ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
4.14
  • (195)
  • (203)
  • (86)
  • (13)
  • (5)
本棚登録 : 3239
感想 : 183
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596551221

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あらゆる商品を購入する顧客は、そのプロダクトを購入したいのではなく、何かジョブを片付けるために購入するのである。

    ジョブとは特定の状況で人あるいは人の集まりが追求する進歩である。ジョブは日々の生活の中で発生するもので、その文脈を説明する状況が定義の中心に来るイノベーションを生むのに不可欠な構成要素は、顧客の特性でも、プロダクトの属性でも、新しいテクノロジーでもトレンドでもなく状況である。

    例えば、家を建てて売るビジネスだと思っていたビジネスが、実際には顧客の人生を移動させるビジネスなのだとわかった時、それは新しいジョブを提示することになる。

  • 目に見える属性に注目した通常の市場調査からは見えない、生活様式や行動様式に注目して顧客自身も気付いていないもしくは当たり前で半ば諦めていた潜在的かつ共通性のある欲求(ジョブ)を明らかにすることの重要性がきれいに説明されていて面白かった。
    実際にマーケティングに落とし込む際には「ジョブはこれでしょ?それならこのサービスが最適。」と当てがうのは禁物で、顧客が自分で選択したと感じさせることが重要かつ難しいポイントだろう。著者がジョブを考える時には適切な抽象度が重要だと言っているのは、この辺りと相性の良いと感じた。

  • 星4.5 最高の良書、ホームラン本(樺沢紫苑氏の言葉)だった。この著者の本は有名な本たくさんあるがまだ見れていないので早速購入したいと思った。

  • ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
     序章 この本を「雇用」する理由
      まちがったことに上達する
      どんなジョブのためにそのプロダクトを「雇用」したのか

     第1部 ジョブ理論の概要
      第1章 ミルクシェイクのジレンマ
       朝のミルクシェイク
       マーガリンのレジュメ
       ジョブ理論とイノベーション
       章のまとめ

      第2章 プロダクトではなく、プログレス
       何をではなく、どう考えるか
       ジョブの定義
        ■進歩
        ■状況
       機能面、社会面、感情面の複雑さ
       ジョブとは何か
       ジョブでないもの
       ジョブを見きわめるには
        ■この動画に記録されるべき要素
       競争の勢力図の変化
       ジョブ理論の限界
       コペルニクス的転回
       章のまとめ

      第3章 埋もれているジョブ
       無と競争する
       ジョブの適用範囲は深くて広い
       B2Bにおけるジョブ
       価格2倍で機能半分
       顧客の人生に寄り添う
       章のまとめ
       リーダーへの質問

     第2部 ジョブ理論の奥行きと可能性
      第4章 ジョブ・ハンティング
       ジョブはどこにある?
       1 生活に身近なジョブを探す
       2 無消費と競争する
       3 間に合わせの対抗策
       4 できれば避けたいこと
       5 意外な使われ方
       感情面の配慮
       魔法は必要ない
       章のまとめ
       リーダーへの質問

      第5章 顧客が言わないことを聞き取る
       顧客のスト-リーをつくる
       マットレス購入までの道程
       衝動買いの裏に
       アドビルかレッドブルか、新しいマットレスか
       ジョブとインサイト
       章のまとめ
       リーダーへの質問

      第6章 レジュメを書く
       ジョブを解読する
       体験とプレミアム価格
       障害物を取り除く
       ウーバーの体験
       ジョブに適していることをどう伝えるか
       パーパスブランド
       章のまとめ
       リーダーへの質問

     第3部 「片づけるべきジョブ」の組織
      第7章 ジョブ中心の統合
       秘伝のソース
       ジョブ中心に組織をつくる
       測れることは実行できる
       オンスターのジョブ
       章のまとめ
       リーダーへの質問

      第8章 ジョブから目を離さない
       イノベーションのデータの3つの誤謬
       1 能動的データと受動的データの誤謬
       2 見かけ上の成長の誤謬
       3 確証データの誤謬
       データの出所が問題をつくり出す
       受動的なデータを能動的に捕まえる
       章のまとめ
       リーダーへの質問

      第9章 ジョブを中心とした組織
       直観的な作戦ノート
       両面コンパス
       だいじなことを測定する
       ジョブがすべてを変えた
       文脈を失わない
       章のまとめ
       リーダーへの質問

      第10章 ジョブ理論のこれから
       本当に理論と呼べるのか
       理論が”誤って”いるとき
       理論の限界
       ジョブ理論の適用範囲の深さと広さ
       個人的なジョブ
       公教育
       医療
       人生のジョブ
       ジョブ理論とともに
    Harper Business「Competing against Luck : The Story of Innovation and Customer Choice」 2016年10月

    日本語版解説 津田真吾
    ハーパーコリンズ・ジャパン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」 2017年8月

