- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641024878
感想・レビュー・書評
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授業課題として読んだ。名古屋新幹線公害訴訟に関する住民運動の様子から国鉄の対応、一審・二審判決など詳細に述べられている。すごいです向学心刺激されまくりです。
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社会調査の授業が後期から週に指定された本を読まなければ参加できないという風になって、その1冊目。授業は主に本の内容をディスカッションする形で進められるので、議論好き的にはたまらない^^だからやる気もひと押し!とはいえ図書室で借りれなかったら週一で出費が出るという・・・。まぁ大学生とはそういうものだ!
とりあえずディスカッションの内容を挙げると。
?日本人の空間的非自己主張的性格が公害問題を議論の場に持ち出す上での障害となっている。?船橋先生らの働きが騒音問題を公害問題と定義づけることに大いに役立った。?船橋先生らの中立的な問題分析がより多くの利益を守った。?空間的性格をもつ地域が行動を起こす仮定。(例えば生協の世間話によって問題意識が広まった。)?メディアの働き。?普遍性とは。
などなど同じ班の先輩が船橋先生のゼミ生徒だということもあり、議論は白熱。脱線あるもののかなり有意義だった。社会調査に関して未熟な僕がべらべらと喋ったのに、正確な知識でいろいろと対応してくれて、さすがは船橋ゼミの生徒だけはあるな。
この公害問題訴訟の過程の中で特に僕が問題視したのが?で、よく言われる「日本は欧米の文化文明を断片的に取り入れた」ことで、意見を戦わせるということに関して未熟である。たとえばフランスでは議論する基盤が出来上がっているので同じような問題が発生してから公害としてみなされ解決の道を歩むまでさほど時間がかかっていないらしい。先輩が言うように、議論形成の場が作られればいいのだが、日本という国土においてその議論が世間の中に入っていかない限りほとんど意味はないし、誰も行動を起こさないだろう。日本特有の「ことなかれ主義」が行動への道を阻害している。個人がいくら訴えても空間そのものを変えなくてはなかなか大きな動きにはならない。特にこの公害問題は大都市名古屋でおこっていたものであり、人と人との繋がりが希薄であったこともその原因である。
だが一方で一度行動団体を作るとそれはなかなか根強いものになる。それは議論形成を阻害していた空間的性質が、団結力となって戦う力となる。実際、多数の行動勢力が公害問題を解決してきたものだ。そしてその団体をより大きなものにするために一役買ったのが・・・・??の話になる。A(国民)<C(国鉄)であるAがCに行くまでの連結点B(メディア・評論家)の役割をする存在が非常に重要である。AのみでCに他に向かうのはなかなか大変なものである。だがBがもしどちらかに加担しすぎれば、それは大きな不利益を生むことになる。つまりBのバランス感覚もかなり重要なのだ。船橋先生の調査内容はそのバランスを満たすものであるので、非常に良い連結点となった。
だが現代においてはそんな過剰団結力の時代の反動から人と人との繋がりはさらに希薄になり、団結して行動をとるということがなくなった。メディアが伝える情報が十分に議論されないまま世論となっている。そこで先輩の言った議論形成の場をふやすと言ったことが出てくるが、何か「ああ。あれは議論する人たちの世界なのだな」ということにならないかと心配である。なんかごたごたな内容になったけれども、とにかくその解決のために議論するのだ。もしかすると僕らが連結点となるかもしれないし。
なんつて^^