アンダークラス2030 置き去りにされる「氷河期世代」

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620326566

作品紹介・あらすじ

社会階層研究の第一人者による最新作。就職氷河期世代に焦点を当てながら、格差が広がる日本社会に何が起こるか今後10年を大胆予測。

感想・レビュー・書評

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    内容(「BOOK」データベースより)
    『非正規雇用で所得が低い階級「アンダークラス」は現在1200万人。その多くを占めるのが氷河期世代だ。もはや自助努力では這い上がれない「時代の犠牲者」を救えるか?「非正規雇用」と「就職氷河期」の永続化を食い止める。日本の階級構造研究の第一人者が警告する驚愕の未来。』


    『アンダークラス2030 置き去りにされる「氷河期世代」』
    著者:橋本 健二
    出版社 ‏: ‎毎日新聞出版
    単行本 : ‎320ページ
    発売日 ‏: ‎2020/10/24

  • 正社員になれず、収入が少なく、多くの困難を抱える。
    増大しつつある「アンダークラス」が、今後、日本社会にもたらすであろう問題について説き、警鐘を鳴らす書籍。

    バブル崩壊後の1994年から2007年までを「就職氷河期」、この時期に大学卒業を迎えた世代を「就職氷河期世代」と呼ぶ。
    今回のコロナ禍で、就職氷河期が再来する可能性がある。

    2030年は日本社会の大きな曲がり角になりそうだ。次の2つの理由で、日本社会の構造転換が完成するからである。
    ①バブル期に登場したフリーター世代が65歳となり、非正規労働者として生涯を送る世代が、現役世代の全体を覆う。
    ②フリーター世代に続く氷河期世代が40歳代後半~50歳代となり、非正規労働者が多いこの世代が社会の中枢を占める。

    現代社会の主要な階級は、以下の4つ。
    「資本家階級」
    「労働者階級」
    「新中間階級」(管理職、専門職など)
    「旧中間階級」(自営業者、農民など)
    だが、近年激増する非正規労働者は、雇用が不安定で賃金も低く、従来の労働者階級とは異質な下層階級を構成しつつある。これを「アンダークラス」と呼ぶ。

    アンダークラスは900万人を超えており、失業者・無業者を加えると1200万人になる。
    コロナ禍による雇用の縮小や企業の倒産などで、アンダークラスはさらに巨大化するだろう。

    格差拡大と貧困の増大に対し、手立てが講じられない場合、アンダークラスを待つ最悪のシナリオは、次のようなもの。
    ・一生独身で低賃金労働を続け、子孫を残さない。つまり「再生産」できない。
    ・結婚しても生活は苦しく、貧困が子どもへと連鎖する。
    ・技能形成の機会がなく、技能水準と労働意欲が低下する。
    ・豊かな人々への反感により、公共心や連帯感が失われる。

  • 2030年は日本社会の転換点 下層社会の出現
    ・バブル期のフリーターが65歳
    ・氷河期世代が40台後半~50歳代で社会の中枢
    ☆ではどうやって暮らしているのか?親と?

  • 階層を①資本家階級②新中間階級③正規労働者④アンダークラスに分類する。就職氷河期世代は圧倒的にアンダークラスに属している。アンダークラスは非正規雇用労働者で低賃金に甘んじ、家庭を持たず、社会的に孤立している。氷河期世代内でも「アンダークラス」と「それ以外」と分断が起きている。また、自己責任論を肯定し、格差拡大を是認する者が多いのも氷河期世代の特徴である。氷河期アンダークラスは支持政党もなく投票へも行かないので、その声は政治に反映されることもなく、社会に取り残されている。アンダークラスの増大は大きな社会的コスト増大を意味する。その対策として①賃金格差の是正、②所得の再分配を提案している。特に、累進課税の強化は説得的に述べられている。高所得者は政府の政策に守られているが故に高い所得を得ることができるのでるから、高い税金を課すことがむしろ公平に資するという。なるほど。

  • 東2法経図・6F開架:361.85A/H38a//K

  • 2030年、フリーター第一世代が65歳になる。この世代は内部格差が大きい。
    21世紀になって、老人の非正規労働者が増えた。
    アンダークラスと失業者と無業者は同類。
    就職氷河期は1994年から2007年まで。

    戦後、専門学校は大学に昇格。一部できない学校は短大になった。やがて廃止されるはずが、女子学生が増えたため、恒常的制度になった。今は4年制大学が増えたため、全盛期の2割程度になっている。

    第三次ベビーブームは幻だった。
    第2次ベビーブーム世代は、氷河期世代とかなりダブっているため。
    氷河期世代のアンダークラスは、塾や予備校に通ったことがない人が44%と多い。

    アンダークラスはネオリベラルは少ない。それ以外は多い。アンダークラスだけが対立している。
    氷河期世代で、恵まれた層は、自己責任論を受け入れる傾向が強く、格差拡大を容認する。

    男性は低収入のため未婚、女性は未婚のため低収入。
    アンダークラスの労働意欲の低下が起きる。
    賃金格差の縮小と所得の再配分が必要。
    最低賃金は1500円程度にすると、年収270万程度になる。
    賃金格差縮小のためには、ワークシェアリングが有効。
    格差が大きい国ほど労働時間が長い傾向。
    低賃金だと、生活費を得るために労働時間が長くなる。高賃金だと、長時間働くことの利益が大きくなるため労働時間が長くなる。

    日本の税制は、税引き前と税引き後では、ジニ係数があまり変わらない=所得の再配分機能がない。
    資産税の導入、相続税率の引き上げ、などが必要。

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著者プロフィール

橋本 健二(はしもと・けんじ):1959年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授。専門、社会学。

「2023年 『階級とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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