刑事ファビアン・リスク 九つ目の墓 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550668

感想・レビュー・書評

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  • ステファン・アーンヘム『刑事ファビアン・リスク 九つ目の墓』ハーパーBOOKS。

    『刑事ファビアン・リスク』シリーズの第2弾。第1弾の『刑事ファビアン・リスク 顔のない男』は前半モタモタしたものの、尻上がりに面白くなる作品だったが、果して第2弾はどうだろうか。

    第2弾も600ページとなかなかのボリュームで登場人物も多く、ストーリーを追うのに非常に苦労した。そして、西村寿行もビックリの第1弾よりもハードなストーリーと面喰らうような性描写。しかし、第1弾よりは完成度は劣るような気がする。

    既に第3弾も刊行されているようだが、読むのに少し躊躇してしまう……



    ストックホルムで現職の法務大臣が何者かに拉致され、内蔵と眼球を摘出された惨殺死体となって発見される。コペンハーゲンではテレビ番組の司会タレントの妻が斧でめった斬りにされる。スウェーデン国家刑事警察のファビアン・リスクとデンマークの女性刑事ドゥニヤはそれぞれの事件を捜査するが……スウェーデンとデンマークで暗躍する二人の連続殺人鬼……

    本体価格1,000円
    ★★★★

  • 刑事ファビアン・リスクシリーズ「顔のない男」の前の設定です。前作が気に入って読みました。
    グロさが増幅。謎解きは途中でわかってしまう、ありがちパターンです。ヨーロッパ人てここに罪悪感があるのかな。
    主人公2人が好きな私としては楽しめましたが。
    「顔のない男」後が知りたいなー。

  • いやいや、ナイわ~。無理。ファビアン無理。

    訳者あとがきを読んでようやく、これは1作目の前の出来事なんだと気付いた自分。読解力とか大丈夫かなと不安になってきた・・・。そう言えば1作目で、同僚刑事の死については何も語らない云々の描写があったような、と思い出したな。なにぶん、図書館で借りた本なので、手元にないから確認できず。むむ。

    ま、とにかく、銃にビビって仲間を見殺しとかナイわ。

    そして、登場人物の多くにかなりイライラさせられた。
    ソニアもソニアだし、まぁ娘も娘。親が親なら、ってとこもあるかw
    そしてニヴァ。いや~受け入れられないわぁ。
    つか、そいつが寝てるの分かってて、ソニアともう一度やり直そう!って決意したってのに、何故に同じベッドに横たわる?それって、無意識のうちに、ソレを期待してたってことでしょ?どうなってんの?そう言や1作目でソニアと女のことでギスギスしてたなw
    マリーンもさ、妊婦だからってあのブチギレってアリ?ホルモン暴走し過ぎじゃん。仕事できるからアリなのかもだけど、周りにいたら確実に振り回されてしまって、私は苦手なタイプだな。

    結局、犯人は逃げおおせるし、クソ上司は何食わぬ顔で居座ってるし。亡くなった同僚二人が不憫だわ・・・。
    あ、あと、ドゥニヤも何かねぇ・・・。
    どう考えたって恋人とは終わってんじゃん、って思ったけど、しがみつこうとするのが哀れ。
    欧米の方々は、愛し合ってるのなら身体の関係はもう、頭の中ソレしかナイんか?ってくらい、すごくコトに及んでるってのに、ソレがナイってことはそうなんだよ!と教えてあげたいくらいだったw

    読み始めはまだ良かった。今作も楽しめるかな、と思って読み進めた。
    でも無理だった。
    最後はもう、ほぼ飛ばし読みした。
    とにかく不完全燃焼。ありとあらゆることにおいて。

  • 北欧ミステリの良いところは、なんと言っても日本と全然違う土地感を堪能できるところ。澄んだ寒い空気感とか、雪と灯りの美しいイメージとか、広々とした自然と都市部との融合とか…。旅行した気分になれるというか、針葉樹の香りを清新な風が運んできてくれるような感じ。
    まぁ、とはいえ内容はミステリなので、ハラハラドキドキする要素とか、怖いけど謎を追いたくなる要素とかもあって、そこがまた良いのだよな。ただの綺麗な文学作品じゃなくて、ちゃんとエンタメ性があるところが魅力かも。あと、たまたまかもしれないけど、最近手にした北欧ミステリは事件が結構凄惨なことが多くて、綺麗な土地の様子とその事件のダークさのギャップというか、清濁併せ呑んだ両面性が独特の世界観を醸し出すのかもしれない。

    私はこのシリーズの前作は読んでいないのだけど、登場人物の生活や今までの経歴がしっかり書き込まれているのと、会話シーンもたくさん散りばめられているので、それぞれの個性が光ってキャラを掴みやすくてぐいぐい世界に入っていけた。ミステリ以外の人間模様もストーリーに深みを持たせる大事な要素だと思うけど、過不足なく絡めることができている印象。(魔性のキャリアウーマン、ニヴァは友達にいたら大変そうだけど!)

