足利直義:下知、件のごとし (ミネルヴァ日本評伝選)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623077946

作品紹介・あらすじ

足利直義(1307?52) 南北朝期の武将。
兄尊氏を補佐して室町幕府の基礎を固めるものの、高師直らと対立して観応の擾乱をもたらした足利直義。本書では、後世の評価が劇的に変化してきた直義の、とくに政治家としての事跡を辿り、その実像を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 足利尊氏の弟にして、室町幕府の基礎を固めた人物の評伝。史料を踏まえ、近代における評価の変転を押さえながらも、新しい人物像が描かれている。観応の擾乱後半における無気力ぶりを、尊氏の対後醍醐のそれと対照させる視点は興味深かった。

  • 足利直義の発給文書の検討から二頭政治とは言っても尊氏の恩賞宛行権を奪わずに所領安堵のような業務に甘んじたこと、寺社本所を優遇して鎌倉時代回帰のような政策を進めたことが観応の擾乱において優勢になることができず、結局滅ぼされることになった。歴史上褒貶が様々に入れ替わった直義の人物評が冷静に行われている。

  • もうすぐ中央公論から『観応の擾乱』が出るので、予習の意味で紐解く。
    著者が高師直びいきなのは有名だが、直義像を伝えるにしても、高潔な政治家という側面よりも語弊はあるけど、可愛いところのある人間像を見出している。実際、直義が尊氏の尻を叩かなければ、鎌倉幕府倒幕はもとより室町幕府の成立もなかったと思う。それだけに兄弟間で権力の分割がうまくいかなかったのは残念なこと。二人だけなら上手くいったろうに。周囲の事情がからむと思うとおりには人間は動けない。実は不条理極まりない観応の擾乱も、尊氏と直義の関係だけをみるとシンプルに理解できるんだな。

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著者プロフィール

亀田俊和(かめだ・としたか)
1973年秋田県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。現在、国立台湾大学日本語文学系助理教授。主な著書は『室町幕府管領施行システムの研究』(思文閣出版)、『観応の擾乱』(中公新書)、『高師直 室町新秩序の創造者』(吉川弘文館)、『征夷大将軍・護良親王』(戎光祥出版)など。

「2021年 『新説戦乱の日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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