日野富子:政道の事、輔佐の力を合をこなひ給はん事 (ミネルヴァ日本評伝選222)
- ミネルヴァ書房 (2021年7月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623092284
作品紹介・あらすじ
日野富子(1440年から1496年)八代将軍・足利義政の正室。
将軍正室として政治に関わる一方、様々な悪評も高い日野富子。本書では、応仁の乱など激動の時代にあって、夫義政の政治を支え、また後継者を育てるべく、御台所として精一杯その役割を果たそうとした姿を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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論旨は基本的に前著「足利将軍の御台所」と同じで、応仁の乱勃発後に御台所として幕政に貢献する姿が描かれている。ただ、重複記述や前後の文章の繋がりがちぐはぐな点がしばしば有り、申し訳ないが正直なところ読むのが少々大変だった。
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本書の内容とはズレるが、以前から日野家がなぜ足利将軍家の正室を多く出せたのかというのが疑問であった(今もだが)。朝廷と武家(室町幕府)とのつなぎ役であったこと。その背景には、最新の学問である朱子学を吸収し実務で活かし、特にその教育を受けた女性の役割が大きかったことが考えられる。本書に出てくる日野宣子は賢明な方であったようだ。そういう、家に育った「上様」富子も当然、そうして育ったことだろう。公家に育った富子は当然、朝廷は大事であり、だから多額の献金を頻繁におこなっていたと思う。それは、夫義政、息子義尚のためでもあったのだろう。
ただ、本書で「上様」富子を「いい人」に描きすぎてないかと思う。特に明応の政変での役割が関わりがなくサラッと書いていることに「ホンマか」って思ってしまう。いずれにせよ、本書のみで判断せず他の本も読んで自分なりの「御台所」富子を考えていこう。
はじめの疑問と関わるが室町時代の女性の役割というものに、また興味が増した。(R03-0907) -
東2法経図・6F開架:289/Mi43/222/K