決算書のワナ―危ない会社の見破り方―

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594058289

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  • ・売上が増加すると、一般的には掛け売りの比率はほぼ一定でしょうから、それに比例して売掛金も増加します。しかし、それ以上の速さで売掛金が増加している場合、あるいは、売上が増えていないのに売掛金だけが増加している場合は、典型的な危険信号。
    ・売掛金が売上の伸びを上回って増えている場合というのは、代金の回収ができるかどうかを無視して、つまり、無理な販売をしているケースというのが考えられる。支払う能力がないかもしれない相手に、モノを売っているかもしれない。
    ・売上が増えるのに比例して買掛金の額が増えることは、企業にとって望ましいことである。
    ・買掛金が増えるのはいいことばかりではない。それどころか、金融機関や取引先などからすると、買掛金の増加も、その企業の財務内容の悪化の前兆に見えることすらある。
    ・買掛金が借金と同じような性質を持っているということは、買掛金が減るというのは「カネを貸す人が減っている」ことを意味する場合がある。金を貸す人が減るのは、相手が倒産しそうだからで、取引先から倒産の可能性が高いと思われ始めると買掛金が減る。
    ・買掛金は増えても減っても悪い前兆であるとすると、実際になにに気をつければいいか。
    一般論としては、買掛金増え気味の方が企業にとっていいことの方が多い。というのも、その分、資金の支払いが遅くなるから、手元にお金が長いこと滞留することになり、カネ詰まりから遠ざかる。まあた、買掛金が借金と同じ性質という意味で言うと、買掛金が増えるといいうことは、取引先が喜んでお金を貸してくれている状態と同じとも考えられる。みんながお金を貸し田がる先というのは信用度が高いという意味だから、その分、倒産の可能性は低い、つまり、危なくないと言える。
    ・投資活動によるキャッシュフローがプラスになるケースというのは、通常の企業活動ではあまり考えにくい。工場用地として保有していた土地が不要になったため売却した、新店開発のために買っておいた土地・建物が不要になったのでビルごと売却したというケース、あるいあは、合弁拐取に伴って抗弁会社の出資持ち分を売却したというケースが考えられるが、どれも、頻繁に起きることではない。投資活動によるキャッシュフローは、プラスになるというよりもプラスにならざるを得ない、プラスになるように追い込まれるという性質のもの。他に資金のアテがなく、売却を余儀なくされているといった。
    財務を切り売りしなければ会社が回らない状態というのはあまり望ましい状態ではない。投資活動によるキャッシュフローがプラスになっているとき、他の部分のマイナスを埋めるためにプラスにしたのか、たまたま、資産の売却とよってプラスになったのかを見極めることが重要ようで、前者の場合には注意が必要。

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著者プロフィール

永野 良佑(ながの りょうすけ)金融アナリスト1967(昭和42)年愛知県生まれ。1989(平成元)年3月、一橋大学経済学部卒業。外資系金融機関を中心に、ストラクチャード・ファイナンス、クレジット・トレーディング業務に主に従事。著書に『プロが絶対買わない金融商品』(以上、扶桑社)、『セールスマンが教えてくれない金融商品の仕組み-危ない商品はこう見分ける!』(中央経済社)、『これでわかった! ファイナンス お金に関する基礎知識から、最新の金融理論まで』(PHP研究所)、『これだけは知っておきたい「金融」の基本と常識』(フォレスト出版)、『20代からのファイナンス入門 - お金がお金を生むしくみ』(ちくま書房)、『世界一わかりやすい金融の教科書』(秀和システム)など多数。

「2020年 『金融のプロが教える コロナ暴落後の必勝投資術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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