音楽と契約した男 瀬尾一三
- ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス (2020年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784636963052
感想・レビュー・書評
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私、中島みゆきさんの長年のファンです。
瀬尾さんは、中島さんのアレンジャーという認識しかなかったけど、それ以前にたくさんのミュージシャンと仕事してたんだ~とわかりました。
中島さん本人が語らない、裏話?が分かって興味深く読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
思うに最初に名前を覚えた(というより意識した)編曲家がこの瀬尾一三さん。吉田拓郎、中島みゆきらのパートナーとしてそのアレンジには昔から当たり前のように親しんできたし、ライブでバンドを指揮する姿も度々目にしてきたけれど、実は正体不明な感じだった。この本で瀬尾さんの音楽観や音作りの手法などを、彼自身の言葉で知るにつけ目からウロコ。斉藤哲夫から始まって長渕剛、チャゲアスら手掛けたアーティストとのエピソードも、末尾の対談集も、どれも興味深い内容だった。特にみゆきさんとの30年に多くのページが割かれているのはファンとして嬉しい限り。コロナ禍での沈黙が気になっていたけれど、3年ぶりに新アルバムも出ることになってホッとしている。団塊の世代。60年代以降フォーク〜ニューミュージックのムーブメントを牽引し今のJ-popの土台を築いた立役者の一人で、未だ現役の瀬尾さん。この世代(少し下も含めて)のプロデューサーやミュージシャンのエネルギーはやはり凄い、と改めて思った。
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現在は中島みゆき専属のアレンジャー/プロデューサーとして長年に渡り彼女を支える瀬尾一三の自伝的インタビュー集。自らもミュージシャンとしてデビューしながら、黒子としてアレンジャーの道へ進み、吉田拓郎や長渕剛、徳永英明などのミュージシャンを支え続けたその道筋は、そのまま日本の音楽界を振り返るということに等しい。
黎明期の日本のポピュラーミュージックの裏側には、こうした名アレンジャー/プロデューサーの存在があったわけで、レコーディングのエピソードなども非常に面白い。当然、今の音楽ビジネス以上に予算も豊富だったわけで、ロサンゼルス等での海外レコーディングがどのように進められるのかというのは、ミュージシャン集め、スタジオ選定などの裏側も含めて、こうした苦労があるのかということを初めて知った気がする。
海外レコーディングでの思い出としてカナダの名アレンジャー、David Campbellとの出会い、そして十数年後にBECKとしてデビューする彼の生まれたばかりの息子を抱くエピソードなど、小ネタも嬉しい。 -
1970年代から現在まで長期にわたって第一線で活動を続ける、プロデュ-サー兼アレンジャーの半生記。
手がけたアーティストは、吉田拓郎、長渕剛、CHAGE&ASKA、八神純子、リタ・クーリッジ(!!)、中島みゆき、ももいろクローバーZ他多数で、一定年齢以上の人であれば、必ず著者がプロデュ-スあるいはアレンジした曲を聴いたことがあるはず。
特に中島みゆきとは30年超の付き合いで、巻末の70ページ超に及ぶ作品リストによれば、ここ10年くらいは彼女専属として活動している模様。なお、著者は「夜会」も立ち上げ時から現在に至るまでプロデュ-サーとアレンジャーでかかわっている。
アーティストへは世間の注目が集まるが、著者のような裏方だけど、必要不可欠な存在は注目されることが少ないので、本書の存在はとても興味深い。
また、本書の素晴らしいところは、著者を知るミュージシャンだけでなく、行きつけの飲み屋の店主のコメントが掲載されていたり、同業者の萩田光男、松任谷正隆、亀田誠治、そしてなんと、山下達郎との対談まで収められているところ。松任谷と亀田は別にして、萩田や山下らの話が読めるのは貴重。
J-POPが好きな人は必読! -
私が剛とみゆきさんが好きなのは、この人がいたからなのかもしれない。
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瀬尾一三を知らずに日本の音楽シーンは語れない。吉田拓郎、中島みゆき、長渕剛等を手がけた音楽プロデューサーが、ヒットの秘密を語る。萩田光雄、松任谷正隆、山下達郎、亀田誠治との対談、作品リストも収録。
中島みゆきとのお仕事が興味深い。対談も面白かった。 -
制作の場のど真ん中にいる人が語るので、中島みゆきとの仕事部分はさすがの読み応え。ただしあくまでも瀬尾さんサイドの視点なので、中島作品の奥深さがさらに深まることに。これまで触れてこなかった長渕剛の音楽にも、この本で興味を持った。聴かず嫌いはよくない。もったいない。
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思っていたよりは、のめり込めなかった。
音楽に対する知識不足かな… -
瀬尾一三さんは、中島みゆきさんのプロデューサーとして知っていたが、実際はどんな役割なのかよくわからなかった。
吉田拓郎さんのライブで指揮してるのを見て、ここでも活躍してるって思ったが、この本によると、拓郎さんとの仕事の方がずっと前からだった。
みゆきさんの仕事をするようになったら、一年のうち9ヶ月拘束されるので、「拓郎に言わせると、あいつ(瀬尾さん)は中島みゆきの合間に俺をやるんだよね」という状態だとか。
巻末のプロデューサー同業対談も良かった。
同時代の松任谷正隆、やや後輩の山下達郎、ずっと後輩の亀田誠治、長い付き合いの萩田光雄。
瀬尾さんが松任谷さんに頼まれて、ユーミンのコンサートで指揮とコーラスやった話とか面白すぎる。
達郎さんとの話もすべてがいい。
懐メロにならない音楽の話が良かった。「僕らがやっている音楽はポップスで、前衛音楽じゃないんです。」
萩田さんの「メロディは作曲家がつくったもの。それ以外に鳴っている音は、すべて編曲家が書いたものです。」も良かった。
執筆は前田祥文さんで読みやすい。
寄稿文も多く、中島みゆきさん、吉田拓郎さんはもちろん、ドラマーの島村英二さんの寄稿もうれしい。
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斉藤哲夫さんとの三部作。拓郎のLive73の話が一番興味深かった。