- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622049913
作品紹介・あらすじ
ヨーロッパの諸言語におけるきわめて日常的な表現の検討を出発点として、著者は分裂病者が与える印象の記述から現象学的経験という広い地盤へと考察をすすめる。こうした現存在分析の方法によって、表題の三形態は、たとえば「広さと高さの不均衡」「捻れと歪み」「歴史的運動性の行き詰まり」というように、世界内存在の構造のなかに置かれ、解釈されていく。「わざとらしさ」の章では、創造的精神と分裂病とを慎重に区別しつつ、マニエリスムについてのさまざまな芸術学的研究を例にとって興味深い考察がなされる。大著『精神分裂病』と対をなすビンスワンガーの重要な業績であると同時に、精神医学の枠を超えた独特の魅力を持つ書物である。
感想・レビュー・書評
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『思い上がり ひねくれ わざとらしさ――失敗した現存在の三形態[新装版]』
原題:Drei Formen missglückten Daseins: Verstiegenheit Verschrobenheit Manieriertheit (1956)
著者:Ludwig Binswanger(1881-1966)
監訳:宮本忠雄
訳者:関忠盛
【メモ】
<https://de.m.wikipedia.org/wiki/Ludwig_Binswanger>
【版元】
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/376頁
定価 4,536円(本体4,200円)
ISBN 4-622-04991-0 C1047
2000年12月15日発行
本書の目的について、ビンスワンガー「分裂病性の基本症状としての自閉という硬直した概念を、人間的現存在の生起の流れのなかへと再び変化させることによって解明する点」にある、と述べる。ここに取り上げられた「思い上がり」「ひねくれ」「わざとらしさ」という三つの様式は、病的な「劣等」として医学的に判断されるのではなく、普遍的―人間的な現存在に内在する挫折あるいは失敗として理解されるべきものなのである。
ヨーロッパの諸言語におけるきわめて日常的な表現の検討を出発点として、著者は分裂病者が与える印象の記述から現象学的経験という広い地盤へと考察をすすめる。こうした現存在分析の方法によって、表題の三形態は、たとえば「広さと高さの不均衡」「捻れと歪み」「歴史的運動性の行き詰まり」というように、世界内存在の構造のなかに置かれ、解釈されていく。「わざとらしさ」の章では、創造的精神と分裂病とを慎重に区別しつつ、マニエリスムについてのさまざまな芸術学的研究を例にとって興味深い考察がなされる。大著『精神分裂病』と対をなすビンスワンガーの重要な業績であると同時に、精神医学の枠を超えた独特の魅力をもつ書物である。
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