- Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641042551
作品紹介・あらすじ
行為無価値論の立場からの本格的体系書。学説や判例に加え哲学・思想など刑法理論の源流まで視野に入れ、現代の刑法学を展開する。難解といわれる総論を扱いながらも、各論的な議論を巧みに挿入し、わかりやすい言葉と具体例を駆使した叙述で、深い理解へと読者を導く。
感想・レビュー・書評
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行為無価値の雄、井田先生の待望の体系書。
ドイツの判例学説を多く取り入れたうえで、行為無価値の立場から一貫して記載されている。
自説が述べられている部分では、必ず判例通説の丁寧な解説もなされているので、判例通説で一貫した理解をすることもできます。
なお、井田刑法学の独自の主要なアウトラインは以下のとおりです。
1 行為論については目的的行為論に立つ
2 構成要件は違法(不法)類型であって、責任類型ではない
3 違法性の実質は行為無価値が主であり、結果無価値は従である
4 違法性阻却事由については消極的構成要件理論にたつ
5 故意(過失)は構成要件的故意のみを認め、責任故意(過失)を認めない
6 緊急避難は責任阻却が原則であり、著しく保全法益が侵害法益を上回る場合には違法性阻却事由となる(二分説)
7 制限責任説にたつ
繰り返しになりますが、上記の特徴に臆する必要はまったくありません。全論点にわたって判例通説の解説はしっかり丁寧になされており、むしろ上記井田説との対比のなかで、判例通説の理解も深まりました。また、過失論や、過失行為と緊急行為などの解説部分は、過失に苦手意識がある方にこそぜひ読んでいただきたい簡潔にして要を得たとくに秀逸な記載だと思います。
目次、索引を除き567頁。
刑法を学ばれる方には、行為無価値刑法学の理解のためにぜひ一読されることをお勧めしたい一冊です。
なお、わたくしごとながら井田先生にはロースクールでご指導をいただくことができました。
先生の講義は秀逸のひとことでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
井田良著『講義刑法学・総論』(有斐閣)
2011.7.30初版第4刷発行(補訂)
2017.2.24読了
やっと読み終わった……。かなり長かったけど面白かった。1回の通読では身につかないので演習を織り交ぜながらモノにしていきたい。
URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000009919617 -
326.1||Id||Ko
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刑法総論の基本書を久しぶりに買った。他説の紹介,判例の分析ともに丁寧で,しかも説明がコンパクトにまとまっている上に分かりやすい。通読せずとも拾い読み的に使っても使用に耐える。非常にオススメだと思う。
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資料ID:21204775
請求記号:326.1||I
配置場所:普通図書室 -
試験目的半分、教養半分を目的に購入してみましたが、結果としてかなり満足。
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行為無価値の良本と言うことで購入。
刑法の目的である法益保護、規範統制といった根底にある理論から始まり、行為無価値と結果無価値を徐々に立ち上げ、そして様々な視点から対比していく。
個人的な感想としては、前半読む分には行為無価値と結果無価値の対立をやや結果無価値寄りに書かれている気が…(と言うのも、恐らく書き方の問題で、行為無価値理論→注釈(もしくは結果無価値からの反論として)で結果無価値理論のような書き方をするので、どうしても結果無価値の方が妥当に思えてしまう。)行為無価値の良本と言うより結果無価値の良本じゃないかと思うような内容だが、しかし先に進むにつれて次第に行為無価値の妥当性にハマっていく不思議な本。
著者の考えを押し付けることなく『本書の立場では〜』といった書き方で著者の刑法学の道筋を示しつつ、程よく判例・通説そして反対説まできちんと書かれている点はかなり評価できると思います。
本書の問題点を強いて挙げるなら、(恐らく二元論を取りつつ行為無価値の根底は崩さないために)緊急避難や正当防衛といった違法性訴却事由を消極的構成要件とする考え方が多少馴染めない点。
あと、これは私自身の勉強不足からだが、後半の共犯論あたりからはかなり難解で読むのに苦労した。
私自身、刑法総論はこの一冊しか読んだこと無い初学者だが(その意味で上記レビューの信憑性はあまり高くないwww)読んでいて間違いなくオモシロかった!!
『法のため人があるのではなく、人のために法があるのだ。』のくだりは感動もの!!
初学者にも行為無価値論者、そして結果無価値論者にも全然勧められる一冊です。 -
行為無価値ならイチ押し。理論に曖昧な点が無く、安心して読めます。
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平成23年2月2日購入(初版第2刷)
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読みやすい。
行為無価値を取るならこの一冊。
独特の理論を取る箇所も多いので総研と併用。