刑事ファビアン・リスク 顔のない男 (ハーパーBOOKS) (ハーパーBOOKS M ア 2-1)
- ハーパーコリンズ・ジャパン (2016年10月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (659ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596550378
感想・レビュー・書評
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ステファン・アーンヘム『刑事ファビアン・リスク 顔のない男』ハーパーBOOKS。
『刑事ファビアン・リスク』シリーズの第1弾。最近読んだディスカヴァー文庫のサムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』が非常に面白かったので、新たな北欧ミステリー・シリーズを開拓してみようと思い、読んでみた。ミステリーとしてのテーマは非常に面白い。前半のストーリー展開のテンポの不味さは少し色んな物を入れ込み過ぎたせいかなと思ったのだが、後半に全てを挽回してくれた。
着任前で休暇中の主人公、ファビアン・リスク刑事のかつてのクラスメイトが休日の学校で両手を切断された変死体となって発見される。休暇を返上し、捜査にあたるリスク刑事だったが、単独捜査の果てに失態を演じ、他のクラスメイトまでも死に至らしめる。しかし、それは発端に過ぎず、彼のクラスメイトは次々と悲惨な死を遂げる……犯人は30年前にいじめを受けていたあの男なのか……
本体価格1,157円
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デビュー前映画やテレビドラマの脚本家として活躍していた作者の小説だけありエンターテイメント性の高い作品。
リスクの基礎学校9年生時代の同級生、嫌われ者のいじめっ子が次々と無残な姿で殺されていく。これは少年時代のいじめの報復なのかと思ったが、いじめっ子だけで事件は終わらず、いじめを見て見ぬふりしたクラスメイト全員が狙われていく…
物語前半のいじめの報復かというところまではとても好みだった。後半はストーリーも犯人も動機もそして主人公も盛り上がりに欠けていた。
いかに長く苦しむかを重点に置いた殺し方に気分が悪くなった。1章が短くスピーディな展開で引きずらず読んでいけたので助かった。
過去の事件やドゥニャの上司との確執などまだ先があるようだけどリスクシリーズは読むか微妙。この作者の他の作品は読んでみたい。
主人公リスクが好きになれなかった。チームの輪を乱す問題行動。リスクのおかげで捜査が進展したところもあるけど、マイナス面の方が目につく。ダメなジャック・バウアーって感じ。
ガソリンスタンドの件も女を殴るところ(1度目は仕方ないけど)も過去の署で起こった事件も全部いや!家族に対しても煮えきらない態度だし、奥さんとのいざこざはもうどうでもいいよ。
スェーデン警察の刑事たちはみな優秀で個性的でいい。刑事もの特有の女性差別もなくみなまとまっていた。リスクではなくこちらをメインにした方が面白いと思う。
デンマーク警察の女刑事ドゥニャの存在もよかった。彼女の上司は許せない。
北欧ミステリが日本でも定着しているらしい。他はどんな作品があるのだろう。 -
日記にミスリードされたなあ。そして切ない。
他人に認知されないというのは本当につらくてさみしいことだと思うけど、だからといって、ねぇ・・・ -
グロテスクな感じ?でも気になる…。
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こういう殺人ミステリー大好き‼︎
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残念です。内容が悪くて星1つにするわけではありません。
シリーズの日本語版が3巻でストップしてしまったからです。
著者のwikiを見ても6巻まであるみたいなのですが、ハーパーコリンズ・ジャパンからは一向に出る気配がありません。
(4巻の原著は2019年に出版されています)
なので、今からこのシリーズを買う人は3巻で中断しなければなりません。(2巻と3巻には4巻以降の繋がり示唆する導入部もあるのでなおさら消化不良に終わる)
自分はこのシリーズが好きでした。
本当はカリン・スローターの警察ものシリーズを読みたかったのですが、カリン・スローターの著書は上下に分割されて分断本になってるので読む気が失せました。
なので、上下分割されてない1冊本にまとめられた警察シリーズものを探していたところ、ファビアン・リスクのシリーズに出会ったわけです。
著者はスウェーデン出身で小説の舞台もスウェーデンですが、アメリカライクな警察ものに仕上がっています。
端的に言うと、サイコパス連続殺人犯 VS 少し人材に問題がある警察の犯罪科の面々、という構図です。
殺人犯たちは、それはもうやることなすこと大仰でダイナミックで警察をあざ笑うようなことをしてきます。
立ち向かうスウェーデンとデンマークの警察官たちは、内輪でいろいろと問題があるわけですよ。(傲慢な上司、一匹狼、トラウマ持ち、お笑い担当、酒癖悪い、高慢ちきなど)
そんでもって、犯人の動機もやることも複雑で、何度となく前ページを読み返す必要に迫られる展開になっています。
派手なアメリカ警察なモノに、北欧の繊細な心理描写が加わった感じで、個人的には面白く読めました。
最初にこの「顔のない男」を読んで、「これはもう全シリーズ揃えるしかない」ってすぐ決意に至りました。
だがしかーし!
