きみの鐘が鳴る (teens’ best selections 63)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591175231

作品紹介・あらすじ

中学受験に挑む6年生たち。

かけた時間や熱量は、必ずきみを強くする

  *  *  *  *

チアダンス部の活動に憧れて、青明女子中学校を目指しているつむぎ。同じ体操クラブに入っていて塾も同じのクラスメイトとうまくいかなくなり、5年生の終わりに転塾することに。
新しい塾「エイト学舎」には、いろいろな子がいた
父親に厳しく管理指導される涼真。
マイペースで得意不得意が凸凹している唯奈。
受験に失敗した姉とずっと比べられている伽凛。

受験をする事情や環境、性格、目指す学校もそれぞれ違う4人。
迎えた2月、待ち受けているものは──?

受験の合否にかかわらず、すべての子どもに、祝福の鐘は鳴る。
未来が開け、さわやかな温かさに包まれる物語。

感想・レビュー・書評

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  • さまざまな個性を持った小学6年生の中学受験の物語。
    今のこの時期、受験シーズン真っ只中。
    受験生は、熾烈な競争の中にいるんだろう。

    私自身、中学受験の経験もなければ子どもたちにもない。
    なので負担もなければ、苦労したということもない。
    だけど行きたい学校や将来の目標があれば応援したのかもしれない。

    中学受験は親と子の気持ちが大切だと思った。

  • 大人向けではなくティーン向けに書かれた本だと認識せずに、図書館で予約。
    なんだかこの時期、毎年受験に関する本を読んでいるような(いや、通年読んでるか……)。

    中学受験がスタンダードになりつつある現在、その年頃の子どもをとりまく環境はずいぶん変わったのかなぁと思う。
    登場人物はみんな中学受験生なのだけど、基本的に学校の友人関係に問題を抱えている。
    ぶっちゃけて言えばいじめられているのだが、いじめている方の子たちも、ほぼみんな中学受験生。
    たたでさえ友人関係が難しくなってくるこの時期の子どもたちが、志望校や偏差値という聞きかじりの知識で人間に優劣をつけだすという歪み。
    もちろん子どもだけでそんないびつな意識ができあがるわけもないから、親なり教師なり塾講師なりの洗脳がそれに寄与しているのは間違いない。
    とくにこの本に出てくる親には、未熟な人が多い。
    いわゆる「毒親」なのじゃないかと思うのだけど……
    中学受験を扱ったほかの小説でも、受験による家族の崩壊はたくさん描かれてきたが、この本もまた然り。
    12歳の子どもたちにとって、家庭も友人関係もギスギスする(可能性が高い)中学受験って、ほんとにいいものなのかなぁ……

  • 成績やおかれた環境も違う6年生が、中学受験に挑む姿が描かれている。
    まだまだ子どもなのに、いろいろな葛藤を抱えながらも頑張る姿が涙ぐましい。
    中学受験独特の問題についての描写も出ており、経験者は特に共感できると思う。
    中学受験に限らないけれど、主人公はあくまで子ども本人。
    誰の受験かわからないようになってしまっては、本末転倒だなと思った。

  •  中学受験に挑む少年少女の姿を描いた青春小説でした。

     『青春小説』というと、青春時代を描いた作品=中高生〜青年の作品というイメージがありました。小学生が主役の話をあまり青春ものとして捉えたことがありませんでしたが、こちらの話は中学受験というものに挑む彼らの、ともすれば早すぎると思うほどに濃い青春の話だと思いました。

