ヒロシマ 消えたかぞく (ポプラ社の絵本 67)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (41ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591163139

作品紹介・あらすじ

原爆投下前、戦争中であっても、広島の町には笑顔にあふれた家族の日々の暮らしがありました。散髪屋さんである鈴木六郎さん一家の6人家族も、少しの不安はあったかもしれませんが、毎日笑顔で楽しくくらしていました。お父さんの鈴木六郎さんは、カメラが趣味。たくさんの家族写真を撮りためていました。
あの日。1945年8月6日。
一発の原子爆弾がヒロシマのまちに落ちました。
六郎さん一家は全滅しました。
長男の英昭くん(12歳)と長女公子ちゃん(9歳)は、通っていた小学校で被爆。英昭くんは公子ちゃんをおんぶして、治療所があった御幸橋まで逃げました。衰弱した公子ちゃんを「あとで迎えに来るからね」と治療所にあずけ、英昭くんは親戚の家へ避難しましたが、高熱を出し、数日後に亡くなります。公子ちゃんの行方はわからなくなりました。次男まもるくん(3歳)と次女昭子ちゃん(1歳)は、六郎さんの散髪屋さんの焼け跡から白骨で見つかりました。お父さんの六郎さん(43歳)は、救護所でなくなりました。救護所の名簿には「重傷後死亡」と記録されていました。家族がみんな亡くなってしまったことを知ったお母さんのフジエさん(33歳)は、井戸に身を投げて亡くなりました。 
たった1発の原爆が、六郎さん一家を消し去ってしまいました。
この本を開くことで、原爆の残酷さ、戦争のむごさを、読む人の身に引き寄せて考えるきっかけとなったら、という願いを込めてつくりました。また、愛情あふれるすばらしい家族写真の数々から、幸せにくらす人間の何気ない日常こそが大事であることに気づかされます。それは、幸せな平和を作っていくのは、私たち自身であると訴えかけているようにも思えます。
家族で平和を考えるために、最適の写真絵本です。

感想・レビュー・書評

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  • かなさんのレビューで知りました
    ありがとうございました
    「ヒロシマ 消えたかぞく」
    この本は、太平洋戦争末期の昭和20(1945)年
    8月6日、広島に一発の原爆が落とされるまで
    確かに生きていた鈴木六郎さん家族の
    アルバム写真の記録

    表紙に、猫をおぶって微笑んでいるおかっぱ頭の
    女の子の写真が、かわいいなと心を動かされた
    この笑顔の向こうにはシャッターを切る父親の
    あたたかい眼差しがあったであろうことがわかる…

    ヒロシマで鈴木さん一家はお父さんお母さん
    子供四人と犬や猫と暮らしていた
    戦時中にもかかわらず、日常にささやかな喜びを
    見出しながら生きていた家族…
    お父さんは写真が好きだったそうで、どの写真にも
    あたたかさや愛情が感じ取れたし、そんな日常の姿が
    リアルに伝わってきてとっても素敵な写真ばかりだった…

    その一家が、全滅してしまったのだ
    原爆を受けて親と離れ離れのまま
    それぞれ逃げたが、息を引き取ってしまった子供達は
    どんなに恐ろしく苦しかったことだろう
    お父さんも重症後死亡して、
    お母さんも瀕死の大やけどを負いながらも、
    一家全滅を悟ると井戸に身を投げて
    自死してしまった…
    なんという惨さ、悲しさだ
    胸が押しつぶされるような気持ちとともに
    怒りがわいてくる

    私は今まで戦争等についての本などは辛くなるのが
    わかっているのであまり手に取ってこれなかった…
    でも現実に日本で起こったことだ
    忘れないようにしないといけない
    そんなためにも手に取るべき本だった!
    戦争は絶対に起こしてはならない
    戦争のない世界を、平和を、
    強く願いたい

    この本は英文付きの文章にも、なっていたから
    世界中の人にも、手にとってもらいたい

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます。
      さっそく手にしていただけて嬉しいです!
      つらい過去と対峙するのは結構しんどいですよね…。
      だけど、...
      チーニャさん、おはようございます。
      さっそく手にしていただけて嬉しいです!
      つらい過去と対峙するのは結構しんどいですよね…。
      だけど、この石井さん家族は紛れもなく原爆投下の直前まで
      普通の生活をしていただけなのに…
      今だからこそ、平和を願って読むべき作品ですよね!
      チーニャさん、こちらこそ、ありがとうございました。
      2023/11/05
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさん、こんばんは。
      かなさんのレビューを読んでないと手にしなかったですね…。
      今だからこそ、平和を願って読むべき作品、読んで良かったです...
      かなさん、こんばんは。
      かなさんのレビューを読んでないと手にしなかったですね…。
      今だからこそ、平和を願って読むべき作品、読んで良かったです!
      m(_ _)m♡
      2023/11/05
  •  平和を願うための絵本として手にした作品です。この絵本の構成は写真が広島に住んでいた、鈴木六郎さん一家のものです。鈴木六郎さんは奥さんとともに床屋さんを営んでおり、4人の子供に恵まれます。そんな家族の日常、ささやかな楽しみ、沢山の笑顔は、昭和20年8月6日でぷつりと途切れます…。広島に原子爆弾が投下され、鈴木六郎さん一家も犠牲になり、結果的には14万人ものかけがえのない命が犠牲になりました…。

