日中再考

著者 :
  • 産経新聞ニュースサービス
3.00
  • (1)
  • (1)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 36
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594031572

作品紹介・あらすじ

日本への憎しみと恨みを徹底的に教え込む教育。そしてビジネスの現場では、日本製品の模造品が公然と出回り、日本企業に対する当局"公認"の債務不履行が続く。日本人が中国に親しみを感じているのとは裏腹の中国の実態に果敢にメスを入れた話題作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ODA3兆円」、「中国の歴史教育」

  • (2004.04.30読了)(2003.05.18購入)
    1998年12月から2000年11月まで産経新聞の中国総局長を務めた著者の日中関係についての報告である。産経新聞は、台湾に支局や特派員を置く日本のマスコミには中国本土の特派員常駐を認めないという中国政府の要求を呑まなかったために1998年まで特派員の駐在を認められていなかった。この年に台湾支局を現状のままで駐在を認められた。
    この本では、中国側による日中友好なるものの異様さが述べられている。
    田中角栄首相が訪中し日中共同声明に調印したのが1972年9月29日である。1978年8月12日に日中平和友好条約調印が行われている。(このときの首相は福田赳夫)
    日中友好を報じるとすれば1978年以降の日中間の交流について報じるというのが常識的な行き方ではないだろうか。ところが、1999年の小渕恵三首相の訪中の直前には、「日本侵略特集」が報じられ、2000年の河野洋平外相の訪中の直前には、「南京大虐殺」の油絵の写真が掲載された。これで日本からの訪問者を歓迎して、友好を促進しようということになるのだろうか。国交が回復して20年以上過ぎているのに。
    このような、中国側の姿勢についてAP通信のマーティン・ファクラー記者は
    「中国共産党の最大の歴史的偉業は、侵略者の日本を打ち破り、祖国を解放したことである。その偉業は、共産党が永遠の一党支配政党として、すべての権力を独占する統治の正当性の主要な支柱となる。」
    「共産党が統治の正当性を国民に確実に認識させつづけるには、国民に抗日の偉業、特に闘争相手の日本軍の残虐行為に脚光を浴びせ続けなければならない。」
    と報じている。的を射た見方だと思う。
    毛沢東、周恩来、鄧小平らがいなくなり、いるだけでまとめることができた時代が終わったということもあるのだろう。

    日本の政府開発援助(ODA)が過去二十年余、北京の近代都市としての経済や社会のインフラ建設に、驚くほどの額、投入されてきた。1980年以来の、北京の都市づくりに供与された日本の援助は、合計すれば約4千億円に上る。だが北京市民はその事実を知らない。日本でもまず話題とはならない。(中国に供与されたODAの総額は2000年までで3兆円ほどとなる。) これほどことをしていながら反省がない、償いがないといわれ続けている。
    援助の結果、日中間の貿易は拡大し、1999年には、661億ドルを記録した。貿易収支は、日本の輸入超過で、1999年には200億ドルの貿易赤字、2000年には250億ドルにまで増加した。これでもまだ援助を続けるの?

    そのほかにも数々の日中関係の不思議が述べられている。

    著者 古森 義久
    1941年 生まれ
     慶応大学経済学部卒業
     毎日新聞社社会部記者
    1987年 産経新聞社入社

    (「MARC」データベースより)amazon
    日本への憎しみと恨みを徹底的に教え込む教育。ビジネス現場に出回る日本製品の模造品と、日本企業に対する当局公認の債務不履行。日本人が感じている親しみとは裏腹の中国の実態にメスを入れる。『産経新聞』連載を単行本化。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

産経新聞ワシントン駐在客員特派員。麗澤大学特別教授。
1941 年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。米国ワシントン大学留学。毎日新聞社会部記者、サイゴン、ワシントン特派員、政治部編集委員を歴任。87 年に産経新聞に移り、ロンドン、ワシントン支局長、初代中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員を歴任。ベトナム報道でボーン・上田記念国際記者賞、「ライシャワー核持ち込み発言」報道で日本新聞協会賞、東西冷戦終結報道で日本記者クラブ賞、『ベトナム報道1300 日』( 講談社) で講談社ノンフィクション賞などを受賞。主な著書に、『ODA幻想』(海竜社)、『モンスターと化した韓国の奈落』『米中激突と日本』『アメリカの悲劇』(以上、ビジネス社)など多数。

「2022年 『米中開戦前夜 習近平帝国への絶縁状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

古森義久の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×