- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634543508
作品紹介・あらすじ
日本の伝統的な都市建築の代表は町屋である。町屋は古代から近代にかけて都市的な文脈のなかで生成・発展し、洗練されていった。接道性と沿道性によって特徴づけられる町屋は、わが国の都市の成長とつねに不可分な関係にあった。しかし一九六〇年代以降の都市の急速な現代化は町屋を都市から駆逐することによって進行したといえる。いまわれわれは町屋にかわる適切な都市建築のタイプを生まないまま、現代都市の圧倒的な駆動力に身をまかせている。本書は古代から現代までを射程にいれ、町屋の展開過程を京都・大坂・江戸に代表される巨大都市の都市史と絡めて跡づけるとともに、都市における建築のあるべき姿の一端を探ろうとするものである。
感想・レビュー・書評
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大学時代の講義「都市建築史」の教科書として購入したものの、結局積ん読になっていたままの本。
たまたま最近京都に遊びに行くことがあり、そこで「京都の町並みっていいなあ。どうしてこんなに”残って”いるのかなあ」という疑問を持つ。
ここから俄かに個人的京都ブームが開始し、建築史に関する本を読み返している中で、掘り返して読んでみたこの本。
安価なだけに、内容としては短い本なので、一息で読めてしまいました。
タイトルに忠実に、テーマは「町屋」。
町屋の定義や条件は何かといった小難しい内容から始まるので、学術書であって趣味本ではないだということを思い知らされます。
町屋という視点からですが、京都・大阪・江戸の近世以降の都市計画の物語が読み物として興味深かったように思います。
特に京都について、平安京時代の条里制や朱雀大路といったくだりは当然知っているものの、現在の京都のルーツはそれより1000年近く後となる豊臣秀吉の都市計画によるものという話。
ただこのあたりは、単に都市形成史として知りたいのなら他に適した本が多くあるはずなので、あくまで本書は「町屋形成」というところに特化していることを強調しておきます。
本書最後の1パラグラフに、私が普段感じている町並み保存への疑問がうまく代弁されている気がしたので引用。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「都市建築史概論」の指定教科書。
タイトルの通り「町屋」という建築スタイルの形成過程と、三都(京都、大坂、江戸)における発展の過程について紹介している。
第一章の「町屋とはなにか」や第二章「町屋の形成」は話の展開や資料に対する着目点が専門的すぎて理解しにくかったが、後半の三都における町屋の話は馴染みやすく面白かった。
豊臣秀吉は都市計画家として優れた能力を持っていた、地域領主としての「本願寺」とその寺内町の独立性、いわゆる土蔵造による街並みは江戸時代ではなく明治期に成立した、などが興味をひかれたトピック。
さて、レポートを書かないと。