- Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594075651
作品紹介・あらすじ
来たれ!ショートショートの殿堂へ。
第一人者が厳選した究極の30作!
ショートショート界の第一人者にして星新一唯一の弟子である江坂遊。
そんな選者が、数千、数万に及ぶ古今東西のあらゆるショートショート
作品の中から、一作家一作品のしばりで選出した、究極至高の30作。
星新一、筒井康隆、半村良、サキ、スレッサー、アシモフ……
誰もが知る有名作から思いがけない傑作まで、
バラエティに富んだ珠玉の名品を取り揃えました。
これぞベスト・オブ・ベスト。
選者と謎の猫の案内に導かれて、あなたも「短い短い物語」の
魅力がいっぱいにつまった夢の世界で遊んでみませんか?
収録作品
ヒッチコック「クミン村の賢人」
和田誠「おさる日記」
スレッサー「最後の微笑」
阿刀田高「マーメイド」
マシスン「一年のいのち 」
半村良「箪笥」
ブラッドベリ「みずうみ」
星新一「おーい でてこーい」
F・ブラウン「後ろで声が」
眉村卓「ピーや」
O・ヘンリ「賢者の贈りもの」
筒井康隆「駝鳥」
ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」
中原涼「地球嫌い」
サキ「開いた窓」
かんべむさし「水素製造法」
ボンテンペルリ「便利な治療」
都筑道夫「らんの花」
ジャック・リッチー「旅は道づれ」
赤川次郎「指揮者に恋した乙女」
アシモフ「不滅の詩人」
岸田今日子「冬休みに あった人」
ジェイコブズ「猿の手」
江坂遊「かげ草」
ストックトン「女か虎か」
城昌幸「ママゴト」
ロバート・ブロック「夫を殺してはみたものの」
山川方夫「待っている女」
コリア「ナツメグの味」
小松左京「牛の首」
感想・レビュー・書評
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通勤の合間に読み終えてしまえる頁数がちょうど良い。
“神品”と題するだけあってどれも面白かった。
題名は知っているけど未読だったものが多数収録されており、まとめて読めるのも嬉しい。
「最後の微笑」「おーい でてこーい」「猿の手」のオチが秀逸。
「牛の首」は笑える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若干名前負けの気がした。
猿の手、おーい出てこい、開いた窓、がマイベスト3。 -
江坂遊・選『30の神品 ショートショート傑作選』扶桑社文庫。
古今東西の名作ショートショート小説30編収録のアンソロジー。様々な作家が描いた僅か数ページの中に凝縮された起承転結が明確な奇想天外なストーリー。
たまたま古本屋で目にし、ジェイコブズの『猿の手』が収録されていたので購入。久し振りに『猿の手』を読んでみたいと思っていたのでまさに天の恵み。
アルフレッド・ヒッチコック『クミン村の賢人』。映画監督のヒッチコックの作品。今にも落ちて来そうな、擦り切れそうな麻縄で吊るされた巨大な青銅のシャンデリアの下で勇敢にも平然としている中国の小村の長。
和田誠『おさる日記』。既読作。船乗りの父親がお土産に持ち帰ったおさるが日に日に賢くなり、人間の子供のようになっていく。そしてラストの一行に仰天。これは傑作。
ヘンリイ・スレッサー『最後の微笑』。死を言い渡された死刑囚は牧師の協力を得て自由の身に……
阿刀田高『マーメイド』。日本のショートショートの名手の一人。深夜にひっそりと営業するマリン・バー・マーメイド。ちょっとエロティックで、しっかりとしたオチがある。
