- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784621042359
作品紹介・あらすじ
かつて「街に遊ぶ」ことが、子どもたちにとって人間と環境の生態的つながりを自然と学ぶ最高の場であった。だが、今日の街の空間の中では子どもたちの居場所がどんどんなくなってきている。それは、我々大人が街と人間とのエコロジカルな関係づくりの大切な媒体となる「遊び」の精神-地域に遊ぶ-といった好奇心に満ち満ちたクリエイティブな心をなくしてしまった結果、生み出された環境ではないだろうか。筆者自身の地域に密着してのさまざまな活動などを通して、子どもだけでなく大人も「遊べる」豊かな街づくりを考える。
感想・レビュー・書評
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“遊び”という視点を持って、街を捉える。
子ども期にある人々の”遊び”という営みを
グレゴリー・ベイトソン、レイチェル・カーソン、イディス・コップなどの見解を用いながら、その行為の重要性を指摘し、また人ー環境(自然を含めた)の関係性のエコロジカルな関係を構築する行為としている。現代では、その関係性が歪んでいるので、エコロジカルな再構築をなす重要な行為として、”遊び”が重要であると指摘する。
その後は、「遊びー街」の関係から見える事柄について言及がなされ、ところどころ海外の事例が紹介されている。その事例の中でも、冒険遊び場、こどもがつくるまち、ワークショップは、現代において普及している。後に、著者が一つの本にまとめていることからも、大きな影響を与えたことが伺える。
しかし、一つ物足りなかったのが、著者の“遊び”観があまり述べられていなかった点である。遊び-場として”街”に関する言及は多くなされていたものの、"遊び"もしくは、”遊ぶ”というもの、現象自体への言及に物足りなさを感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもの遊び場の都市プランナーである千葉大教授の木下勇氏の著作。
発行年が1996年と少し古いのですが、
”子ども”という視点からの街つくりに関する本がほかの都市計画・コミュニティープランニングの分野に比べると少ないので役に立つ情報がたくさんあります。
また、木下氏が海外とも活発に交流を行っているので、
海外で主流なchild development environmentの概念や活動の流れを知ることができます。
同時に、
日本で彼が行っている活動の事例・考察・これからの有り方など、
「では、これから日本はどうしていけば良いか」
の視点も学ぶことができます。
子どもの発達生態や都市計画などに興味のある方はぜひ読んでいただきたい一冊です。