- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784625570018
感想・レビュー・書評
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やっぱり荘子信者の肌には合わないな〜。どう育ったらこんな真っ直ぐな事が言えるんだ...って思ったけど、真っ直ぐっていう現代の感覚を作った人なんだろうなと思うと尊敬。それくらい現代人の常識に儒学は刷り込まれてる。
とりわけ苦手なのは、正しいことをすれば正しいのだみたいな小泉進次郎構文と、「さすが孔子先生であるよ」っていう賛辞の文がちょいちょい挟まれてるところ。吉田さんの解説も手放しで褒めてる感がある。孔子本人もえっへんという態度で語ってる。これは、荘子じゃなくても癪に障る。
しかし、荘子が語る孔子よりも酷くないことも分かった。名誉と富を肯定するところは、荘子の中の孔子と同じ。でも、形式主義の孔子は、荘子が作り上げた孔子像だった。孔子はむしろ形式主義を批判している。荘子は近場の儒者のイメージを孔子に投影したのだろう。
「人の己を知らざるを患へず。己の能くすること無きを患ふ。」っていうのが、荘子と真逆すぎて面白い。荘子は、隠居して何処何処にいると知られてしまった時点で未熟としてる。探知した次の日には空き家になっていたっていう徹底した至人の説話もある。知られてないのはまだまだなのか、知られているのはまだまだなのか。
それと音楽愛好家なのは意外だった。かなりの記述がある。自然を歌う詩経が好きな人は、親を敬うのは自然、兄を慕うのは自然...と自然の範囲を大きくしていく危険性があるのだなと思った。
天命思想は儒家、道家ともにあることも新たな発見だった。日本の平安時代を想起すれば分かりやすいが、この頃はまだ医学が進んでおらず、信仰も自然崇拝だったはずだ。どの思想にも背景には偉大なる天が見える。その天命を努力や教育で変えようとした孔子こそが、人格神信仰の時代へと押し進めた重要人物なのだろう。
今後、古代中国を専攻するにあたって何度か読み返す機会があるはず。今回は荘子と対局にある者として読んだ。これからどう印象が変化するのか楽しみである。
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ちょくちょく読むので永久に読み終わらないシリーズ -
分かりやすいし、
考えさせられる。 -
「新釈漢文大系」を底本にして、よりわかりやすくコンパクトな形に編集したシリーズ。日本の思想に多大な影響を及ぼした「論語」。簡潔な言いまわしの中に含まれる深い意味を歴史的状況もふまえて解説。(TRC MARCより)