毛沢東秘録 下 (扶桑社文庫 さ 10-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594031022

感想・レビュー・書評

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  • 1

  • 2017年5月30日読了

  • 2001年刊。全3巻中の3巻。

     林彪死後、体力的な衰えが顕著な毛沢東。本巻は彼以降を狙う権力闘争を描写する。
     それは周恩来・鄧小平vs.四人組だが、実務に長ける周・鄧が徐々に権力を掌握していく。ところが、死期は毛沢東のみならず周恩来にも迫りつつあった。
     動揺する周一派への反撃に出る四人組。一方、鄧小平に向後を託す周。そして、周恩来の死後、程なく後を追うかのように悪鬼の如き巨星墜つ。

     毛沢東に関し、個人的には本シリーズの方がインパクト大であった。本書を読破済み故に、後の「マオ」読了が大した印象を残さなかったほど。

  • ちょうど学生時代の頃の中国は、
    文化大革命で混乱していましたが、
    その背景などがわかりにくく、
    さまざまな人が絡んでいたのですが、
    そのつながりがわからず、

    そして、いまの中国を見ていると、
    「文化大革命」とはなんだったのかと
    考えてしまいます。
    そのことを知りたくて、読んだら、
    実におもしろかったです。

    劉少奇、林彪、周恩来などの状況が
    よくわかって、なるほどと思いました。

    産経が書いているので、ゆがんだ側面がありますが、
    毛沢東の描写、4人組の描写、
    などが生き生きして、実におもしろかったです。

    鄧小平が、失脚しながら、復帰していく過程は、
    毛沢東という人間の複雑さと
    中国の進んでいく将来への複雑さを
    著しているような気がします。

    これは、読んでみてください。

    タイムトンネルにのったみたいで、
    それでいて、いまの中国を理解する上で、
    おもしろい文献です。

    ちょっと長いのが、問題ですが、新聞連載でしたので、
    読みやすいです。
    病気のおかげで読み切ることができました。

    毛沢東は、フルシチョフのスターリン批判に対して、
    非常に不安を感じた。
    同じような問題が中国においても起こらないかと・・
    個人崇拝という大きな問題は、
    やはり、さけられないのだろうか?
    文化大革命なるものも、
    一体なにをめざしていたのは、皆目見当がつかない。

    うまく、毛沢東が利用してきたことは、よくわかった。
    しかし、そのことによって、中国のいい側面が、
    破壊されたことは、次につながっていく上で、
    大きな問題となった。
    ただ、その中でも、見事復活していくのは、すごいものがある。

    この物語を読んでいて、
    鄧小平については、もっと知りたいと思いました。
    中国の歴史の中で、楊貴妃は、
    どのような位置を占めているのだろう。

  • ★2011年35冊目読了『毛沢東秘録(下)』産経新聞著 評価B+
    下巻では、高齢となり衰え激しい毛沢東を軸に、その死後の権力奪取を狙う左右両派の激烈な権力闘争を描く。ニクソン訪中と日本との国交正常化を成し遂げ、ガンに冒されつつも穏健的な政策で文化大革命の傷を癒し、何とか内政の立て直しを図る周恩来。彼もまた次世代への権力委譲を急がなければならず、その後継には鄧小平を選んだ。これに対し、江青ら四人組は、理論闘争から、周ー鄧小平の右派撲滅を仕掛け、毛沢東はその裏で微妙なバランスを取っていく。死期を悟った周恩来は最後に自らの夢四つの近代化を発表し、最後の中国再起を期するが、江青らの右派攻撃により、周恩来はその標的となる中で病没1976年1月8日。鄧小平も再び失脚、代わりに華国峰が登場する。周恩来首相追悼の動きは、いつしか四人組追求の大衆行動となるが、これを強権で四人組は抑えつけるが、同じく76年9月ついに毛沢東は死去。話は、上巻の第1部へ戻る。
    凄まじいばかりの権力闘争だが、全般的には、権力闘争に敗れた江青らの四人組が理論闘争に走り、権力のみに固執していた印象を持たせる書き方になっているきらいがあり、この点については、もう少しこれからの歴史研究結果を待ちたい気がする。また、実務派の周恩来首相には、基本的に暖かい視線が送られ、現在の中国国民の彼に対する評価がその背景には強く感じられる。

  • 下巻では、体力的にも衰えてきた毛沢東以後を狙う激烈な権力闘争の時代を描く。周恩来、鄧小平の復活、これに危機感を抱いた四人組と毛沢東による「周・鄧打倒」の宣言に始まる第二次文革運動。相次ぐ周恩来と毛沢東の死を迎え、中国の最高権力をめぐる闘争は過熱していく。そして物語は第一部の場面へとつながる。勝ち残ったのは誰か?毛沢東の文革は否定されるのか──?

    全巻を通して感じたことは、詳細な文献や資料に基づき、歴史的な時間を追って明確に内容が描かれていることで、非常にわかりやすいということだった。下巻の締め方が上巻の最初に続くというのも、構成がうまいと感じた。
    毛沢東という人物についていまだに語られぬことはたくさんあるが、少なくとも、多くの人のいのちを無下に奪い、権力を失脚させていったということはひとつの大きな罪であると自分は思う。けれども、毛沢東を始め、周恩来、鄧小平、劉少奇、華国鋒、趙紫陽、葉剣英など、数えきれないほど多くの党員たちの尽力があって中国がここまで保ってきたのもまた確かな事実である。
    今後、中国という国がどのように変わっていくか、世界の中でどのような位置を占めていくかを、長い眼で見守っていきたい。

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