心理学のあゆみ 新版 (有斐閣新書 C 17)

著者 :
  • 有斐閣
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本棚登録 : 46
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641091184

作品紹介・あらすじ

心理学史上において、重要な役割を演じた学者たちの人物像と学説をわかりやすく解説しながら、現代心理学への道案内を試みた定評あるテキストの新版。

感想・レビュー・書評

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  • その名の通り,心理学史を概説した本である。
    全体を通して,かなり読みやすい。

    心理学って何?という全くの初学者にはよくわからない点もあるかもしれないけれど,心理学を少しは習った人(教養科目でも)であれば,かなりわかりやすく読めると思う。

    ただ,高橋澪子先生だけ,他の章に比べて(比べなくても)読みにくい...笑

    内容が1990年と少し古いので,このクオリティで内容を刷新したものが出版されるとかなりありがたい。

  • 1879年ライプチヒ大学、ヴィルヘルム・ヴント。それ以前と以後だとどうしたって以前の方が断然面白いんですねぇ。
    それを救ってるのがフロイト、ラカン、ジジェクになるのかなぁ、まあ辛うじて。ひとつの系を確立するにはメタなところからいかなければならない。
    そこで、現代の無機質系のオルタナ形成にはヴント以前を持ってこい、というのはいいかもしれない。グールドがバッハにアイラーがディキシーに向かったように。

  • 心理学史については、文庫クセジュでかかれたものを一度読んだのだけれど、さっぱりだったので、こちらで読み直す。さっぱりだったのは、こちらの知識不足によるのも大きかったのだと本著を読みながら感じる。本著でも、現時点での理解度の薄い、行動主義なんかについて書かれているあたりではかなりついていくのが辛かった。ゲシュタルトはアフォーダンス理論や認知心理学で触れているし、精神分析は嫌と言うほどそのジャンルの本を読んでいるし、精神物理学あたりもまあなんとかかんとかいうところか。まあ、行動主義も行動療法で触れているし、精神物理学のあたりは近代心理学の勃興において触れずにはおれない部分というか実験心理学の主軸を築いているわけなので、触れずにはいられないよなあ、という感じなのでしょうね。それに個人差心理学で知能検査や統計などに触れるとすれば、後は、フロイトやエリクソンに始まり、ピアジェなんかによってほぼ完成形へと至らされる発達心理学や、その他教育心理学臨床心理学社会心理学産業心理学……などになるんだろうけれど、いわゆる応用心理学についてはあまり触れられてはいない。ちなみに本著ではフロイトはかなり持ち上げられているけれども、臨床心理学以外では今はフロイトはさして重視されていないようにも思われる。臨床心理においては彼が祖みたいなものなのだろうけれども、心理学全体においては彼は非情に非科学的なので、臨床的とも言うが、心理学の軸からするとかなりぶれている。無論、彼が提唱した無意識や、抑圧なんかをいかに科学的に表現するかというところが課題になっていったという点で、彼の意義は大きいのだろうけれども。近代心理学の父と言われる、ヴントにしたって、彼自身が何か大きなことをしたというよりは、彼を徹底的に批判する形で心理学が進化していった(ゲシュタルトや行動主義)という意味において重視されているというあたりがなんとも学者的世界と言うべきか、はてさて……。まあ、たかだか二百ページという制約があるのでかなり駆け足になってしまっているところはあるけれど、本格的に心理学を勉強したい人にも、齧りたいって程度だけれどそれなりに本格的なところまでやりたいという人にも、それなりにお勧めの一冊だとは思うけれど、最低限ここで主要人物として扱われている人物に対する事前知識くらいないとやっぱり意味不明になるかもしれない。しかし、心理学の歴史っていうのは、基本的にはジャンルで分けて後は縦断的にやってしまうんですよね、ジャンルわけはどうでもいいからひたすら縦断横断的にやってくれるとありがいのだけれどな。じゃないと、その人物をその学派の中でしか理解できなくなってしまう。まとめる方からしたら学派ごとに分けたほうが楽なんだろうけれどさ、それだと学派が異なる人物をうまく対置できなくなってしまうでしょうよ、という不満は残りました。多分、心理学史全般への不満なんだろうけど。

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著者プロフィール

■監修・執筆/大山 正(オオヤマ タダス)
東京大学元教授・日本大学元教授

「2019年 『公認心理師 合格テキスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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