  • とても面白い視点を得られた。
    ユーザーが購入するというのはジョブをなし得ると捉えるのはとても新しい視点だと思う。
    もともと仕事というのはそういうものだったのかもしれない。

  • 新規機能開発において、要求・要件定義の指針がほしかったので、読みました。「ジョブ」とは、「ある特定の状況下で顧客が成し遂げようとする進歩」と理解しました。ジョブの設定において特定のプロダクトやサービスは特定されず、また名詞と動詞で表現されます。私が朝出社する途中にあるドトールコーヒーに入るのは、「コーヒーを飲む」というジョブではなく、「出勤時間までの間に落ち着いて本を読む」というジョブです。ジョブを定義し、組織をそのジョブに向かわせ続けることが、イノベーションへの道であるという論旨です。主張が明快かついまの自分にとって考えを巡らせる材料になりそうで、とてもよい本でした。

  • クレイトン・クリステンセンが「なぜそれを買うのか」でイノベーションの鍵を解説。ジョブ理論に基づき、商品の売れなさや成功の要因を明らかに。ビッグデータだけでなく、「顧客の片づけたいジョブ」に焦点を当て、無消費者も取り込む戦略を提案。事例としてイケア、GM、P&Gなどを取り上げ、ジョブ中心の組織づくりやデータ活用の重要性も論じる。最新のビジネス書として注目される。

  • 『#ジョブ理論』

    ほぼ日書評 Day734

    ジョブ理論、原語ではjobs to be done(JTBD)だ。
    ネットを検索すれば、星の数ほど解説文が見つかり、(おそらくは)ほぼ全てでニーズとジョブの違いについて解説がなされていると思うが、本書でも取り上げられる有名なドリルと穴の例をしっかり位置付けているケースは意外に少ないように思われる。

    ジョブ理論以前は、ドリル=wants、穴=needsと解説されることが多かったのだが、本書ではその中間にjobという概念を持ち込んだ。

    評者の解釈では、ニーズの実現(構成)要素を "done? y or n" が判定できるレベルまで具体化・細分化したものがジョブである。
    よって「穴」はジョブであり、本来のニーズはその穴をもってして実現したい何かということになる。

    内容的には例によってサンプルがアメリカ的過ぎて共感しづらいものが多い(冒頭の運転しながらミルクシェイクを飲むとか)が、もっともピンと来るのは、コストコで700ドル(10万円超)のベッドマットレスを「衝動買い」した一般男性の例か。

    売り場の一角にあった、わずか2種類のマットレスから、実際に横たわってみて寝心地を確かめることもせずに、そんな高額な買い物を即決できた理由を探る。

    決断自体は一瞬だったが、古いマットレスには眠りの質を妨げるということで、1年以上不満を抱いていた。この場合、質の悪い眠りを排除することがジョブとなる。

    そして、そのジョブをdoneにするために、何らかのプロダクトやソリューションを雇用することが必要となり、それがここでは新しいマットレスということになる。
    ただ、注目すべきは、新しいマットレスを雇用(hire)したい気持ちより、古いマットレスを解雇(fire)したい気持ちの方がはるかに強かったということ。

    そして、コストコという一般には寝具購入とは縁遠そうな店でそれをしたのは、マットレス専門店で販売員の営業攻勢にさらされたくない。妻と一緒の買い物シーンだから、後々面倒なことにならない。コストコは不具合があれば返品を受け付けてくれる。こうした一連の要素だという。

    ところどころ牽強付会に感じられる箇所もあるが、B2CだけでなくB2Bの世界でも、実際のエンドユーザーの立場になってのジョブを今一度考え直してみることは有用と考えさせられた。

    https://amzn.to/40HOjlA

  • スッと腹落ちしました。

  • 顧客の求めているものをわかったつもりでは、イノベーションが成功するかは、一か八かだ。
    何が顧客にその行動をとらせたのかを真に理解していないかぎり、賭けに勝つ確率は低い。
    ものの見方を変えること。大事なのは、プログレス(進歩)であって、プロダクト(商品)ではない。
    私たちが、商品を買うということは、基本的に、なんらかのジョブを片付けるために何かを「雇用」することである

    ■ジョブ理論の概要
    ・ジョブを明らかにして把握できたあとは、そこで得た知見を優れた、プロダクト・サービスの開発に落とし込む青写真に書き換えなければならない。
    ・ジョブには複雑さが内在する。機能面だけでなく、社会的及び感情的な側面もある
    ・ジョブはつくりだすのではなく、見つけ出すものだ。
    ・ジョブそのものは変化しなくても、解決の方法は、時が経つにつれて、大幅に変化することがある
    ・顧客がなぜその選択をしたのかを理解できていなければ、根本的に欠陥をかかえたプロセスの進め方がうまくなるだけだ
    ・イノベーションをみると、その中心にあるのは、顧客ではなく、顧客が片づけるべきジョブである
    ・ジョブを最初に発見するのは、偶然やあてずっぽうではない。ジョブ理論を深く理解することで組織はイノベーションの取り組み方と成長する方法を根本から変える能力を手に入れられる

