ものがつなぐ世界史 (MINERVA世界史叢書 5)

制作 : 桃木至朗  中島秀人 
  • ミネルヴァ書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623087778

作品紹介・あらすじ

現代の歴史学において、人・もの・カネ・情報・技術などの動きや交流を切り口として世界史をみるという視点が、もはや主流になりつつあるといっても過言ではない。本書は、「馬」に始まり「ウラニウム」に至るまで、古代から現代にわたって世界史を動かした17の「もの」を取り上げ、それらがいかに世界を結び、どのような影響を及ぼしたかを考察することで、重層的な世界史像を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 「石炭」「鉄」「貨幣」といったメジャーなものから「生薬」「火薬原料(硝石・硫黄)」「硬質繊維」といった少しマイナーなものまで、世界史を動かした「もの」一つ一つに焦点をあてた論集。
     具体的な「もの」を深堀りするだけあってどの章も専門性が高めな内容ながらも、一般向けの記述でありけっして読みづらくなく、シリーズそのものが志向するグローバルヒストリーからの新たな視座を提供してくれる。

  •  馬や帆船から半導体、ウラニウムまで16章。自分には、やはり東アジアが絡む部分に興味を惹かれる。唐三彩を模倣したペルシア三彩や、逆にペルシア陶磁の文様が影響した景徳鎮の青花磁器。13世紀、中国で禁止された銅銭が日本で浸透。16世紀日本での石高制成立には、密貿易縮小や中国での流通貨幣の銀への転換による中国銭途絶が影響。日本(鹿児島の硫黄島)産硫黄が日宋貿易で中国に流入するが、後の14世紀頃以降には朝鮮への流入や琉球での生産、周辺諸地域への火薬・火器技術の伝播・拡散に伴う「硫黄の道」の複雑化。日清・日露戦争以降の日本の満洲進出と大豆の重要性。
     他、ウラニウムは単なる天然鉱物資源の1つとして流通しているわけではなく、時や場所に合わせた政治的意図に従って作り出される「原子力性」、軍事利用と平和利用の間を行き来、という記述が印象的だった。

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著者プロフィール

1955年生まれ。大阪大学大学院文学研究科・教授
(主要業績)
『中世大越国家の成立と変容』(大阪大学出版会、2011年)、『市民のための世界史』(共編著、大阪大学出版会、2014年)、『海域アジア史研究入門』(共編著、岩波書店、2008年)など。

「2020年 『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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