- Amazon.co.jp ・本 (106ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634345003
作品紹介・あらすじ
核軍備の拡大競争が開始された第二次世界大戦後の数年間が、この書物のあつかう時代である。そのとき、核軍拡競争をできればさけたいと願い行動した人びとがいた。しかし、歴史は彼らの期待にそわなかった。実際の歴史がたどった道は、こころよいものではなかった。ただ、どれほどに不合理であったとしても、核競争が始まった時代の歴史を確かめなければ、われわれ自身の今日も展望できないであろう。
感想・レビュー・書評
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現・京都大学大学院文学研究科教授の紀平英作(アメリカ現代史)の著作。
山川のリブレットには珍しいが、タイトルから想像するような通史ではなく対象とする時代はごく短い。
1945年夏のマンハッタン計画の完成から、およそ1948年までのアメリカの核開発と核管理をめぐる展望を描いている。
広島・長崎への投下によって唐突に幕を開けた「核時代」は、アメリカの科学技術の勝利、他国を圧する軍事的優位の確保という正の面だけでなく、想像を絶する破壊力への恐怖感という負の面を世界各国の人々に植え付けた。
アメリカ政府内においても、この核兵器を「ごく軍事的に利用する」のか「民需も視野に入れた平和利用を目指す」のかという議論があった。議論はふりこのように左右にふれ、容易に決しなかったが、それがソ連への不信感などへの保守派の声が高まるとやがて、核兵器によるアメリカの軍事的優位の確保こそが国家安全保障上の重要課題と目されるようになった。
アメリカ国内の核管理組織と密接に関わっていたのが、世界組織つまり当時の国連による国際的な核管理体制の構築という重要な課題もこのアメリカの方針転換に大きく影響されることになった。
理想的には各主権国家の権利を制約してでも、国際的な核管理組織を創設すべきであったが、上で述べたようなアメリカ政府内の議論の推移によりその道は閉ざされた。
ここにおいて、アメリカの核におびえるスターリンのソビエト連邦は核兵器保有能力でバランスをとらんとするがために、水爆開発まで一気に核開発を加速させ、恐るべき核軍拡の時代を招来することになった。
筆者が末尾で語るように、本書は歴史としての核時代の幕開けを語るに過ぎないが、常日頃「核廃絶」の理想論が語られるなかでなぜそれが容易に行いえないのかということを考える一つのきっかけとして、戦後初期の核管理をめぐる本書の議論はさまざまな示唆を与えてくれた。 -
[ 内容 ]
核軍備の拡大競争が開始された第二次世界大戦後の数年間が、この書物のあつかう時代である。
そのとき、核軍拡競争をできればさけたいと願い行動した人びとがいた。
しかし、歴史は彼らの期待にそわなかった。
実際の歴史がたどった道は、こころよいものではなかった。
ただ、どれほどに不合理であったとしても、核競争が始まった時代の歴史を確かめなければ、われわれ自身の今日も展望できないであろう。
[ 目次 ]
バートランド・ラッセルの警告
1 核兵器開発か、原子力の平和利用か
2 原子力開発国際管理構想
3 国際管理構想の挫折
4 核競争の開始
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