リチャード・マシスン『一年のいのち 』。SFやホラー小説の巨匠のショートショート。今にも死にそうな老人。年齢は1歳。1週間に2歳年を取り、僅か1年しか生きられない数奇な運命。ラストの一行の衝撃。
半村良『箪笥』。既読作。能登の漁村に住む婆さんの語る不思議な話。夜になると家族全員が箪笥の上に上がり、膝を抱えて座る。オチがあるような無いような。
レイ・ブラッドベリ『みずうみ』。10年前に亡くなったはずの少女が……現在と過去が交錯し、叙情的な雰囲気を造り出している。
星新一『おーい でてこーい』。日本のショートショートの第一人者。後にも先にも星新一以上の名人は出て来ないだろう。既読作。中学生の時に国語の教師から「星新一ばかり読むんじゃない」なんて注意されたものだが、最近の若者などは活字離れが激しいから「星新一でもいいから読みなさい」なんて言われたりするのかも知れない。台風の被害で社が流され、その跡に見付かった恐ろしく深い穴。核廃棄物やお役所の極秘文書など様々な物を棄てても埋まる気配は無く……人間の身勝手さを描いた寓話的な作品。
フレデリック・ブラウン『後ろで声が』。既読作。人間大砲。昔はよく見たように思うが、今は余りお目にかからない。
眉村卓『ピーや』。交通事故で死んだはずの猫と暮らす男。
O・ヘンリ『賢者の贈りもの』。名作中の名作。極貧の中、慎ましく暮らす夫婦がお互いに贈り合ったクリスマスプレゼント。プレゼントを用意するためにお互いに大切な物を犠牲にする。昔も今も真面目に真っ直ぐに生きることは難しいようだ。
筒井康隆『駝鳥』。筒井康隆は高校生の頃にかなり読んだ。既読作。既読作。砂漠を駝鳥を伴い旅する旅行者にやがて訪れる悲劇。悲劇も筒井康隆の手にかかれば喜劇になる。
アンブローズ・ビアス『アウル・クリーク橋の一事件』。『悪魔の辞典』の作者による短編。橋の上から絞首刑になろうとする男が寸でのところで逃げ延びるが……
中原涼『地球嫌い』。地球を離れ、月で5年も働く男が地球に帰りたくない理由とは。巧い。
サキ『開いた窓』。過去にサンリオSF文庫の『サキ短編集』を読んだことがあるが、この話は記憶に無い。3年前に夫と2人の弟を失った夫人が窓を開けて、3人の帰りを待っている。
かんべむさし『水素製造法』。既読作。これまでまぐれで人生を切り抜けてきた男が入社試験の水素製造法の説明に全く無知の状態で国語辞典1冊で挑む。楽屋オチ。
マッシモ・ボンテンペルリ『便利な治療』。主人公の医者は女性患者とそっくりな蝋人形を造らせ、遠隔治療を試みるが……
都筑道夫『らんの花』。都筑道夫もショートショートでは有名な作家。飲んだくれで乱暴者の亭主を殺した女の裁きに困った代官は品物に触るだけで、それを使っている人間の気持ちを言い当てる坊さんの力を借りるが……
ジャック・リッチー『旅は道づれ』。飛行機に隣り合わせた二人の女性。互いに身の上話をするうちに……
赤川次郎『指揮者に恋した乙女』。兎に角多作の作家。書店の書架が丸々1架、赤川次郎という時代もあった。指揮者に恋をした少女の過激な行動。明確な結末は無い。
アイザック・アシモフ『不滅の詩人』。SF界の巨人。ミステリー作品もあり、『黒後家蜘蛛の会』はお気に入り。過去の大人物を現代に甦らせた物理学者。
岸田今日子『冬休みに あった人』。岸田今日子は女優で素晴らしい文章も書けるという羨ましいくらいの才女。冬休みの宿題の作文に書かれていたのは……
W・W・ジェイコブズ『猿の手』。既読作。これが読みたかった。インドで手に入れた3つの願いが叶うという猿の手のミイラ。3つの願いというのがミソ。最初の願いは家の支払いの200ポンド。願いは叶うが……そして、恐怖の結末。
江坂遊『かげ草』。星新一の弟子。奇妙な植物、かげ草。その果実はこの世のものとは思えない美味さ。
