エピジェネティクス革命

  • 丸善出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621089569

作品紹介・あらすじ

がん、トラウマ、肥満、幹細胞、クローン動物、老化…遺伝と環境の関係を解く鍵であり、創薬治療の新境地DNA配列を超えるこの新概念が近い将来わたしたちにもたらす可能性とは-19世紀はダーウィンとメンデルによってもたらされた進化と遺伝学の時代、20世紀はワトソンとクリックの発見をきっかけとするDNAの時代、そして21世紀、DNA配列の変化を伴わない遺伝に世界中の注目が集まっている!

感想・レビュー・書評

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  • 第61回アワヒニビブリオバトル「運動」で紹介された本です。
    2020.02.04

  • ●エピジェネティクスに関する2冊目
    1冊目(シャロン・モアレム著)よりも詳しくてわかりやすい気がする。

  • 環境の変化によって遺伝子の発現の仕方が変化したり、その変化が子孫にまで伝わったりする現象をエピジェネティクスと呼ぶことは、ティム・スペクターの「双子の遺伝子」を読んで知っていたが、遺伝子に具体的に何が起こっているのかは知らなかった。環境の変化に応じて遺伝子の発現の仕方が変わるのは、DNAを構成する塩基がメチル化されたり、DNAが巻き付いているヒストンのタンパク質が脱アセチル化されたりするかららしい。分化した体細胞(というか、その幹細胞)が分裂するときは、そのような化学修飾を娘細胞に引き継ぐので、例えば皮膚細胞から肝細胞が生まれることはない。一方、生殖細胞は、そのような化学修飾を原則として引き継がず、あらゆる体細胞に分化できる能力(全能性)を獲得するが、解消されずに受精卵に持ち越される化学修飾もあるので、獲得形質が遺伝したかのように見えることがある。環境の変化に対応するための精緻な仕組みを生物が備えていることに目がくらむような思いがした。著者が指摘するように、科学技術が急速に発展し、人間の生活が大きく変化した結果、子孫にとって好ましくないエピジェネティクス的な変化が現代人の遺伝子に既にため込まれているとしたら、ちょっと怖い。第2章で、誘導型多能性幹細胞(iPS細胞)の作成に成功した山中教授と高橋博士の業績が紹介されている。成功する可能性が低い実験に取り組むにはかなり思い切った決断が必要なので、当時既に地位を確立していた山中教授より、比較的若い博士研究員だった高橋博士の勇気を賞賛しなくてはいけないと指摘(27ページ)に感心した。2016年3月6日付け読売新聞書評欄。

  • 概要: 胚からの組織の分化はDNAの発現を制御する修飾によって起こっている。おもにDNAのメチル化とヒストンの化学修飾。CpGアイランドが遺伝子のプロモータ領域に存在し遺伝子の発現制御に大きく関わっている。iPS細胞すごい。受精卵の細胞質はほとんどのエピジェネティックな修飾を消し去るが例外もある(オランダの冬の飢饉、レトロトランスポゾン)。三毛猫、胎盤のサイズに関する両性のせめぎあい。がんとの関わり。
    感想: 内容もものすごく面白く、また例えや説明の順序ふくめ説明がすごくうまい(よいサイエンスライター)。ゲノムの非コード領域の重要性についてはほとんど知らなかった。オランダの飢饉の話は、飢餓状態に子供をあらかじめ備えさせるための意味のある機構なのではないかという感じがした。

  • 門外漢が言いたいこと言いますが、リソソーム・イズロン酸ー2ースルファターゼ遺伝子、とかってだいぶだいぶなネーミングセンス…
    現実的な話としては、がん対策の分野で、遺伝子治療のお金や時間や手間や副作用のことを考えると、エピジェネティクスの利用は大いに期待したいところ。一方、精神疾患、特に幼少期のトラウマへの応用に意欲的なのは結構だが、こちらの分野はまだまだ器質的、というか物理的な基盤を持つメカニズムがまだまだはっきりしていなくて難しいのではなかろうか。

  • 2016年2月新着

  • 請求記号 467.2/C 17

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