ヘンリー・ソロー 野生の学舎

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 91
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622079781

作品紹介・あらすじ

〈私は、けたたましい声で笑うアビやウォールデン湖そのものとおなじように、少しもさびしくはない。ほう、あんな孤独な湖にどんな仲間がいるのかね? ところが、あの群青の湖水のなかには、青い陰気な悪魔ではなくて、青い衣の天使が住んでいるのだ。太陽だってひとりである。〉(『ウォールデン』)

アメリカでもっとも著名で独創的な思想家、ヘンリー・ソロー。ウォールデン湖畔に自ら建てた小屋で自給自足し、森を毎日何時間も歩く、たった独りの生活を送った。奴隷制に反対し、2冊の本を刊行し、44歳で生涯を終えた。森で結実したその思索は、現代社会の危機とそこに生きる人間のありかたを示唆し、世界に大きな影響を与えた。
謎に満ちたこの思想家の学舎に、私たちは招かれている。歩くこと、孤独、自然、市民、共同体…『コンコード川とメリマック川の一週間』『ウォールデン』『散策』『メインの森』『ケープコッド』『社会改革論集』そして膨大な日記に誘われ、本書はその思索のエッセンスを発見する。急激な産業化と社会の激動の中で、真に自由な生き方を考え続けたソローのすべてをそっと手渡す一書。

感想・レビュー・書評

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  • ソローは、どこかひかれるところがあるのだが、実際に読んでみると、なんだか読みにくい。難解な感じではないのだが、独特のユーモア感覚があって、それを理解しにくいというのもあるし、そもそもそれがどうして大事なのかわからない細かい記述があったりする。

    そんな微妙な感じをもちながら、「市民の反抗」、「コッド岬」、「森の生活」をなんとか読んで、すこし近づけた感じをもっていたのだが、この本を読んで驚いた。

    いや〜、全然、そんな読み方をしていなかった。。。。わたしはなにを読んだんだろう???という衝撃。

    これを読んだあとで、ソロー本人の本を読めばよかったのかとも思ったが、まずは、やっぱり自分がどう読んだかというのが大事。それがあるからこそ、この驚きがあるのだと思う。

    これを読むと、ソローがどれだけ、普通の人と違うところに生きていたのか、考えていたのかがわかる。

    ソローのなんだかよくわらない感は、そもそもの思考のタイプというかフレームが全く違うからなんだな〜。

    そして、ソローの思考は、これからの社会変化を生き延びていくときに、とても大切なヒントを与えてくれると思う。

  • 歩くことをめぐる部分がとくによかった。

  • 「説明しなくても分かってくれることを、私は貴女に求める」というソローの愛情生活。スウェーデンボルグの天使のように、相手のことを想うだけで次の瞬間には二人は一緒にいる、という特別な結びつき。

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著者プロフィール

1955年生まれ。文化人類学者・批評家。1980年代初頭から、メキシコ、ブラジル、キューバなどで調査研究に携わる。奄美自由大学を主宰する。著書に『クレオール主義』『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』『宮沢賢治 デクノボーの叡知』など多数。

「2021年 『ぼくの昆虫学の先生たちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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