺志を感じる。

  • つい先日亡くなられた歌丸師匠の選りすぐりの8編。

    人情話が本当に素晴らしい!まるで口座を見ているようだった。

    前書きと後書き、闘病中でも明るく前向きに落語に取り組んでおられたのだなあ。

    笑い泣きしながら楽しめる一冊

  • また出してほしいけどもう無理だろうなあ・・と思っていた歌丸さんの落語本が続編でてました!とてもうれしかったけど出てたの知ったのが本屋の「追悼コーナー」というのは。。。
    前巻に比べるとちょっと噺のバリエーションがいろいろな感じがしました。もっとこう、くすぐり多めのとぼけた会話劇な笑える噺が好みなのでその辺は残念でしたが、まあそこらへんは好みですしね。ただ巻末の歌丸さんによる解説が変わらず非常に興味深い。その噺をやるようななったきっかけだとか歌丸さんなりの解釈や改変なんか。
    是非とも次回作も・・・と書きたいところでしたが。。。残念です。本当に。

  • 笑点で、お馴染みの円楽さんとの掛け合いが面白くて、いつも楽しみにしていた。
    病気で、入院していても、笑点の仲間は、悪態をつきながらも、身体の事を案じていた。

    今回 第2弾の作品の冒頭にも、酸素吸入器が、手放せない話をしている割に、人生100年でなく、80歳が、折り返しの年齢と、、、、
    そして、円楽さんよりも上手を行く、笑点メンバー全員の葬儀委員長になるって、、、この勢いが、本当に必要だと思う。

    歌丸さんの高座中の選りすぐりの演目で、8話。
    人情話、オチも面白い。
    活字で読むのだが、歌丸さんの口調が思い出される。

    まだまだ、活躍して、本も出してほしいものだ。

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著者プロフィール

桂歌丸(かつら うたまる)本名:椎名巌(しいな いわお)
1936年(昭和11年)8月14日―2018年(平成30年)7月2日 
1951年五代目古今亭今輔に入門。
のち四代目桂米丸門下に移り、1968年に真打昇進。
演芸番組『笑点』(日本テレビ)の放送開始から大喜利メンバーとして活躍し、2006年(平成18年)5月21日から2016年(平成28年)5月22日まで同番組の5代目司会者を務めた。
同日付で終身名誉司会者に就任し、没後は永世名誉司会者に名称が変更された。

2004年落語芸術協会五代目会長就任。
2005年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
二代目横浜にぎわい座館長に2010年に就任。

「2020年 『桂歌丸 正調まくら語り 芸に厳しく、お客にやさしく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桂歌丸の作品

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