グッド・ドーター 上 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596541420

感想・レビュー・書評

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  • カリン・スローター『グッド・ドーター 上』ハーパーBOOKS。

    いつものウィル・トレント・シリーズではなく、全くのノンシリーズ。悲劇に見舞われた家族の物語なのか、法廷ミステリーなのか判然としないままに上巻が終わる。28年前の事件のフラッシュバックと女子高校生による銃乱射事件。登場人物の誰もが傷付いており、壊れていて、か弱く、ヒーローと成り得ない。

    アメリカ南部で白人女性を殺害した容疑者の黒人青年を弁護した弁護士ラスティ・クインの自宅が放火される。一家が引っ越した数日後にラスティの留守中、銃を持った二人組の男が乱入し、妻のハリエットを殺害、姉のサマンサも重傷を追う。妹のシャーロットはサマンサに助けられ、辛くも生き残る。

    それから28年後、弁護士となったシャーロットは不倫相手の元に忘れたiPhoneを取り戻すために偶然居合わせた母校の中学校で女子高校生による銃乱射事件に遭遇する。

    本体価格891円
    ★★★

  • 弁護士一家を襲った残忍な殺人事件を背景としたミステリ小説。辛くも生き残った次女シャーロット(チャーリー)は父と同じ弁護士になっていた。
    アメリカ南部の田舎町が舞台である。皆が顔見知りで噂が知れ渡る、うんざりするような村社会である。日本の新型コロナウイルスの自粛警察も似たようなものである。凶悪事件の被疑者・被告人を弁護するチャーリーの父親は町の人々から嫌われていた。
    チャーリーは地元中学校で銃乱射事件に遭遇する。銃乱射事件を起こした少女を拘束した警察官らは怒りから私刑に走る(上巻98頁)。弁護士が警察官らの暴行シーンの動画を撮影すると、それを止めさせて奪い取って投げ捨てた(上巻101頁)。
    しかも警察官らは隠蔽工作まで行った。「警官たちは口裏を合わせ、互いをかばうような報告をしていた。チャーリーが反抗的で、自分からグレッグにぶつかっていき、彼女がうっかり踏んだせいで携帯電話が壊れたことになっていた」(上巻104頁)。
    英米のミステリを読んで感じることは、警察の人権侵害を抑制する意識の高さである。被疑者・被告人の人権擁護は日本よりも進んでいると感じることが多い。しかし、ここではダメである。2020年のアメリカはジョージ・フロイドさんの暴行死(Killing of George Floyd)を契機にPolice Brutalityが大きな問題になっている。本書の実態もアメリカの現実だろう。だからこそ抗議デモが大きく広がったのだろう。原著は2017年刊行であるが、邦訳の2020年刊行はタイムリーである。

  • 子供時代にあった事件で人生が一変する場面を読んでいる時、映画プリズナーズのラスト近くで感じた何も出来ない無力感と同じ感覚を味わった。
    とりあえず上はまだ序盤、下巻に入ってからが本番。

  • 本の裏にあるあらすじを一読してもよく分からないまま読み始めたが、これは面白い。冒頭がこんなにもショッキングな描写で始まるとは。国が違う、文化が違う、歴史が違うと、こんな事件が起きてしまうことに驚いた。また、読み終わって思ったのは、物語の中心の事件は何も解決していないという事。下巻でどう完結するのか楽しみ。

  • 冒頭の文章である。細かいことだが「スニーカー【の】」とすべきだ。その後も、「太いロープのようになった汗まみれのポニーテール」の方が読みやすいだろう。
    https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2022/11/10/141707

  • 父親が日本でいう公選弁護士をやっていて、「極悪犯罪人の味方」「あいつが弁護したせいで、犯人は出所してきた」など、いわれのない恨みを買い、家族に危険を与えて来た。普通はさ、弁護士自体をやめるか、扱っている客層を変えるかするべ。このおっさん何かあやしい。母親は事件で殺され、娘二人も弁護士。おかしい。何がトラウマが癒えない。。。アホかこいつら。多分上巻だから伏線を撒き散らすのが目的だと思うが、こういう歪んだ人たち、実は嫌いじゃない。下巻どうする?読むか読まないか。

  • 今のところイマイチ。ウィルのシリーズなど他は面白かったけど。。下巻へ。

  • 裏カバーを先に読む習慣だもので・・が、実際の筋は首をかしげる~法廷劇か家族問題か・・はたまた

    冒頭の「住居の焼失~母親の惨劇」はくっきりと姿を現すのだが、そこから妹が陽になったり陰になったり。その立ち位置関係はともすると姉が入れ替わる。
    弁護士の父親は善悪が判別せぬが、街中の嫌われ者(被疑者、被告人を除き)

    姉妹にとっても父親の立場がよく見えぬが、はっきりしているのは、亡くなった母親の影が巨大である事。精神世界を相当に支配していた感があり、そこから敷衍して行くメンタルの問題も絡んでいく。
    英国ミステリーと大きく異なり、米のミステリーはとにかく「警察の在り様」が暴力的。ともすると似たテーマのばかり・・そして犯罪、社会問題も。抱える闇、膿のどうしようもなさが浮き彫りになる。

    カリンスローター、未だ2作目でヒトとなり、作風を把握していないだけに、がっぷり四つで組み、上の伏せんが下でどう回収されて行くか、読書というより知的奮闘になりそう。

  • ちと長いが、娘が単数形なのは、さて?

  • これはシリーズものではなく上下巻で完結

    この作者はどこまで女性と子供を痛めつけるんだろう?
    正義を貫こうとする弁護士の家族に起こった事件から始まる
    火炎瓶を投げ込まれて家が焼失した為、町から離れた一軒家に引っ越して間もなく、母親は銃で頭を撃ち抜かれ、長女は畑で撃たれて埋められ、次女は森に連れ込まれたが際どいところで逃げて隣の家に駆け込む…
    といったショッキングな出だしから物語は始まる

    今作に出てくる女性は皆、不器用で何かを抱えている生き辛さに支配されている
    典型的な男尊女卑の世界がこの中にある
    読んでいくうちにもどかしさやジレンマを感じるのは私だけではないだろう

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