     中学受験。どこも受験せずとも、どこがいいと自分で選ばずとも、住んでいる地域で自動的に振り分けられた学校に通うことができる中学校であるのに、あえて小学生のうちから必死に勉強に取り組んで、身も心も追い詰めて、そこまでする必要があるのだろうかと私などは思っていたものですが、読んでいて少し考えが変わりました。
     他のお友達が遊んでいても、ゲームをしていても、他の楽しい習い事やクラブ活動をしていても、その分の時間を塾や勉強に費やして、受験に向けた勉強一色にしてしまうなんてと思っていたし、楽しいことなんて何もなさそうだと思っていたものですが、12歳というのは私が思うよりずっと強くて、繊細で、しなやかな時期なのかもしれないと感じました。
     自分の未来を掴み取るために必死で、全力で挑む彼らに、『勉強ばかりで可哀想』なんて感想は違ったな、と今の私は思っています。
     何の努力も選択もなく行ける中学校だからこそ、それに全力で向かった人にしか見えない景色がある。
     彼らと、彼らの保護者たちが、最後にどんな未来を掴み取るのか、読んでいるこちらまで最後までドキドキとさせられる話でした。

     私にはもう挑むことのできない山ですが、いつか機会があれば、選択肢としても良いだろうと思います。

  • Amazonの紹介より
    中学受験に挑む6年生たち。 かけた時間や熱量は、必ずきみを強くする。
    チアダンス部の活動に憧れて、青明女子中学校を目指しているつむぎ。同じ体操クラブに入っていて塾も同じのクラスメイトとうまくいかなくなり、5年生の終わりに転塾することに。 新しい塾「エイト学舎」には、いろいろな子がいた 父親に厳しく管理指導される涼真。 マイペースで得意不得意が凸凹している唯奈。 受験に失敗した姉とずっと比べられている伽凛。 受験をする事情や環境、性格、目指す学校もそれぞれ違う4人。 迎えた2月、待ち受けているものは──? 受験の合否にかかわらず、すべての子どもに、祝福の鐘は鳴る。 未来が開け、さわやかな温かさに包まれる物語。



    中学受験に挑む家族の物語で、読んだ時期が1月ということもあり、より物語の緊張感が伝わりました。

    受験をする子供、子供を見守ることしかできない親、それぞれが思う将来像がいかにズレを生じるのか。冷静な立場で読んでみると、子供のために大人はどのように対応すれば良いのか。色々思うことがありました。
    受験の時期だからこそ、冷静な判断で臨んでほしいなと思ってしまいました。

    あくまでも受験はゴールではなく、経由地です。自分は中学受験はしたことないですが、高校受験に当てはめてみても、似たようなことを思いました。

    受験勉強している状況下での親からの叱責や塾生との成績による比較など色んな苦悩と闘いながらも臨んでいく姿は昔を思い出しました。大人になっても、もちろん勉強することは多くありますが、受験や勉強量の多さなど初めての事ばかりで、それらや学校での勉強も加味してか、一番勉強したように感じます。

    ましてや、この物語は中学受験なので、小学5年生・6年生で凄まじい勉強量と考えると、いかに大変な事か。
    みんなが受験を終わった時は、拍手を送りたくもなりました。

    展開としては、同じ塾に通う生徒を主人公に、章が変わるごとに主人公も変わっていきます。
    それぞれが抱える家庭の事情や受験に対する苦悩が描かれています。「この人はこうなんじゃないか」と思っていた印象が、その人のパートになった時、こういう事情を抱えていたんだという驚きになったので、物語の面白みがありました。

    有名な中学校を受けるためには、良い塾を選ぶ。親の立場でみると、そう選びがちですが、果たして子供にとっては良い選択だったのか。
    子供の立場でみると、色んな苦悩があったんだと身につまされました。子供にあった勉強、塾など色々なコミュニケーションが必要なんだなと思いました。

    大変な状況ですが、誰のための受験なのか?しみじみと噛み締めました。
    「君の受験、君の人生」
    自分の決断で、清々しい人生を歩んでいきていただきたいです。