     今も苦しんでいる被爆者さんもいらっしゃるし、恐怖のあまり被爆経験を語りたがらない方もいらっしゃいます。そして、被爆された方の高齢化も進み、後世に残すべきことがきちんと残していけない危惧も抱えていますよね…。

     当たり前の日常をすごせる幸せ…この幸せは突然奪われるかもしれない…そして今、その幸せが奪われている国の人もいる…どうしたら平和ってもたらされるんだろうか、いろいろ考えさせられる作品です。

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます(^^)

      そうなんです、鈴木さん一家の写真なんです…。
      笑顔がいっぱいなんですけど、ね…
      いたたま...
      チーニャさん、おはようございます(^^)

      そうなんです、鈴木さん一家の写真なんです…。
      笑顔がいっぱいなんですけど、ね…
      いたたまれない思いになります…。
      だけど、今だからこそ読もうと思いました。
      2023/10/25
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさん、おはようございます♪
      そうなんですね。
      この笑顔の女の子の表紙だけみても…すでにもう写真の力などで、胸に訴えてくるものを感じますね...
      かなさん、おはようございます♪
      そうなんですね。
      この笑顔の女の子の表紙だけみても…すでにもう写真の力などで、胸に訴えてくるものを感じますね…
      この本、図書館に行った際には探してみようと思いました…
      2023/10/25
    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます。
      そうなんですよね!
      写真って心に訴えてくるものが
      また絵とは違いますよね!!
      原爆が投下される前...
      チーニャさん、おはようございます。
      そうなんですよね!
      写真って心に訴えてくるものが
      また絵とは違いますよね!!
      原爆が投下される前のささやかな家族の幸せが
      その後跡形もなく消えてしまう理不尽さ…
      迫ってくる悲しみがありますけど、
      でも、読めてよかったと私は思ってますよ。
      チーニャさんも、ぜひ図書館で探してみてください。
      ありがとうございます(^^)
      2023/10/26
  • どこにでもある日常生活を送っていた家族が原爆で一瞬にして変わってしまう
    それまでの楽しい思い出のアルバムを戦争の被害で消失してはいけないと親戚に預け、その写っていた家族はいなくなってしまった

    小さいお兄ちゃんが重症の火傷をお負いながらも小さな妹を救護室に連れて行く
    妹はそれきり行方不明に
    お兄ちゃんは、親戚の家にたどり着くも数日後に血を吐いて亡くなる
    お父さんは、看病を受けるも重症で亡くなり
    お母さんは、重症でありながら親戚の家にたどり着くも家族の最後を悟り井戸で自殺
    赤ちゃんだった弟や妹は小さな骨が家から見つかる

    大人が読んでも苦しいが、子どもはどう受け止めるのだろーか

  • 家族の記録。
    残っていたアルバムの中には、日常があった。
    笑顔で過ごした日常があった。
    それが、一瞬で奪われてしまう。
    残酷だ。
    戦争は、すべてを奪うのだから。

  • これは実際にあったこと 原爆で消えた家族|戦跡 薄れる戦争の記憶 NHK
    https://www3.nhk.or.jp/news/special/senseki/article_17.html

    ヒロシマ 消えたかぞく|ノンフィクション|本を探す|ポプラ社
    https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/2083067.html

  • 写真を1枚1枚丁寧に見ながら、楽しい日々がここにあったのだということが伝わってきます。

    この家族、子どもたちが何をしたのでしょうか?なぜ、いのちを奪われなければならなかったのでしょうか?自問自答しながら、読みました。

    今を生きる私にできることは何か…。
    読み終えた後も考えています。

    8月6日にまた読み返したいです。

  • 原爆のことは知らずに、タイトルと表紙が気になったのが小3の息子が図書館で借りてきてじーっと読んでいました。
    自分と同じような歳の子どもたちが突然戦争で日常や将来を奪われ、家族全員亡くなってしまう、そんな悲惨な出来事を知って少なからず衝撃を受けたようでした。
    このような一家の写真のアルバムが残っていて、亡くなった家族それぞれの経緯を追えていることに驚きました。
    時間差でそれぞれが苦しみ亡くなっていった様子が記されているので、具体的に原爆直後の悲惨な様子が想像できました。
    子どもに読み伝えていきたい絵本です。

  • 鈴木六郎さんは床屋さんを営む写真やスケッチが好きなお父さん。
    奥さんと4人のお子さんがいます。
    子どもたちは、家の前の川で遊んだり、お家のイヌやネコをかまったり、弾ける笑顔でお父さんに写真を撮ってもらうことが大好き。

    この絵本はそんな家族のアルバムです。
    そんな幸せな家族の日々は、昭和20年8月6日の朝に途切れました。

    〇一枚の写真をのぞき、全てが六郎さんの写真だ。家族への愛情溢れる写真たちに、その後の出来事の悲惨さ悲しさ、悔しさが湧き上がってくる。
    当時、ヒロシマで、世界中の戦場で、犠牲になった人々のことを思う。
    今もなお、紛争下で壊されている家族のことも考えてしまう。

  • とても、良い写真ばかりです。とても、とても。
    この家族についてはネットで読むことも出来ます。
    どうか、自分の目で確かめて下さい。

  • 2020年課題図書高学年。確かにそこに存在した幸せな家族が原爆によって一瞬で崩壊する。父のカメラを向ける優しい表情と家族の笑顔が何とも胸が苦しく泣けてきた。忘れてはいけない、戦争の愚かさを。

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