社会理論と社会構造

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622017059

感想・レビュー・書評

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  • あの銀行倒産するらしいよデマで、預金が一斉に出金され、実際に倒産。ある状況が起こりそうだと考えて人々が行動すると、そう思わなければ起こらなかったはずの状況が実際に実現してしまう。 ▼人は準拠する集団の基準に依存して、物事を評価している。将来をその集団に所属することを見越して、その集団のルールや価値を学び、他者と相互に役割行為をできるようになっておく。上流階級の夫に嫁ぐ前に、上流階級のマナーや作法、教養などを習得しておく。ロバート・マートンMerton『社会理論と社会構造』1949

    航空隊の兵士は昇進率が高い。憲兵隊の兵士は昇進率が低い。昇進率が高い航空隊の兵士たちの方がなぜか昇進の機会に恵まれてないと答える。これは昇進率が高いと、昇進への期待が過大となり、昇進できない人は不満をもちやすいから。相対的な不満。相対的な剥奪。サミュエル・ストゥファーStouffer『アメリカ兵』1949 

  • 7140円購入2011-02-28

  • もうずいぶん前のことのように感じてしまうのですが

    光市の母子殺害で元少年に死刑判決が下されました。



    光市母子殺害、元18歳少年に死刑・広島高裁差し戻し審判決

     山口県光市で1999年に母子が殺害された事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われた元少年の被告(27)の差し戻し控訴審判決が22日、広島高裁であり、楢崎康英裁判長は無期懲役とした一審・山口地裁判決を破棄し、死刑を言い渡した。犯行当時18歳1カ月だった被告に死刑を適用するかが焦点だったが、最高裁が死刑回避の条件とした「特に酌量すべき事情」については「認められなかった」と判断した。

    (日経新聞2008/04/22より)



    その日の夜。

    ラジオから視聴者の声が聞こえてきました。

    「こういう判決が出て安心している(犯罪の芽を摘むという意味で)」

    「それだけではなく行政的な施策を(監視カメラとか?)」



    1点目のものは「重罰化」をすることで抑止力が生まれるだろう、ということだと思います。

    今回の判決が「重罰化」に当たるのかはよくわかりません。(妥当、かどうかを判断するだけの知識が足りません。すいません)

    ただ、一般に考えて「重罰化」には2つの効果があると思われます。

    1.犯罪に対する抑止力

    2.犯罪被害者の感情回復



    どこかで聞いた話、になってしまって恐縮ですが

    厳罰化によって犯罪抑止力が生まれるのは非常に限定的です。

    おもに軽犯罪と性犯罪、といわれています。

    つまり、死刑の対象となるような重大犯罪についてはいくら厳罰化(すなわち死刑にしても)

    犯罪は抑止されないのではないか、という見方が優勢です。

    考えてみれば、確信犯は死刑があったところでやるだろうし、

    激情型の(かっとなってやった)人はそんなことは考えもしないでしょう。



    となると、死刑の効果は「犯罪被害者の感情回復」ということになります。

    本村さんが彼を殺したい気持ちはよくわかります。(本質的にはわかっていないでしょうが)

    ただ、世間がみんなで殺せ殺せ言うのはなんとなくグロテスクな感じがします。

    僕は死刑を認めるくらいであれば「復讐」を制度化したいです。

    「復讐」を国という媒介を用いてみんなで分配するのが「死刑」ならば

    それは欺瞞に満ちているように思えるからです。



    今の法制度の中で「死刑」という制度があって

    その上でこういう決定が下されたということに関して異存はありません。

    もはや、論理が感情に優越することを示さねばならないような議論の段階に入ってしまうので

    結論はオープンです。

    しかし、(冤罪の可能性すらあるにもかかわらず)「被害者の感情回復」というために

    「死刑」という制度を存置するということが合理的であるとは思えません。



    2点目

    監視社会の問題はまぁ、いいとして、

    監視カメラをつけたところで、犯罪は起きていて

    それが役に立つのはつかまったあと。

    それだけを「行政的な施策」と考えたくはない。

    というのも、




    社会理論と社会構造

    作者: ロバート・K.マートン, Robert King Merton, 森東吾, 金沢実, 森好夫, 中島竜太郎
    出版社/メーカー: みすず書房
    発売日: 1961/09
    メディア: 単行本
    この中の「社会構造とアノミー」を読んだから。



    彼は、この社会学的な分析の中で

    アノミー・逸脱行動が生まれる理由を社会構造によるもの(文化的目標と制度的手段の不適合のため)としています。

    この分析が完全に正解なのかはともかくとして、社会構造の一部に「逸脱」(犯罪)を促進する効果があり

    そのひとつは目標と手段の不適合であるということはなんとなく納得がいきます。



    最近のマスコミ上での言論は

    あまりに対症療法ではないだろうか。

    犯罪が起きるその現場を無理やり規制することで

    犯罪を抑止しようとする。

    それは果たして効果的なのでしょうか。



    むしろ、社会を「体質改善」することで

    犯罪が起きる要素を少なくしていく、ことのほうが案外重要なのでしょうか。

    この努力はなかなか数字に表れません(検挙率とかね)

    しかし、「社会構造」を変えない限り、悲しむ人の数は減らない。



    (重大犯罪の数、殺人の認知件数、減っていることは承知しております)

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