  • こちらも、子どもが四年生くらいになったら読ませたい。

    成績の上下、合否判定、塾のクラス移動、
    この年代の子どもたち特有の、クラスの友人との関係悪化や、教育虐待の毒親(私立小学生…)、保健室登校、いじめ。

    中受の模様もさることながら、そういった環境面で辛いことがあった時のケアが何より親には重要なんだなと。

    ★家庭を安心できる場所にすること。
    ★友人や兄弟と比べないこと。
    ★子ども自身の意思で行きたい学校を目標とすること。(少なくとも強制ではなく)
    息抜きの時間を尊重すること。
    転塾を選択肢に入れること。
    ★模試やテストの結果に一喜一憂しないこと(無理かも)
    ★未来を見据えること。幸せな未来を信じること。
    他人は客観的に見て、愚かだと判断したら気にしない、相手にしないこと。逃げは大事。
    万が一のことがあっても子どもを責めない。親がBプラン、Cプランを考える。全落ちは禁忌。

  • おもしろかった。
    中学受験をする6人の子どもたち。それぞれの悩みをかかえ、それでも塾のみんなと受験に向かって頑張るお話。
    ただ、受験生の子こそ興味を持ちそうなのに、これだけ落ちると縁起でもないと思われそうで、無闇にすすめられない笑

  • 中学受験を題材にした小説の中でも、ソフトなタイプにあたると思う。
    東京の受験が加熱していると感じるが、今のままで良いのかな?
    むしろ、周りが受験をしている人が多いから、中学受験をする側より「しない」側の方が色々な葛藤があるんじゃないかと思う。「しない」側の小説が読みたい。
    (受験させないと何となく不安だから受験させる親も多いと思う。確固たる理由がある受験生ってそんなに多いかな?)
    なお、2022年11月が第一刷なので、小学生のみんなの描写が現代風で良かった。

    下記の表現は、新卒で入った部署でパワハラされていた時に私が考えていたことと 全く同じ!その時は上手く言葉で表現出来なかったんだけど、まさにこれです!!
    ============================
    本当なら自分の気持ちに正直になって、学校を休みたい。でもそれと同じくらい、そうしたくない、という気持ちがあるから面倒なのだ。学校に行かなくなったら、穂月の思うつぼになる。それは悔しい。上靴を隠されても、「うざっ」って言われても反撃できないのに、負けたくないと思ってしまう。そんな自分のせいで、現実が面倒になっているのはわかっている。でも、しょうがない。それが自分だから。
    ============================
    私の場合は、休むのではなく退社や転職だけど、転職のタイミングは自分で決めたいし、「何でコイツ(上司)のせいで私が辞めないといけないの?そうはいくか!!!」って思って、耐えていたなぁ。そして、人事部に報告してバトルになりました笑。今はそこまでのガッツはないけれど、その時はまだ若くて負けん気も強かったな。

  • 受験勉強の大変さが分かる。
    「中学受験が君たちの青春だ」
    確かにそうかもしれない、と思った。

  • 中学受験に挑む四人の物語

    元いた塾での友達との仲がこじれ、「エイト学舎」に転塾してきたつむぎ
    そこには
    父親に厳しく管理指導される涼真
    マイペースで得意不得意が凸凹していて、算数は得意だけれど、小学校ではうまくやっていけない唯奈
    優秀だった姉の中学受験不合格を引きずる母親との関係をもどかしく思う伽凛
    それぞれの家庭の様子が描かれる度に
    息子の受験期を思い出して胸が切なくなった

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒。2013年、第15回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『小さいおじさん』でデビュー。同作は角川文庫化にあたり『私たちの願いは、いつも。』に改題。雑誌掲載の短編に「シトラスの森」。ボイルドエッグズのサイト内「今月のゆでかげん」でエッセイを不定期に執筆、母の逝去に際して掲載された「母は、シリウス星へ里帰り」が話題となる。WOWOW×Hulu共同製作ドラマ「コートダジュールNo.10」の脚本(9話のうち5話)を担当するなど、活動の幅を広げている。

「2018年 『くらげホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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