- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592711889
作品紹介・あらすじ
「楽園」からの7冊目のpanpanya作品集。
表題作はじめ「カステラ風蒸しケーキ物語」続編全5本計40p、「外れる季節」「標」「鯛焼き遍歴」「おみやげの心得」等、著者ならではの世界が展開する20篇。
日記も併収。
2021年7月刊
感想・レビュー・書評
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■魚社会(2021年8月)8冊目
外れる季節
正月事始め
続・カステラ風蒸しケーキ物語
続続・カステラ風蒸しケーキ物語
サイン
魚社会
自由
帳尻
鯛焼き遍歴
普通
標
秘密
鯉の話
はるかな旅
「楽園」ご紹介漫画
偶
続続続・カステラ風蒸しケーキ物語
続続続・カステラ風蒸しケーキ物語 補遺
続続続続・カステラ風蒸しケーキ物語
おみやげの心得
「普通」「秘密」「はるかな旅」のような、ふと何かの狭間に紛れ込んだような感覚を、非ホラーで。
ホラーで描くのは伊藤潤二や初期諸星大二郎で、上記3作から容易に連想できる短編がある。
「おむすびの転がる町」からの「カステラ風蒸しケーキ物語」シリーズも面白い。
今回気づいたのは画力半端ないのはもちろんだが、書き文字も奇を衒わない程度に味があってよい。
とにかく好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルが素晴らしい。「魚社会」ですよ。魚に群れはあっても社会はないでしょ。で、読んでみると、これは「山椒魚戦争」じゃないの!著者らしいすっとぼけた味わいはあるものの、近未来を予言した寓話、と読めなくもない。
サンタクロースや「たくさんある」話も良かったが、前作『おむすびの転がる町』でも出てきた「カステラ風蒸しケーキ」が怒涛の完結を迎えたのに、感動。
正直言って『おむすびの転がる町』のときは、ふーん、そうなんだ程度にしか思っていなかったのであった。自分は菓子パンをほとんど食べない(カロリーと添加物が怖いため)が、一回くらい食べてみたいなと思った程度であった。
しかし、カステラ風蒸しケーキを買うために東奔西走するのみならず、とうとう自作するようになり、本物と比較して試行錯誤を重ね、とうとう哲学的思考に至る。
こういうことができるから、魅力的な作品が描けるんだなと、感服。
自分のような一般人には到底到達できない境地ではあるが、「方方探し回り、一度は手に入らなくなり、その再現に試行錯誤し…」「多角的にカステラ及び蒸しケーキに対する理解、関心を深めた結果、」「対象の解像度が上がり、感受性が鋭敏になったのではないでしょうか。」(p134)というところには納得。
聴いて好きな曲を繰り返し聴くだけではなく、楽譜を手に入れて、自分でも弾いてみる。そしてまた聴く、弾く、楽譜を分析するを繰り返すことで、単に好きだった頃とは比較にならないくらい細部がよく聞こえるようになり、理解が深まった経験は(ちょっと)あるので、よくわかる。受動から能動に変わったからこそ見えてくるものがある。
創作マンガも面白いが、グヤバノとかこれとか、著者の日常の考えや行動が見えるエッセイマンガも本当に魅力的。
マンガの間にある短いエッセイ(文章)もいい。天気予報で「激しい雨」と「非常に激しい雨」という言葉を聞き、どう違うのか調べた話、くっつかないラップの魅力など。
panpanyaさんの日常が積もって、発酵して、相互作用してマンガになっているのだなあ、と。
次の作品が楽しみ。 -
世界の果ても、世界の行き止まりも、実はすぐそばにあるもので。日常の延長線上のファンタジーではなく、日常そのものがファンタジー化されている。解像度の高い目を借りて見慣れた町を歩くと、違和と面白さの中に少しの恐怖が混じる。コマとコマのあいだの時間には亀裂が走り、深淵に落ちた者は進化の法則から外れていく。層を成した記憶の化石に何が書かれていたかは思い出せなくても、まぁそんなこと気にせずお茶でも飲んでゆっくりしていきなよ、な感じの居心地のよさ。
「ほぼカステラ風蒸しケーキ」のレシピが付いているから今度作ってみよう。 -
一連の「カステラ風蒸しケーキ」事案がついに終着。
ここまでの情熱が湧いたことはないが、いつも口にしていたものが無くなった時は確かに寂しい。個人的にはペプシの小豆味、ほか弁にあったマーボー竜田弁当は殿堂入り級の思い出があるけど、案外今飲食したらそうでもなかったりするんだろうか。
そもそもマーボー竜田は自力で再現出来るんだけど、鍵っ子だったあの当時に500円持って最寄りのほか弁に自転車漕いで行った行為に思い入れがあるんだろうな。
エピソード的には「普通」「標」「魚社会」が好み。幻想的なエッセンスを含んだ雰囲気の話がたくさん読みたいな…。
「普通」みたいな教訓めいた話は特に好き。決まりはちゃんと守っとかないと、却って自分に不便が返ってくるよ、因果応報…って感じかな。
1刷
2021.8.29 -
最初は衝撃的だったpanpanyaも段々普通に受け止めるようになってきた。過去作の焼き直しも多くなったりして。とは言え、身の回りや日常のあれこれに対する観察眼はさすがの一言。
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独特の世界観なのに、地に足がつきすぎている独特の世界観。ごくごく短い掌編の短編がバランスよく配されていて、とても満足いく作品集であった。panpanya先生の新作が安定して読めるのが、大変に嬉しいのである。
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外れる季節、はるかな旅、おみやげの心得が面白かった
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グヤバノホリデーではグヤバノが食べたくなり、今回はカステラ風蒸しケーキが食べたくなった。著者はあるものを無性に食べたくさせるのがうまい。カステラ風蒸しケーキはもう売っていないとのことで残念。