- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620324104
作品紹介・あらすじ
米国の世界同時監視システムの真実を告発して世界を震撼させたスノーデンに、日本人ジャーナリストが初の長時間インタビューを敢行。スノーデンの日本での工作活動の全貌、民間企業を抱き込んで行う通信傍受の実態、世論操作と市民運動破壊の方法、日米関係の不平等、監視と戦争の危険な関係…現代の恐るべき支配のすべてが明らかになる。
感想・レビュー・書評
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ここに書かれている色んなことに驚かされるが、中でも「やっぱりアメリカは日本を真の同盟国とはおもってはいない」ということと「監視システムから得たデータはテロ防止には何の役にも立っていない」ということ、そして「この監視システムはテロ以外の情報を盗み出すために使われている」ということが暴露されている点だな、と…
この閉塞感にちょっと凹みます詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スノーデンの言葉自体は本全体の半分もなく、著者の意見が多く書かれていました。経緯や背景の説明は必要ではあると思いますが、少しそれらを読むのに疲れてしまった印象です。個人情報がどれだけ監視されているかについては具体的にわかり、その怖さは感じました。ただ個人情報が筒抜けであることよりも、報道規制や情報操作などの方が怖いなと感じました。
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Kindle
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米国(NSA)は、外国を3つに分類している。「ファイブアイズ」と呼ぶ秘密情報を共有する、英語を母国語とする同盟国、ロシアや中国など日常的な監視の対象とする国、日本やドイツなど協力を求めつつも監視の対象とする国。最後のグループに属する日本は不平等な関係を強いられながら、米国が収集した秘密情報を共有してもらう為に、米国がデザインした「特定秘密保護法」を成立させられている、とスノーデンは指摘する。
スノーデンを突き動かしているものは何か。
人は監視されることを意識すると、監視する側の視点を自らの中に取り込んで行動するようになるという。「プライバシーは個人が自らの良心を形成するための大切な空間」というスノーデンの言葉には重みがある。
米政府は日本政府に対し、自国民の盗聴情報のトレードを持ちかけたらしい。しかし日本政府は法律の縛りがあるために慎重であり、2010年頃までは拒否していたらしい。しかし、「日本が協力しないなら自分で取りに行く。そして日本には見返りを与えない」と脅した。特定秘密保護法が強引に制定されたのはその後のことだ。マイナンバー制度がそれに続き、共謀罪(テロ対策)法案がそれに続いている。
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日本人による彼の初取材。
ネットをするたびにそれにつながっている監視システムを意識することになるかもしれないくらい衝撃的だった。
冒頭の、朝日新聞のアフガン空爆容認、有事法制批判記事のたなざらしなどの権力への迎合(慰安婦報道謝罪で今も続いているという)に嫌気が差して飛び出した著者の半生記が面白い。
パノプティコン、米国入国審査などについて解説したあと、スノーデンのインタビューについて。内容は想像以上だった。
NSAは外国との関係をファイブアイズ(英加豪NZ)、セカンドパーティー(日独など)、サードパーティーに分けているという。
米国がデザインした秘密保護法について。「米国の立法関係者は日本にするべきこと、するべきでないことを指導する立場にあり、日本はだいたいその通りにする」
つまり日本は三下に過ぎないのか。
wikileaksの「ターゲットトーキョー」。日本政府内の動きや日銀、商社まで盗聴。しかし政府はめるけるのように講義することもなく打消しに必死で、メディアコントロールも成功したのか、たいしてニュースになることなく忘れ去られている。
SSOという、インターネット通信が海底ケーブルで米国内に入る地点ですべてをコピーして保存するというプログラム。日本国内でちょっとした検索をしても、それがNSAに記録されるという怖さ。ファイアウォールをきづいている中国がまともだったのか?PRISMに情報提供しているグーグルを排除するのも当然か。
彼のプライバシー論「プライバシーは個人の考えを作り出すために必要。信念形成には他人の偏見やきめ付けから逃れて自分のために考える自由が必要」
日本はまだ諜報活動が抑制的。敗戦のためにそういうものに制約がついたとか。
「監視システムから得たデータはテロ防止には何の役にも立っていない」
さまざまな世論操作活動も行っているとか。これを読むと、あの2chへの書き込みやあのツイートもNSAの工作じゃなかったのかと疑心暗鬼になる。 -
インタビューよりも著者が日本の報道の自由のあり方に疑問や憤りを感じた経緯や背景、紆余曲折がメイン。
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スノーデン監視社会の恐怖を語る
小笠原みどり 毎日新聞出版