    スウェーデンの事件とデンマークの事件という、一見どう繋がるのか分からない別々の要素が収斂されていく様子も面白かった。地理力の低い私からするとどっちの国も同じようなイメージなのだけど、当人たちは色々思うところあるんだろうなー。

    ところどころ、「イヤそれちょっと小説っぽすぎるでしょー!」みたいなラッキー展開もあって、非現実性に対して心で小さく突っ込んだりしてしまう点もあるのだけど、それもエンタメの味わいの範疇というか、悪い余韻は残さないので嫌な読後感にはつながらない。盛り上げるために無駄に主要キャラを殺す展開の作品も多いけど、そういうシーンが少なくて良かった。

    とりあえず、順序は逆だけどファビアンシリーズの第1作目を次に読む!

  • 1作目を刊行当時に読み、クローズド・サークル好きゆえに面白く読めたが主人公のキャラがダメすぎて、続きには手が伸びなかった。
    ここへ来て私的北欧ミステリ・ブームとなり、そいや昔あんなの読んだな…と手に取った。

    うーん…変わってないな、すべてにおいて。
    てか、主人公のクソさがパワーアップ(ダウン?)してるし。

    撃てなかったこと、はまあ、いい。
    個人的に絶許なのが、
    ・子供ないがしろ。「そのひらめきを今捜査する」のは確かに大事だが、「それをお前がやる」必要は微塵もないっつの。北欧人のくせに、ヘルジャップ社畜かよと思うようなあきれた属人主義。その犠牲になるのは、わずか8歳の娘。
    ・大事な証拠品の管理をおろそかにし、さらにまたもや娘をおろそかにしたあげく、証拠品を娘にいじられ同僚を危険に晒す。「娘ガー」とか言ってるが、200%お前のせいだろ。しかも、その後のフォローが甘すぎ。部屋替えるだけってバカですか? おかげでマリーンは悲惨なことに。
    ・言わずと知れたニヴァとの関係。地獄へ堕ちろとしか。

    しかも今回はドゥニヤまでもがクソ化しており、危険な現場に単独突入し、あげくにそれで足を捻挫し犯人に捕まる始末。
    リスク以外のスウェーデン警察も負けてはいない。最重要局面で、やっぱり準備不足の突入を敢行。おかげで重大な結末に…と、どいつもこいつも何考えてんだと言いたい。
    マリーンとドゥニヤのシスターフッド的交歓が、キャラクター描写として唯一良かったところ。それ以外はとにかく、愚かな行動を取るクソ人物しかいない…という感じだった。

    ストーリーは、それなりに練られていると思う。
    だが、スウェーデンとデンマークに2人も猟奇殺人犯は必要だったか?(1人にまとめりゃいいのに)とか、両国の事件の連関度が前作より劣る(これじゃただ、2つの国の警察小説を交互に読まされてるだけ)とか、構成面も前作より落ちたと思う。

    2020/2/20〜2/22読了

  • あらすじ
    スウェーデンで、法務大臣が誘拐される。直前にはイスラエル大使の息子も誘拐されている。
    デンマークでは、女性が殺害され、同じ手口であることから出所した猟奇殺人犯かと疑われるが、女性刑事ドゥニァは疑問を抱く。彼女はスウェーデン刑事マリーンと交流を深めたり、セクハラ上司スライズナーに嫌悪したり、恋人のカルステンとの仲に悩んだりしながら単独で捜査している。

     一方、スウェーデンでは誘拐された人々の死体が次々と発見される。彼らの遺体からは内臓や角膜がなくなっていた。かつてイスラエルでは合法的に臓器売買が行われ、奪い取った臓器を移植していたのだ。デンマークの事件も同じ。
     犯人は、恋人だった女性。彼女は掃除係として働きながら様子を伺っていた。一番先に気づいたのはマリーン。双子を妊娠中で入院したが、連れ去られ、イスラエル大使館に連れ込まれる。助けに入ったファビアンは負傷し、若手刑事二人は殺される。

    イスラエル大使館、イスラエルの病理学者、ファビアンの上司エデルマンは黒幕だつた。犯人は無事故郷に帰る。結局ファビアンは家族が再び結束することを選び、国家刑事警察を退職した。

    前作第一作の前のエピソード。オリジナルでも、この順番みたい。前作も思ったけど、話がややこしい。あっち行ったりこっち行ったりしている。別にデンマークを絡めなくてもいいんじやないの?あと、主人公ファビアンが使えない。大事なところで動けない。かたくなに銃を撃たないので、仲間が倒れてしまう。むしろ妊婦のマリーンが有能。

  • この長さなんだから一気読みというわけにはいかない。なのに、二つの事件(それも結構ややこしいヤツ)が並行して起き、しかも国境を越えてあっち行きこっち行き。中断するたびに、えーと、これはどっちだったっけ?としばしば混乱した。地名とか人名でデンマークかスウェーデンか無理なくわかる人なら そんなこともないだろうけど…。

    事件自体はかなり異様で凄惨。ゲーッというグロテスクな犯罪が次々描かれる。北欧にはずっといいイメージを持っていて、今も基本的にそれは変わらないけれど、次々紹介されるミステリを読んでると、どこの社会にも深い闇があるのだなあと思わされる。

