ゾルゲ・ファイル 1941-1945――赤軍情報本部機密文書 (新資料が語るゾルゲ事件 1)

制作 : アンドレイ・フェシュン 
  • みすず書房
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本棚登録 : 24
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622095149

作品紹介・あらすじ

独ソ戦、日米開戦を目前に、東京のゾルゲとモスクワの赤軍情報本部が交信した電報やゾルゲ逮捕後の駐日ソ連大使館内の事後報告書などを初公開。駐日ドイツ大使や近衛内閣参与の尾崎秀実のもたらす極秘情報、軍備機密、国民感情などが逐一モスクワに報告されていた。ゾルゲからの電報文には手書きの「決裁」が記され、赤軍情報将校たちの動きが生々しく伝わる。ウクライナ戦争の続く今、情報戦を考えるための基本資料。

感想・レビュー・書評

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  • 世界の戦局が大きく動いた1941年の、ゾルゲと「本国」とのやり取りは、一度史実をリセットして読めばが、緊迫感をより実感できるかもしれない。ドイツのソ連侵攻と日本の南進がゾルゲの2大スクープと言われるが、独ソ開戦の事前警告は本国から重視されておらず、またゾルゲも日本の北進が無いと確言する9月以前は、日本のソ連攻撃を何度も警鐘していたなど、資料を読んでこそ見えてくる事実が面白い。どれほど有益な情報を伝えても、どんな情報が重く見られるかは、受け手の資質に寄与する事が交信からは読み取れる。ソ連のゾルゲ機関への最大の期待は、日本からの攻撃の有無、その戦力、時期、場所といった情報提供にあり、それが満たされない時の叱責や、予算額での対立などは、まさに企業での上司と部下のそれ。ソ連がゾルゲを疑い身元を洗った文書や、本国情報部の評価などは、一国の諜報とはこういうものかと興味深かった。

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著者プロフィール

(なごし・けんろう)
1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語科卒業。時事通信社に入社、バンコク、モスクワ、ワシントン各支局、外信部長、仙台支社長。2012年から拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授。現在、拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。

「2022年 『ゾルゲ・ファイル 1941-1945』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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