- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641125636
作品紹介・あらすじ
憲法・民法・刑法分野の気鋭の研究者が語る法解釈の世界。これまで文章化されなかった考え方や基本。
感想・レビュー・書評
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一連の事例を一貫した形で公正に処理・解決していくためにルールを論理的に解釈する必要性が生じる。法解釈の能力は主として条文の解釈能力である。もっとも、憲法では制度の歴史的背景を知ることが条文・制度の解釈上決定的なヒントになりえ、民法では類推解釈が多用されるのに対して刑法では禁止される等、各分野毎に解釈の型に差異が生じる場合がある。各法分野毎の解釈の特徴を、対立の激しい論点を解説することで明らかにする。その上で、広島市暴走族追放条例事件、立川テント村事件、利息制限法を素材に、各法分野からの解釈上の対立を示す。
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中堅の学者(憲法,民法,刑法)による法解釈入門。3つのパートにわかれているが,最後のパートは1つの判決をそれぞれ違う立場から論評するという形式となっている。それぞれを尊重しあって論じているところがよかった。法律の勉強の最初の段階で読むのにとても適した本だと思いました。
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・利益考量には、事案に即したものと、ルール確定時においてする2種があり、この区別が重要。(前者としては、たとえばこの該当事案における国家的利益と私的利益の大小、後者としては、第三者の絶対的構成か相対的構成どちらをとるか)
・権利概観法理は、それ自体がルールではなく、ルールを導きだす概念のようなもの。たとえば、94条2項は権利概観法理の表れと言われるが、権利概観法理の主要体系①真の権利者の帰責②虚偽概観③第三者の信頼、といった場合、最高裁判例によると、①帰責性という単純な思考で判断していない。
・また478条も権利概観法理のあらわれと言われるが、同条では①が出てこない。しかし内田教授によれば、第三者の過失を判断する際に①の要素も考慮される。
・瑕疵担保責任の570条は、たとえば試験問題で、特定物の瑕疵による解除だけを望んでいる場合、瑕疵担保責任の契約責任説とか法定責任節とかを論じる必要はまったくないはず。まずは瑕疵とは何かを論じ、もし瑕疵担保責任の条文に該当すれば、その時点から論じればよい。
・防衛の意思が問題となるのは正当防衛一般ではなく、もっぱら偶然防衛の場面の実。 -
読み直したさ:★★☆
第1部→民法の類推適用について
第2部→権利外観法理,過剰防衛,不真正不作為犯,衆議院の解散
第3部→立川テント村事件(最判平成20・4・11),利息制限法
〈感想〉
初学者が内容を一読了解するのは困難だと思う。第3部は,読んでいて面白い。全体を通して分かりやすい。特に山下教授執筆箇所は分かりやすい。 -
基礎の基礎なんだけど明確に書かれていなかったようなこと、いろいろといいことが書いてある 。
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これは素晴らしい。
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完全に斜め読みですが、いい本だと思いました。私が法律の勉強を始めたころにこんな本があったらな、と。それにしても、著者たちが若いですね〜。
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法学を学習したことのない人間には、すごく学ぶところの多い本だった。
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解釈ってこういうことなのだ、ということが分かる一冊です。