  • スウェーデンで起きた法務大臣の失踪事件をひそかに調査することになった刑事ファビアン・リスク。いっぽうデンマークでは、著名人の妻が殺害され、夫も失踪する事件が起きる。一見何のつながりもなさそうだった2つの国での猟奇事件には、思いもかけない共通点があった。

    いきなり余談その1。九っていうとあれじゃないですか、九尾の猫とか・・・なんかミステリ的に本歌取りみたいなあれあるのかなとか・・・まあ全然関係なかったですね。。

    いきなり余談その2。ネタバレなんですけど、最後のエピローグのその後の1節の意味が全然わからなくて、自分なに見逃したのかなって思って読み返したり考えたりしたんですけどやっぱりわからなくて、他の人の感想を探して読んだわけですよ。そしたら、みんな普通に「3作目への布石かな」ってちゃんと理解してて、自分の読解力のなさに戦慄した。

    やっと本題。

    リスクが退職して故郷のヘルシンボリに転居するきっかけとなった、ストックホルムで起きた事件の発端から顛末まで。いきなりイスラエルとパレスチナ問題やら、スウェーデン法務大臣の失踪事件やらから始まるので、例の手紙にはとんでもない国家機密とか書いてあるのか!?と思うわけですが、これがミスリード。いやまあ、それは言い過ぎか。ことがややこしくなったのはある意味、国家スキャンダルモノの秘密が隠されていたせいだしな。しかしながらこのミスリードとスウェーデンとデンマークのそれぞれで起きる事件が、そして関係者がクロスするようなしないような展開が、ジェットコースターのように読者をあちこちに連れて行ってくれるのではらはらしつつもさくさく進みます。

    これでもかっていうくらいしょーもなく嫌なやつ(この作者はこういう人を書くのが上手だな・・・)がいる一方、ドゥニヤにまた会えてとても嬉しかった!ちらっとヘルシンボリのみんなが出てたのも嬉しかった!前作でドゥニヤを助けてくれたIT部門の彼がもっと活躍してくれればなお嬉しかったな・・・。3作目はドゥニヤは警察官じゃないだろうから、もう出てこないかもなー。

    とまあ、事件の展開以外にもみどころいっぱいで楽しいのですが、さきに書いたように今回他の方の感想を結構読んだところ、リスク嫌われすぎ。。別に「嫌われ者設定」の主人公でもないのに、好感持てない、共感できない、主人公に魅力がない等々、みんなひどい。でも超わかる笑 わざとかなって思うくらい、マリーンやドゥニヤのほうが突き抜けてて魅力的です。わざとじゃないならなおひどいな笑

    3作目はどうなるのかなー。こうなると、今回すべてを闇に葬ったエデルマンにひとあわ吹かせてほしいけど、そういう展開じゃないのかな。3作そろってすべての借りを返せるような展開になれば、多少はリスクの株も上がりそうなのに笑

  • はなはだ残念。

    1巻目が、粗削りだけれど面白くて、続きを楽しみに読んだのに。
    「なんだこりゃ」である。

    ヘニング・マンケル(ヴァランダー・シリーズ)のように国際情勢のからんだドラマを、
    ペール・ヴァールー&マイ・シューヴァル(マルティン・ベック・シリーズ)のように刑事とその家庭を描きつつ、
    スティーグ・ラーソン(ミレニアム・シリーズ)のように優れて素晴らしい女性をアイコンにして、
    ジェイムズ・トンプソン(カリ・ヴァーラ・シリーズ)のようにあっと驚く展開で書きたい‼

    と思ったかどうかは知らないが、作者はそれら全部において、大失敗をやらかしたようだ。

    とにかく選んだテーマがダメ。難物なのだから、扱うには相応しい力量がいる。作者にはそれがない。結果、ひどい代物だ。

    冒頭はよかった。本当によかった。さすがの描き様!! 見せてくれる!! わくわくするー!! と思ったのに。
    前半もよかった。人物がいっぱいいすぎて混乱するが、それでも面白かった。この混乱がどうまとまるのか、楽しみに読んでいったのに。
    この結果は頂けない。悪意と陳腐のない交ぜだ。

    テーマだけが駄目ならまだましだった。今回は大ハズレだけれど、それでも次は違うテーマだろうしきっと面白いよと、希望を見出だすこともできる。
    しかし、それも無理。
    終盤において、主人公に大きな失点、それも二つ。
    彼になんの魅力も感じられなくなった。

    スウェーデンとデンマークの比較ネタが面白かったり、レギュラー女性が魅力的だったりと、よい点もあったのに残念だ。
    このシリーズはもう読まない。

  • 面白かった。なかなか残虐なシーンもありだけど、犯人が誰なのか、理由が何なのか、知りたくて引き込まれました。私的には、最後の同僚二人のシーンが残念。一作目より過去の話しなんだと、後から知りました。なので、こっち先でも良かったのかな。映画や海外ドラマのようなイメージが浮かんでくるようなミステリーでした。

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