驚異の再生医療 ~培養上清とは何か~ (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594081294

作品紹介・あらすじ

iPS細胞、幹細胞移植ではなく、
「幹細胞の培養液」こそが再生医療の大本命だった! 

■概要
元来、傷や病気で損なった臓器を再生させる(回復させる)ためには、どんな細胞にでも分化できる幹細胞を培養して移植する「幹細胞移植」がメインに使われていた。そこに、山中教授のノーベル賞受賞により、万能細胞といわれるiPS細胞が登場し、私たちは再生医療は今にでも飛躍的に進むかのような期待を抱いた。
しかし、iPS細胞の応用は、心筋シートや網膜の病気などにごく一部治験がはじまったばかり。夢のような治療・移植にはまだほど遠い。
そんな中、皮膚再生からスタートし、名古屋大学で30年以上にわたって再生医療を研究していた上田氏は、「幹細胞を移植するのと、幹細胞の培養液を注入することの、効果は同じである」ということを発見した。この培養液を「培養上清」を呼ぶ。

協力病院での治験で、培養上清によってアルツハイマー型認知症、脳梗塞、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、花粉症など、難治の症状が著しく改善したことを確認。さらに、培養上清は液体化、粉末化が可能で、大量製造できる。幹細胞移植に比べれば費用は100分の1で、「移植」も必要なく、点滴か塗り薬として塗布、鼻から吸入するだけでよい。
すぐにでも実用化が可能なこの技術、2019年からノルウェーのベルゲン大学と大規模な共同臨床研究を開始することが決定した。また、中国やアジアの製薬会社からも多数のオファーがよせられている。

再生医療がどこまで進んでいるのか、問題点とリスクは何か。実用化目前
「培養上清」の驚きの治癒力とは。


●上田実(うえだ みのる)
医学博士。専門分野は再生医療・顎顔面外科。
1949年大阪府生まれ。1982年名古屋大学医学部大学院卒業後、名古屋大学医学部口腔外科学教室入局。同教室講師、助教授を歴任し、1990年よりスウエーデン・イエテボリ大学とスイス・チューリッヒ大学に留学。1994年名古屋大学医学部顎顔面外科学講座教授就任。2003年から2008年、東京大学医科学研究所客員教授併任。2004年、日本学術会議会長賞受賞。2011年よりノルウェー・ベルゲン大学客員教授。2015年名古屋大学医学部名誉教授就任。2016年日本再生医療学会ジョンソン&ジョンソン賞受賞。日本再生医療学会顧問、日本炎症再生医学会名誉会員として再生医療の研究と臨床の指導にあたる。幹細胞に関する研究論文は600本を超え、その臨床応用では皮膚・骨の再生医療を中心に300例以上にのぼる。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)評価委員。

感想・レビュー・書評

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  • 再生医療について、わかりやすく解説された本。
    ES細胞やiPS細胞などの基本的な概念が解説されていて、素人でも面白く読めた。

  • ・幹細胞を培養する際の培養液である培養上清が、体内の免疫細胞を調整することで、難病といわれる病に対して有効であることが明らかになっている。
    ・この培養上清は、幹細胞ではないことから、他家の細胞から培養したものでも拒絶反応が起こらず、粉末、貼付、点鼻等形態を変えた薬剤にでき得る。また、幹細胞の培養に比して安価であることから、コストの面からも有益であると考えられる。
    ・しかし、日本生まれの培養上清を薬剤化するには、オールジャパンで行うことは難しく、海外の研究機関や薬剤メーカーに頼る他ないとのこと。
    ・これには日本特有の事情がある。培養上清に含まれる成分が多種多様であり、どの成分がどのようなメカニズムで効果を発揮したのか解明することが困難である状態で、日本国内の薬事承認が得られないこと、薬価を現状以上に増えることを避けたい日本の構造的な事情、が影響している。
    ・現職で医療に少し携わる者として、大変興味深く読ませて頂いたと同時に、国内の素晴らしい研究成果を国内で還元できない状況を打破しなければ、優秀な研究者が海外へ流出してしまう危機感を持った。

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著者プロフィール

医学博士。専門分野は再生医療・顎顔面外科。
1949年大阪府生まれ。1982年名古屋大学医学部大学院卒業後、名古屋大学医学部口腔外科学教室入局。同教室講師、助教授を歴任し、1990年よりスウェーデン・イエテボリ大学とスイス・チューリッヒ大学に留学。1994年名古屋大学医学部顎顔面外科 学講座教授就任。2003年から2008年、東京大学医科学研究所客員教授併任。2004年、日本学術会議会長賞受賞。2011年よりノルウェー・ベルゲン大学客員教授。2015年名古屋大学医学部名誉教授就任。2016年日本再生医療学会ジョンソン&ジョンソン 賞受賞。日本再生医療学会顧問、日本炎症再生医学会名誉会員として再生医療の研究と臨床の指導にあたる。幹細胞に関する研究論文は600本を超え、その臨床応用では皮膚・骨の再生医療を中心に300例以上にのぼる。国立研究開発法人日本医療研究 開発機構(AMED)評価委員。株式会社再生医学研究所代表

「2022年 『改訂版・驚異の再生医療~培養上清が世界を救う~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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