ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論

著者 :
  • 森北出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784627156210

作品紹介・あらすじ

物理学者は,いかにして現象を記述し,世界を見るのか?
「ブラックホールを数式で表す」とは,いったいどういうことなのか?
高校数学から出発し,「一般相対論」へと一気に駆け上がる,
本気の物理学を知るための独習書.

***

~15歳の読者へ~
本書では,15歳,つまり中学3年生~高校1年生くらいを想定して,「ブラックホールを表す数式を導くところまで一緒に歩いていく」ことを目指しました.本書に出てくる数式の意味や,そこに描かれている物理の世界を理解するための数学や物理学の知識はそのつど説明しています.とはいえ,本書の内容をすべて理解するのは難しいかもしれません.わからないところは飛ばしながら,挑んでみてください.

~高校で物理と数学を学んだことのある方へ~
高校で学んだ内容が,実は一般相対論という最高峰の物理理論に直結している様子を味わっていただければと思います.大学で学ぶ数学も出てきますが,物理を介することでそれらが具体的になり,実感をもちやすくなるはずです.

~すでに一般相対論を学んだ方へ~
一般相対論には多くのすぐれた入門書があります.それらの多くでは,歴史の時系列に沿って解説するスタイルが採用されています.本書はそれらとは少し異なり,「ブラックホールを表す数式を理解する」という目的を最初に置き,その目的を達成するために必要な道具を揃えていくという,理論物理学者が研究を進める際と同じスタイルをとります.直感的イメージを重要視し,目標に向かってなるべく短いルートで進むことを目指したこともあり,厳密な議論は割愛せざるを得なかったところもあります.詳細な議論は他の専門書で補いつつ,一般相対論のモチベーションに立ち返り,また新たな視点でそれをとらえるきっかけとしていただければと思います.

***

「ブラックホール時空への直通の登頂路! 友人や,物理や数学の先生と一緒に登れば,なお楽しい登山になるに違いない.」橋本幸士(物理学者,『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた』著者)

「たった一行の方程式を理解する経験が,どれほど豊かなことかを教えてくれる.」森田真生(独立研究者,『数学する身体』著者)

感想・レビュー・書評

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  • ようやく読了した。

    15歳からのとあるように、中学、高校の数学レベルでブラックホールのシュヴァルツシルト解まで案内してくれる。学校の勉強だと、様々な分野を限られた時間で受験の準備までしなくてはならないこともあり、こうした一つのテーマを突き詰めて学習する機会がないのではないか。
    高校時代にこんな本に出会いたかったと思う。内容は高度なことながら、やり方次第では一般相対論を概念をなぞるだけでなく、きちんと数式も含めて高校生でもついていけるものだと感じた。ただ、6章の接続や共変微分については、結構計算がきついのではないかと思う。

    読んでいて、6.3節あたりから6章終わりまでが式の計算で時間を取られた。最近、手計算から離れているので、久しぶりにテンソルの計算などを書き下してみたら、結構計算ミスをしたりしてなかなか疲れた。しかし、式の説明も丁寧で読んでいて楽しく、学生時代の懐かしさとともに物理を楽しんでいた頃を思い出した。今の高校生がこの本に出会ったら、受験勉強とは違った、物理という学問の面白さに触れられるだろう。

    付録には、本文で盛り込めなかった詳細な計算が記載されており、深い理解に役立つ構成になっている。
    でも、とにかく内容が面白くて日常生活に刺激になる一冊だった。

  • 非常にわかりやすい本。
    この手の本は大体そうだが、物理の部分より共変微分など数学の解説部分が多く、微分幾何入門としても良い本だと思います。

  • 高校物理の範囲で相対論を勉強してみよう、というまぁよくあるっちゃよくある本である。

    ほかの本も同じであるが、流れは同じである。
    特殊相対論から一般相対論へ、という感じ。
    高校の力学を十分理解しているのであれば、あとは少しの数学力でなんとなく理解することができる。

  • 15歳からの一般相対論とあるけど、高校生がこの本を理解できるのだろうか。7章までの説明は丁寧だけど、肝心のアインシュタイン方程式を扱う8章はいまひとつ。

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著者プロフィール

東京学芸大学教育学部准教授。
1974年長野県長野市生まれ。
京都大学理学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。
専門は宇宙物理学、素粒子物理学。
東京大学ビッグバン宇宙国際研究センター研究員、
日本学術振興会海外特別研究員(カナダ・ウォータールー大学、ペリメーター理論物理学研究所)、
国立群馬工業高等専門学校准教授を経て、現職。
著書に『ブラックホールと時空の方程式』(森北出版)がある。

「2021年 『宇宙の見え方が変わる物理学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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