    ■ジョブ理論の奥行と可能性
    ・問題は道具にあるのではなく、何を探し、観察した結果をどうつなぎ合わせるのかにある
    ・ヒントは、①身近な生活の中、②無消費に眠る機会、③間に合わせの対策、④できれば避けたいこと、⑤以外な使われ方、のなかにある
    ・片づけるべきジョブは、市場調査に頼るのではなく、人々の生活を注意深く観察して彼らの望みを直感し、それに従って進むことによって、探すことができる
    ・市場に成長の余地はもうないと感じられたら、ジョブを適切に定義できていない可能性がある
    ・できれば避けたいジョブは、進んでやりたいジョブと同じくらい沢山ある
    ・人は視野を広くもたなければならない。システムの世界で、ユーザ体験というと、美しい画面にボタンを使いやすく整列させることがすべてとおもいがちだ。
    ・顧客が自分の要求を正確にもれなく表明できることはめったにない。顧客の行動の動機は、本人がいうよりも複雑であり、何かを購入するまでの道筋ははるかに入り組んでいる。
    ・顧客が達成しようとする進歩は、文脈の中で理解しなければならない
    ・顧客がなしとげようともがいていることは何か、それがうまく機能していないのはなぜか、何か新しい解決策がほしいと彼らに思わせているのは何か
    ・ジョブを思いつくときには直観がものをいう。感覚としてはあっている
    ・片づけるべきジョブを明らかにするのは、最初の一歩にすぎない。あなたが売るのは、進歩(プログレス)であって、商品(プロダクト)ではない
    ・新しいプロダクトが成功するのは、その特徴や性能がすぐれているからではない、それに付随する、「体験」がすぐれているからだ
    ・もっとも知りたいのは、同じジョブのためにそのプロダクトを雇用したレビューアたちが何と言っているかである

    ■かたづけるべきジョブの組織
    ・プロセスは目で見て理解するのが難しい、プロセスは、公式に文書化された手順と、非公式な習慣的な行動とでできている。
    ・プロセスは手で触ることができない。企業と一体化している。
    ・痛みを伴うリストラクチャリングは、だいたい臨んだ成果に結びついていない
    ・ジョブのレンズを通すと、誰が誰の指揮下にあるかよりも、顧客のかたづけるべきジョブを完璧に解決するプロダクト・サービスを組織が体系的に提供できることのほうがはるかに重要である
    ・顧客の片づけるべきジョブを中心に組織全体をまとめるには、予測可能で、反復可能なプロセスがなければならない
    ・うちでは、組織よりも、プロセスのほうをはるかに重視している。当社が迅速に動ける理由のひとつは、会社全体を通じて、同じ技術、同じプラットフォームを使い、同じ指針に沿っていることだ。
    ・プロダクト指向ではなく、プロセス指向だ
    ・顧客がほしいのは、プロダクトではく、問題の解決策だ。
    ・イノベーションのデータの誤謬  
     ①組織の情報フィルターが多層化するにつれて、ジョブではなく、企業は数字を管理するようになる
     ②大きな利益、すなわち、見かけ上の成長へフォーカスしてしまうと、ジョブへのフォーカスを失ってしまう
     ③確認したいデータのみに目がいってそれ以外のデータに注目しなくなってしまう
    ・組織に選択を正しく行うことができるようにするためには、かたづけるべきジョブのコンセプトを単純にしなければならない
    ・ジョブ理論が力を発揮すると、業務は引きしまる。無駄や、間接費が体系的に減り、使う時間や、エネルギーイや資源が最小化される。
    ・私たちは、あらゆるものを測定できる。しかし、何を測定するかが重要だ。

    目次
    序章この本を「雇用」する理由
    第1部 ジョブ理論の概要
     第1章 ミルクシェイクのジレンマ
     第2章 プロダクトではなく、プログレス
     第3章 埋もれているジョブ
    第2部 ジョブ理論の奥行きと可能性
     第4章 ジョブ・ハンティング
     第5章 顧客が言わないことを聞き取る
     第6章 レジュメを書く
    第3部 「片づけるべきジョブ」の組織
     第7章 ジョブ中心の統合
     第8章 ジョブから目を離さない
     第9章 ジョブを中心とした組織
     第10章 ジョブ理論のこれから
    謝辞
    日本語版解説
    索引

    ISBN:9784596551221
    出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン
    判型:4-6
    ページ数:392ページ
    定価:2000円(本体)
    発売日:2017年08月01日第1刷
    発売日:2018年05月20日第6刷

全183件中 1 - 10件を表示

タディ・ホールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×