待てども待てども4巻が発売されない・・・。
原著では2019年には出てるわけです。今までは、原著が出てから1年ほどで日本版が出ていました。
よって、ファビアンリスクの日本版シリーズは頓挫した、と考えるに十分なわけです。
今から「顔のない男」を読んでも、その先に幸せは無いわけです。
むしろ本書が面白かったら、読者にとっては余計に酷いことになります。
一応、1巻ごとに完結はしているけれども、3巻目の最後には4巻以降の導入部がありますし、2巻目にも4巻以降で出てくることになる人物の描写が少しあります。
4巻以降の物語の舞台設定をチラチラ見ながら、3巻でぶった切られても平気な人だけが買えばいいかな・・・。 -
気持ち的には星4ではなく3.5かなぁ。
北欧感は出ていて(そりゃ舞台がそうだから当たり前なんだけど)雰囲気に浸れるし、展開に映画みたいなスピード感があるのも読んでいて飽きが来なくて良い。登場人物の言葉から察するにファビアンは渋くてカッコイイおじさんのようだし、自分の想像の中で動かすにしても楽しい。
若干の不満は、細かいところの辻褄合わせが放棄されている点。犯人の動機の部分とか(「注目を浴びない」ことが猟奇殺人に結びつくかなぁ??それに、卒業アルバムの写真とかさすがに業者や学校がきちんと確認するでしょ…)、殺し方の部分とか(例えばカミラの目を結局どうやって攻撃したのかとか)、緻密さが強調されている犯人の割には、方法が説得力に欠ける運任せのような要素があった。あとは、警察側の動きにしても、「さすがにそんなヘマはしないのでは…」みたいな流れがいくつかあり(瀕死の重傷を負ったデカを医者もいない雑居ルームに移したりするかなー?)もう少し背景の説明がしっかりあっても良かったかなー、というのが正直な感想。
家族との確執の部分は、人間味を出すために必要な要素でもあるのだろうけど、個人的には、前作でもそうだったしもうそろそろお腹いっぱいという印象。家族が巻き込まれてお父さんが必死に助けようと頑張る!という展開も、まぁよくあるパターンなので「うーん…」という感じ。
あ、でも、細かいところだけど、たまに出てくる食事のシーンはなぜか惹かれることが多かった。疲れた後の珈琲&クリームたっぷりのケーキとか、仕事中にダッシュで食べるポテト&コーラ&チーズバーガーとか。なんだろ、自分の生活とかぶるからかな。読んでいる最中に思わずマックでバーガーのセットを注文してしまったこともある。
この一作でどうこうではなくて、シリーズものとして、全体の雰囲気を楽しみつつ読んでいくのがいい気がする。 -
読み応えがある
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次々と起こる同級生を狙った殺人事件。
犯人と思っていた者も殺されてしまう。
一体誰?
クラスにいたのに空気みたいに存在感の薄い者の復讐。
何もされなかったことに対して。
読み応えがある一冊でした!!