F・R・ストックトン『女か虎か』。既読作。被疑者に課せられた裁きは、2つの扉の一方を選択すること。虎に食い殺される運命を選ぶのか、美女を選ぶのか……王女と不義を働いた青年が選んだ扉は果たして……
城昌幸『ママゴト』。寺を中心にした門前町。しかし、これはたった一人の人物の持ち物だと言う。
ロバート・ブロック『夫を殺してはみたものの』。アル中の夫を殺害し、不倫相手と一緒になろうとする妻は夫を墜落死させるが……何とも皮肉な結果が待ち受けていた。
山川方夫『待っている女』。12時間も同じ場所に佇む女。気になる男……
ジョン・コリア『ナツメグの味』。肉切り包丁殺人事件の真相は……
小松左京『牛の首』。小松左京も日本SF界の巨匠でありながら、ショートショートの名手でもあった。既読作。『牛の首』という怖い話の真相は……
本体価格800円(古本100円)
★★★★★ -
まさに珠玉。
筒井康隆、赤川次郎など、読みやすい小説家だなーという印象だったけど、ショートショートの妙手でもあるということを知った。
全話良かった。 -
配置場所:摂枚普通図書
請求記号:913.68||S
資料ID:95180349 -
さすが神品の傑作選
どれを読んでも名作です
きちんと巻末に一話解説と底本が紹介されているので、これを入り口にショートショート巡りするのもいいですね -
ショートショートの宝石箱や~!
…といいたいところだが、「神品」とはおおげさな。
おもしろかったのだけ下に挙げておく。
【特選】「おさる日記」和田誠…マジ最高っ!
【佳作】「最後の微笑」ヘンリイ・スレッサー…死刑囚の最後の日々。オチが決まった。ショートショートの鑑。
【佳作】「一年のいのち」リチャード・マシスン…ある男が死んだ同時刻に生まれた赤ちゃん。ほんとにちょっとしたアイデアをお話にもっていく力、マシスン、あいかわらず。
【佳作】「おーい でてこーい」星新一…これぞ、Mr.ショートショート。あっけらかんと恐ろしい。
【特選】「賢者の贈り物」O.ヘンリー…ショートショートといえば諧謔や皮肉、ブラックユーモアなどと相性がよろしい。しかしそんなのでなく、良心で出来るか!? それが出来るのがO.ヘンリー。非常に素晴らしい。
【入選】「アウル・クリーク橋の一事件」アンブローズ・ビアス…カート・ヴォネガットはこの短編を激賞しているらしい。時代がまったく違うが、手塚先生の「生けにえ」の方がボクは断然上だと思う。
【佳作】「開いた窓」サキ…子供の頃読んだときも思った。これ、日本語おかしいでしょう?
【佳作】「水素製造法」かんべむさし…バタバタしてるが笑える!
【佳作】「冬休みにあった人」岸田今日子…著者の“あの声”による読み語りが聞こえてきそうな内容。
【特選】「猿の手」W.W.ジェイコブス…変な日本語が混じっていて、逆に味になっている。
【佳作】「女か虎か」ストックトン…文章がいちいちクドい。
【特選】「ナツメグの味」コリアン…やっぱり傑作。 -
文学
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ちょっと軽すぎた。短さと軽さは違うと思う。私はボルヘスで短編に入ったので、短くて重い、厚い話が好きだ。
撰者による自作自演の寸劇風解説も、軽さに拍車をかけるようで、あまり良識的とは感じられなかった。
極端に短い話は世にたくさんあって、ショートショートと呼ばれることもあれば、掌編、小品、超短編とよばれたり、あるいは散文詩と銘打っておいて、内容は物語っぽいものもある。こういう呼称は単に短さだけでなく、作者のスタンスを示しているのだろう。ショートショートとあえて名乗る作品群は量的に短く、かつ質的に軽い場合が多いように思う。