地球上で最大の恐怖組織を相手に内部告発へと踏み切った
英雄らしからぬ沈着冷静な一匹狼の周到な頭脳とユルギのない心に感動
読むほどに事実は小説よりも奇なりを実感し
利己心に目がくらんで搾取する依存以外に生きる価値を見いだせなくなった
人間の浅ましい姿を垣間見ることになる
これほど頭の回転が素早く巧妙なのに何故一歩下がって世界を俯瞰できないのか
どう考えても不思議だけれども
一度振り向いた過去の知識と知恵から抜け出せずに井の中の蛙に閉じこもっている
これが彼らのあわれな現実なのである
不安に怯えてパニクッタ火事場の馬鹿力は冷血この上なく凄まじい暴力となって
執拗にイジメとカツアゲとイタブリに癒やしを求めて何千年と
世界制覇を企てながら生き延びてきたのである
権威ある存在であるほど悪魔が天使の衣を羽織る影で警察国家を操る存在だということだ
今では咳払い一つで側近共が忖度して人より先んじて汚い仕事を率先して果たし
タナボタの利権を献上してオコボレを頂く秩序とシキタリと監視システムが行き渡り
信頼関係を壊された市民同士が裏切り合う
少しでも頭を上げて首を出したり流れを乱せばたちまち通報される監視社会
自尊心や自律心や哀れみや対等観や全体観を持とうものなら徹底的に
アメとムチで洗脳されるか殺されるかのどちらかであることを理解することになる
勿論監視社会から抜け出すにはどうすれば良いのかという問題が大事である
対立と疑い合うことこそが彼らの罠だと気付き過去に溺れた依存心を跳ね返す勇気を持ち
前後左右を見渡せる今を捉え直してお互いの存在を認め合い
対等観と自在性による民主主義を目指すことである
不安恐怖におびえさせられて分裂してしまった市民同士が信頼関係を取り戻すために
自主的に一人ひとりが全体観を求めて視野を広げ切磋琢磨できる仲間を創ることである -
スノーデンのインタビュー記録よりも著者自身の主張の方が多く強い感じで、タイトルから想像する内容とは少し違う。
インタビューを前面に出して、その内容を検証したり考察する形式の方が良かったのではないか。 -
すごい本と出会った。
一般庶民、世の中の動きをしっかり見つめていって、ひとりひとりが意識を深めて、平和を守っていかないと、という思いを強くした。
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堀田善衛の発見 (略)
堀田は「疑心暗鬼、悲惨というほかない」と嘆いている。日本中が空襲で焼野野原になりつつあり、敗戦が避けられない状況になっても、戦争の指導者たちには「九十九パーセントの国民の苦難など、痛快なほどに無視されている。テンから問題にもされていない」
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この言葉がとっても痛いし、重い・・。
<本から>
「日本で近年成立した(特定)秘密保護法は、実はアメリカがデザインしたものです」
1972年の沖縄返還にまつわる密約のように、これまでも日本の政治には重大な秘密があった。沖縄の施政権変換交渉では、日米高官が日本側の巨額の支払い(2億ドル以上)を秘密裏に約束し、核持ち込みの可能性も残した。この密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は、情報提供したとされる外務省の女性事務次官とともに国家公務員法違反の疑いで逮捕された。 (略)
世間は密約よりも記者の醜聞にとびついた。密約報道は見事にかき消され、人々が世論操作に乗せられたことはごく最近までほとんと反省されなかった
特定秘密保護法が国家公務員法(一年以下の懲役または50万円以下の罰金)を上まる厳罰化によって、公益のために政府の違法行為を知らせようとするスノーデンのような内部告発者を封じ込めれば、真実はさらに衆目から遠ざかっていく。真実を窒息させるのが特定秘密保護法なのだ。
あなたのメールも集められている
日本人を含む非米市民は米市民以上に電話やネットの情報を米政府に収集されやすく、日本の私たちの情報は令状なしで収集されているのだ
政府はよく監視について『隠すことがないから恐れることはないだろう』と人々に向かって言います。このフレーズは実はナチスのプロパガンダから来ています。けれどプライバシーは何かを隠すためにあるのではありません。プライバシーはなにかを守るためにある。それは個です。プライバシーは個人が自分の考えを作り出すために必要なのです
権力との対立を避け、内向きに耳に心地よいニュースに縮こまっていく日本のメディアと、遮断されたスノーデンのニュースのアぢ打にはおそらく関係がある。そしてスノーデンの暴いた真実が日本で報道されないのは、本人の言うとおり、とても危険なことなのだ。
戦時中の日本を生きた作家、堀田善衛の発見 (略)
堀田は「疑心暗鬼、悲惨というほかない」と嘆いている。日本中が空襲で焼野野原になりつつあり、敗戦が避けられない状況になっても、戦争の指導者たちには「九十九パーセントの国民の苦難など、痛快なほどに無視されている。テンから問題にもされていない」 -
図書館に行ったら、目に止まったので、読んでみた。監視社会の中で、「プライバシーは何かを隠すためにあるのでなく、プライバシーは個を守るためにある。個人には自分の信じるところを決定するまでに、他人の偏見や決めつけを逃れて、考える自由が必要がある。プライバシーは個人の権利の源なのです。」ということをしっかりと認識していきたい。