高校図書館―― 生徒がつくる、司書がはぐくむ

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 92
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077893

感想・レビュー・書評

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  • 高校のとき、図書館にはたまに雑誌「Newton」を眺めに通ったくらいのもので、利用した回数を数えでみても、恥ずかしながら両手両足で足りるくらいのものだったと記憶している。

    でも勉強する場所、知識を得る場所としてちゃんと活用している学生がいて、サポートしてくれる人がちゃんといたことを知って、なんだかもったいない気持ちになった。

    以下、印象的だった箇所を長めに引用。すごい学生もいるものだ。


    p.226
    「やっぱり、本は読まなくちゃだめよね」と貸出カウンターの上を使って書きこみながら言い放つ。京都大学理学部への進学が決まった生徒だ。

    進路指導部に依頼された「後輩へのアドバイス」。彼女は<勉強法等>に二本線を引き、<推薦図書>と書き替えている。○国語――『源氏物語』(瀬戸内寂聴訳)。私は本が大好きで小さいころからよく読んでいるのですが、いろんな活字や文体に慣れておけば入試も苦労しないと思います。シェイクスピア等の戯曲はおもしろいし、文脈把握力がついてオススメです」。○「数学――『数学ガール』『数論入門』『教科書にない高校数学』など。『整数論』は難しすぎて途中で挫折!?」○「理科――『なっとくするシリーズ』『マクスウェルの悪魔』『新物理入門』」。○「地歴――新聞は毎日読んでいます」。○「公民――図書館で本を借りればタダ!学校の図書館を活用せよ!」など。<心構えやメッセージ欄>には「塾には行ったことがありません/受験前まで楽器の練習を毎日やっていました。両立可能です」。

    あらためて「図書館って、どうだった?」と訊くと「うーん……“当然の場所”かな」「三年前に比べて、ここってずいぶん変わったよ」と、うれしいことを言ってくれる。そして新たな提案も。月に一〇冊ぐらい課題図書みたいなものを出して、そこから二冊ぐらいは読むようにしたらいいと思う/授業で先生たちが本をもっと紹介するといいのに/受験期に本を読むことが足りないのではないか。ものごと単純にとらえすぎでは?多視点で見る必要がある、と力説する。――それには“本”なのだと言う。私はうなずき、確かな手ごたえを感じている。

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