夜・夜明け・昼

  • みすず書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622011002

感想・レビュー・書評

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  • 書かれている内容は凄惨で痛ましいのに、静かで淡々とした筆致で綴られている。3編通して読むと、怒りと憎しみはついに叫ばれず、凝り固まりもせず、死んでしまった人たちと一緒に澱んだオリのように常に漂っているものになってしまったようだ。悲しみと、生き残った自分が幸せになることへの気恥ずかしさ、後ろめたさを感じさせる描写には本当に心が痛む。「夜明け」の主人公エリシャは言う「泣けることは運がいい。泣く者は、自分がいつかもう泣かなくなるのを知っている」ただ、この悲しみの深さの前には、うなだれるしかない。

  • 15才でアウシュビッツに収容された作者の体験が元に書かれた小説。父親と共に選別を逃れるため、飢餓と虐待に耐える姿とその心理は過酷の一言。翌年解放されたものの、戦争前と後では彼のすべてが変わってしまう。生き残ったのに、死者と共にいる主人公。「夜明け」「昼」とも、強制収容所の過去を持つ主人公が、死を内に抱えながら、「生きる」ことに苦悩している状況を描く。死者のために幸せを拒む?生きながら心が死んでしまった人の心理に、胸を締め付けられた。戦争が終わって助かって万歳って風にはならない事が改めてよくわかった。

  • 三原順の「夢の中 悪夢の中」で主人公が読んでゐたので手に取つてみた。それと、つらい時期にはつらい本を読む、といふのが無意識のうちにあるのらしい。予想したとほり読んでゐてつらいが、ものすごいいきほひで読んでしまつた。或はつらいからかみしめるやうには読めなかつたのかもしれない。人はどんなに苛酷な状況にあつても生きたいと思ふものなのか。いづれにしても、この本を紹介してくれた三原順には感謝してもしきれない。

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