- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622079484
作品紹介・あらすじ
米国を代表する医療社会学者が国境なき医師団(MSF)の活動に参加した体験をふまえて論じた貴重な書。MSFスタッフの思想と現場での実践を、南アフリカからシベリアまで、過酷な具体例に基づき詳察する。全体像を正確に知りたい人に必須の一冊。MSFについての本は日本でも何冊か出ているが、本書は、このテーマをまとめるにふさわしいベテラン著者が書いたことに大きな意味がある。
感想・レビュー・書評
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ノンフィクション
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国境なき医師団の名前は知っていたが、災害や紛争地帯での医療活動をしている団体だという程度の知識しかなかった。その理念は、組織ではなく運動であり、医療活動を行うとともに、証言活動(ある種の告発活動)も行うという所にある。そして、その理念から逸脱しないように、未だに自己批判や反省を繰り返していることが信じられない!奇跡の運動であり、今後も活動が続くことを願ってやまない。
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『国境なき医師団――終わりなき挑戦、希望への意志』(Renee C. Fox [著],坂川雅子[訳] みすず書房 2015)
原題:Doctors Without Borders: Humanitarian Quests, Impossible Dreams of Medecins Sans Frontieres
著者:Renee C. Fox(1928-) 医療社会学。
【メモ】
・国境なき医師団
<http://www.msf.or.jp/>
【書誌情報・内容紹介】
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/480頁
定価 5,832円(本体5,400円)
ISBN 978-4-622-07948-4 C0036
2015年12月24日発行
“本書において、国境なき医師団が、アフリカからロシアまで、戦場や震災地、スラムに赴き、エイズ、結核、マラリアなど様々な病気と闘う様子が描かれている。医師団の、その熱意に満ちた行動は、どのような信念に支えられているのか。
そして、彼らは、行動にあたって、人道支援の境界や任務遂行に伴うリスクにどう対処しているのか等々、理念と活動、組織の有り様を詳述する。また、誕生から現在までの歴史・展開も解説する。組織としてのノーベル章受賞(1999年)の際のスタッフ間の活発な議論も読みどころである。米国を代表する医療社会学者による決定版と言えるだろう。
国境なき医師団として、いつどこで介入すべきか、そのタイミングの重要性。人員、物資、資源の配分の仕方はどうしているのか。長期プロジェクトと短期緊急の判断はどう区別しているのか。個人への対応と共同体への支援のバランスをどう考えるのか、など。著者自身が活動に参与した体験をふまえて書かれた力作である。
「国境なき医師団がノーベル平和賞を受賞したときのスピーチに、「人道支援とは、尋常ではない地域に『尋常な空間』を築くこと」とあった。戦争をとめることはできなくても、そこにささやかな「尋常な空間」を作り出し、そのなかに弱者を助け入れる。そういう「平和」の体現方法を、そして、そのために身を粉にして働く彼らの姿を、私たちは、けっして忘れてはならない。”
(「訳者あとがき」より)
〈http://www.msz.co.jp/book/detail/07948.html〉
【目次】
目次 [i-iii]
序文 追求 001
第一部 序章
第一章 現地からの声 016
第二部 成長にともなう痛み
第二章 発端、分裂、危機 062
第三章 ノーベルか反抗者か 084
第四章 MSFギリシアの除名 107
第五章 MSFギリシアの復帰 130
第三部 討議の文化
第六章 ラ・マンチャ 146
第四部 南アフリカで
第七章 HIV/エイズと闘う 176
第八章 カエリチャで 196
第九章 非西欧的存在の誕生 271
第五部 ポスト社会主義ロシア
第十章 モスクワのホームレスとストリートチルドレンに手を差し伸べる 294
第十一章 シベリアの刑事施設で結核に取り組む 316
終章 過去を思い起こし、将来を思い描く 369
謝辞 [399-407]
原注 [408-450]
訳者あとがき(二〇一五年十一月十八日 坂川雅子) [451-455]
索引 [1-8]