マジシャンだった実父を幼い頃に事故で亡くした阿南詩文は、義父の非道な仕打ちから逃れるために、昔、父が暮らしていた街、ラスベガスへと渡った。
父が暮らしていた街で詩文も生活をしたいと考えたのだった。
ところが、ラスベガスに到着直後、詩文は薬を盛られ、身ぐるみ剥がされてしまう。
お金もない、パスポートもない。
けれど逃げてきた義父には練ラックを取られたくないため、領事館にも行けず――という状況ではあったが、カジノでディーラーをしているマキトという男に助けられる。
ところが、マキトとの人生を賭けたコイントスに敗れた詩文は、その身を買われることになってしまう。
そして、抗いがたい快楽に溺れていくが――
という話でした。
代議士にお稚児さんとして義父に売られそうになったら詩文が、留学先のロンドンからラスベガスに逃げ込み、そこでマキトに拾われる話。
当初詩文は、マキトの仕事が何なのかもわからず、決まった夜に出かけていたマキトを不思議に思っていたけれど、実はマキトはディーラーの仕事をしていた。
ところが、そんなマキトが詩文と暮らすために無理をしたことから、働けなくなってしまい、長い時間を詩文と共に過ごすことになる。
マキトはマキトで事情のある過去を持っていて、なかなか他人に心を開けずにいたけれど、詩文の存在にじょじょに癒されていき、ゆっくりと二人の心が近くなっていく話でした。
実はマキトにはある身体的特徴が原因で、ひどく親族から忌み嫌われた過去があって、そのことが原因で誰も信用できなくなってしまっていて――
それを越えて、献身的に尽くす詩文に惹かれていくのでしたという感じでした。
大きな破綻もなくすんなりしみてくる話でした。
ちょっとしっとり系の話が好きな方にはオススメしておきます。