中東問題再考 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594090623

作品紹介・あらすじ

ロシアのウクライナ侵略は 中東の独裁国家・テロ組織の暴走を加速させる!!

“力による現状変更”を進めるイラン、トルコ、タリバン、「イスラム国」、ハマスらのひしめく中東世界の現実を
読み解き、日本のメディアや“専門家”による従来の解説の誤りや偏向を正し本当の中東の姿を示す!

【目次】
第一章 アフガニスタン報道が隠すタリバンの本性
アフガニスタンの悲劇は「アメリカのせい」は本当か/正当化される「イスラム的女性の権利」/「タリバンとアフガニスタンは一緒」と主張する元駐アフガニスタン大使/タリバンの認める「報道の自由」の実際/アフガニスタン支援に前のめりの日本政府/「タリバンを支援しないと中国寄りになる」は本当か/「タリバンをいじめるとケシ栽培に走る」は本当か/「タリバン支援に反対する人間は心が荒んでいる」と断罪するTBS記者 他

第二章 「イランは親日」言説が覆い隠すイランの現実
親日説の根拠は日章丸事件と「おしん」視聴率90%/プロパガンダに加担する駐在日本人記者と外交官/米国は「大悪魔」、イスラエルは「小悪魔」/革命防衛隊とイランの代理勢力/革命の輸出先の実情◆シリア◆レバノン◆イエメン/核合意ではイランの脅威を抑え込むことはできない/国民への苛烈な拷問、大量処刑……世界有数の人権侵害国家 他

第三章 「トルコは親日」言説が覆い隠すトルコの現実
エルトゥールル号と邦人救出の恩返しに「涙が止まらない」/トルコ人NBAプレーヤー拘束未遂事件/LGBTを「変質者」と弾圧/高インフレでも金利を上げない「イスラム経済論」/領土回復をめざす「新オスマン主義」 他

第四章 なぜイスラム諸国は中国のウイグル人迫害に声を上げないのか
ウイグル人より一帯一路をとったイスラム諸国/「親日」よりはるかに「親中」なイラン/ウイグル人難民「受け入れ」から「取り締まり」に転じたトルコ 他

第五章 「パレスチナ=善、イスラエル=悪」の先入観が隠す事実
イスラム過激派テロ組織ハマスの目的はイスラエル殲滅/日本赤軍元最高幹部のメッセージ/パレスチナ自治政府(PA)によるユダヤ人殺傷者への「テロ年金」支給/国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の闇 他

第六章 中東問題をわかりにくくしてきた七つの原因
①反米中東論/②「英国の三枚舌外交のせい」という歴史認識/③反帝国主義、反植民地主義、反資本主義、反近代/④「パレスチナは善でイスラエルは悪」という道徳劇/⑤本当の弱者や本当の被抑圧者を無視/⑥反イスラエルの「北米中東学界(MESA)」/⑦「パレスチナの大義」への固執 他

感想・レビュー・書評

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  • 批判ばかりでつまらない。
    中東問題は理解するのが難しいということなのだろうが、
    他の評論家たちの批判に終始するのではなく、
    事実・理論を再構築して読み物にしていただきたい。

  • 後半の少しだれたかな・・・
    しかし、知らない現実や日本における左翼思想の浸透は深いなと感じた。

  • ほんとによく調べてある本だなと尊敬できる。
    中東に関する内容もすごいけど、何より
    正しい情報や知識から、自分で正しい判断をすることを教えてくれる本

  • 中東、イスラムの問題は日本国内での報道も少なく分かりにくいため、本書のように今の中東について解説してくれる本は貴重。

    イスラエル=アラブ人の土地を奪った悪、パレスチナ=イスラエルに反抗する善、という多くの人が持っているテンプレを現実的なデータをもとに正す内容は新鮮だった。現在では、イスラエルと中東の各国が関係を改善させているという情報はなかなか日本では報道されない。

    また、なんとなく知っていた現在のトルコ、エルドアン政権の問題点を苦らしく解説してくれているのも良かった。

    近隣国同士の国際関係なんて刻一刻と変わっているのは当たり前だが、その当たり前を現実的なデータや事情で解説してくれる本。今後もイスラム、中東問題についてフォーローしていきたいと思った。

  • 2023/04/12 amazon 499

  • 「タリバンはメディアが自分たちのプロパガンダの道具としてのみ機能することを期待している」
    それ以外の報道は許されない

    「独裁政権の下ではどんな報道期間も妥協することになり、妥協した経緯を隠すためにさらに妥協することになる」

    トルコのエルドアン首相は高インフレでも金利はあげない。
    なぜなら利息はイスラム教で禁じられてるから。
    そのために、トルコリラのが価値は下がり高インフレでも状態。

  • 同著者のイスラム教再考と同じような構成で、日本で報道される中東問題と国連や世界の人権団体の報告書などを比較しながら本当の問題は何かに迫る。
    同じ一つの事柄に対してでもそれがどう見えるか、どう感じるか、どう伝えるかは人によって違う。それは人によって正義が意味するところが違い、正義の前に損得勘定があるのかも知れない。得られる情報は多くなったけど、その取捨選択は難しい。自分にとって世界とは何なのだろうかと改めて思う。

  • しつこいくらい繰り返し中東問題への認識の誤りとその誤りの原因、つまり日本のマスメディアと専門家の「悪い功績」が説明されており、わかりやすい。

    以前同著者の「イスラム2.0」を読んだことがあったのでイスラム教については多少理解できていたつもりだったのだが、改めて本書で紹介されているイランの創始者であるホメイニの発言にあるように「イスラム教はイデオロギーであり、宗教はそのひとつの側面にすぎない」という本質をよく理解した上で、現状の中東問題を眺める必要があると感じた。

    ついでに俯瞰してみると、トランプ大統領はやはり偉大だったと思う。

  • 2023.7.8

  • 中東、イスラムの問題は、本当に耳に入ってこない。
    まだ、国内やお隣の国の問題は、ネット情報とかで入ってくるようになったので相当考え方は改まってきてるのだが、ここはもう、30年前のNK国みたいなもんだ。

    その、マスコミとか「専門家」の構造が全く変わっていないことがあまりにも鮮明。

    イスラムと世界の関わりの問題と、こういう情報偏向の、二重の問題が日本にはある。

    もちろん、飯山先生自体もその「専門家」のお一人ではあって、最終的には自分で判断しないといけないのだけど、以前に何人か著作を拝見した「専門家」に感じた、背中がむず痒くなるような不快感、非論理感を感じない。まずは「事実」に基づいて検討しようよという主張に、首肯する次第。

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著者プロフィール

飯山陽(いいやま・あかり)
1976年生まれ。東京都出身。イスラム思想研究者。アラビア語通訳。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『イスラム2.0』(河出新書)、『イスラム教再考』(扶桑社新書)、『イスラームの論理と倫理』(共著、晶文社)がある。

「2021年 『エジプトの空の下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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